おっさんのナチュラリズム~おっさんは異世界との架け橋になって奔走する。

字無

第一章

第1話 プロローグ

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 ■ プロローグ

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▼ 【信二の自宅】 ▼


 「しかしなぁ〰…いくら義父とはいえ連帯保証人はやっぱり怖いよ。…」


 「あなた、随分と世話になったお父さんにそんな事言えるの?、いいからここに早く印鑑押しなさいよ」


 綺羅沢 信二の転落劇はまさしくこの妻との会話から始まった。

 

 信二は仕方なく義父の借用書、5000万円の連帯保証人に判を押したのだった。無論、ここから悪夢が始まるとは思ってもいない。

 

 義父は工場とは言え従業員数人程度の町工場に過ぎなかった。いわゆるあまたある街の下請け工場の一つに過ぎなかった。

 綺羅沢信二、42歳、共に考えることが雪だるま式に増えていると考えている今日この頃であった。

 

 

 

 

▼  【信二の務める勤務先】 ▼


 「綺羅沢課長!こちらの魔石及び薬草の買い取り明細の承認をお願いします。」

 

 そう言って信二に買い取り明細の束を差し出すのは入社2年目の事務系社員大外由香里だった。

 決して美人とは言えないものの小柄で誰にでも愛想がよく能力以上に評判の良い社員だった。

 

 「あぁ、わかった。そこに置いておいて……」

 信二はちらっと由香里の方を見るとすぐに視線を戻しデスクワークへと戻った。

 

 (はぁ、最近は多少とも増えてきたとは言え……それでも消費と供給にはまだまだ追いつかないのが現状だけどまあ、魔石なんかを集めるハンターはまだ、これからだろうしな)

 

 

 

▼  遡ること3年前 ▼


 世界中の資源が一斉に消えた。

 世界中がパニックになる中、忽然と世界中にダンジョンが現れたのだった。

 それと同時に世界中の一定の国民に初期ステータスが付加されたのだった。付加されるステータスは人によってその素質や能力によって付加されたため、人によってかなりの差がつくことにより一時的に社会が混乱したのだった。

 

 

 

 各国が軍隊などを使ってダンジョンを調査するとダンジョン内にはこれまでには存在していなかった生物、いわゆるモンスターが生息しているのが発見されモンスターを倒すと鉱物状の石、後に魔石と命名された。が残すことが判明した。

 

 当初はあまり興味を示さなかった魔石も加工法によっては様々なクリーンエネルギー各国は確保に血眼になっていく

 

 ダンジョン内からはモンスターだけではなく各種資源が有ることが判明した、また、ダンジョン内から見つかった碑文には地球上の資源はダンジョン内に移したと明記されていてそのダンジョンは資源が少なかった国に多く……

 

 ダンジョンに対する認識度にも対して多く発生する旨が書かれていた。それを裏付けるかのように世界中で600ヶ所以上のダンジョンが発見されているがその半分以上の382箇所が日本で発見されている。

 

 日本を除くダンジョンの多いランキングはロシア66ヶ所、アメリカ47ヶ所、インドネシア38ヶ所、台湾21ヶ所、フランス10ヶ所、イギリスヶ所、その他28ヶ所

 

 特にイギリスの場合6箇所のうち3箇所がSランクダンジョンでAランク2ヶ所、Bランク1箇所と高ランクダンジョンばかりで攻略が全く進まず、このままではスタンピートの危機が懸念されている。

 

 ダンジョン発生とともに日本は自衛隊からダンジョン対策特殊部隊を編成してダンジョンの対策にあたっていたが数が多すぎて手が回らず、民間に委ねる決定を下した。

 

 その背景には当然、ダンジョンの埋め立て、封鎖が一番に検討されたがダンジョンから発見された碑文によると封鎖したり、適当に中のモンスターを間引かないとモンスターが一斉に出てくるいわゆるスタンピードが発生することが書かれているためやむおえず国民に開放することにしたのである。

 

 特定外来構造物省、通称ダンジョン省が作られその下部組織としてハンター協会が作られてダンジョンに潜るハンターはハンター協会の資格を得て登録したものだけがダンジョンに入れるようになった。

 ハンター資格は日本国籍を有する16歳以上65歳未満の禁錮刑以上の罰則を受けたことがないもので精神的に異常のない者に受験資格がある、基本銃砲等の所持許可の基準を参考にされており当初は20歳を想定されていたがすぐに引き下げられることになった。

 

 ハンター協会は天下り先の確保って言う側面もあったりする。

 

 ハンターとして活動できるのは16歳以上の日本国籍を持つもので禁固刑以上の前科のないものとなった。

 

 最初は前科はアウト高校生は禁止の案があったが政府としては早急に資源を閣法したい思惑があり、悪意のないもしくは軽い犯罪ぐらいは大目に見ようと、高校生もそれで学業をおろそかにしても自己責任と都合よくかいしゃくされてしまった。

 

 一部の議員から出ていた他国籍のハンターも認めると言う案はせっかくの資源を持ち出される恐れがあるため問答無用で他国籍のハンターは認められない

 

 ダンジョンが発生して民間に開放されるまで2年の月日がかかった。

 ここまでにダンジョンからはレアメタルを含む各種鉱石や原油やガスなどの資源が眠っていることが確認されている。

 また、魔石は加工することどクリーンエネルギーとして近い将来使えることもわかった。

 

 民間解禁後、多数の死傷者を出しながらもダンジョンフィーバーは続いていた。

 なぜならダンジョンは稼げるのだった。危険の少ない低層で地道に活動するハンターでも月に20万~40万ぐらいは稼いでいたし深部を目指しているハンターは月1千万を超えるものも少なくはなかった。今後もっと深いところで活動できれば更に収入は上がると見込まれハイリターンに惹かれた者たちは自分の命をベッドして活動を行っていた。

 

 当然、ハイリターンの裏側にはハイリスクは付き物だったのだがそれは政府の資源確保優先というお題目のせいで死傷者についてはほとんど報道されることはなかった。

 

 そんなダンジョンフィーバーのさなか綺羅沢信二は地道に会社員として働いていた。

 

 信二は高校を卒業後、フリーターをしながら就職活動をしているところにある製薬企業が薬剤情報販売担当として募集したのを見つけて運良く就職することが出来た。

 もともとこの企業は大卒の新卒だけを採用していたがたまたま、その年に新卒が大量に離職したためにやむおえず中途採用するという事情があって信二に取っては渡りに船だった。

 

 採用された当時は医薬品の情報提供という名の販売員、いわゆるプローバーだったが、信二は学歴が高卒ということもあり昼夜を問わずがむしゃらに働いた……

 そのかいがあって他事業所も含めて売上では全国トップを続けていたために24歳で係長に昇進した。通常、高卒だと退職前に係長に昇進するのが普通なので高卒としては異例の出世を果たしていた。

 

 上司の勧めもあって結婚、2年後の26歳の時には長女が生まれてその二年後には次女が生まれて女系家庭で当初は良かったものの娘たちが大きくなるに連れて寂しい思いもするようになってきたが、まあ、父親とはそういうものだろうと諦めてもいた。

 

 その後、プローパーからMRと名を変えて各事業所を単身赴任しながらハンター協会が発足すると同時にダンジョン資源開発部が作られ資源確保課の課長を次長待遇として拝命してからは純粋に仕事だけでなく派閥などの問題もなあなあでは済まなくなり頭を悩ませていた。

 

 

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