第19話



「……去年振り、ともくん」


「あぁ、去年田舎で集まった時振りだねさらちゃん。上がってよ……と初めまして、従兄妹の朋です。よろしく」


「はい。初めまして友人のえちかです。よろしくお願いします」


挨拶後に上がってと招き入れられ、リビングでお茶菓子前にしてみんなソファーに座った。


「結構早かったね、俺もさっき帰って来たばっかりだよ」


「うん、学校終わって直ぐに来たからね。ってそういえばさっき隣のあおばさんにバスの降り口で久々に会ったよ、後で来るって」


「あぁ、おばちゃんに……何年振り?」

「うーん。覚えていないぐらいかも」


「……そうだな、俺の記憶にも無い。確か俺の部屋とかで一緒に遊んだとかだろうけど……忘れた」


「…………約8年前、位じゃ無いかしら? 私は覚えているわよ?」


ソコには着替えを済ませてきたのか私服姿のあおばさんがいた。スラーっとしてて胸も大きいし美人……世界は不公平なのだあ。


「…………おばちゃん、ピンポンぐらい鳴らしてよ」


「良いじゃ無い別に。言伝したし、あ、メールも送ったわよ? おまけにテレパシーも」


「……げ、ホントだ。メールに俺が気がつかないなんて……まぁ良いか。おっとゴメン。今日は何だっけ、見せたい物って話しだよね? さらちゃん」


「あ、あ、うん。ええとね、今日五次郎がこれを私にくれたの、それで何だろうと思って相談しに来たんだ」


ブレスレットを腕から外してテーブルの上に置いた。


「どれどれ……………………あれ、コレって……何処かで……………………」


「解りますか?」


「うん、俺はコレを知っている。でも何処で……ってああああ。思い出した。ちょっと見せてね」


従兄妹のお兄ちゃんのともくんは手にとって、おおーすげー。

リアルかよ、コレ……まさかなーと話している。


「コホン。……ごめん、これは俺のしているゲームの中のアイテムで恐らく『身代わりの代償』というアイテムだ」


「ゲーム…………内のアイテム?」


「あぁ、俺が今しているMMORPGのゲーム『トミエクマ』その中のレアアイテムだ。……ゲーム内ではかなりのレアだ」


「そうなんだ……」


「とりあえず単体の効果があって、ああくっそ、此処ゲームの中じゃないから説明見られないじゃん。…………効果は解らないゾ」


「あはは、ともくんキャラ変わってるよ」


「そう説明してくれる子がいるんだよNPCに。じゃなくって俺が今ゲームの中で一番欲しいアイテムが同レベルのレアなんだよ、今、リアルにあっても多分意味ないけど。でもコレの効果が解らないから何とも言えないな。……仮に、ゲーム内の機能が此処で使えたらって考えると胸熱だろ? あり得ないレベルだけど」


うーん。

ごじは何で私にコレを渡したのかっていう問題は『単体の効果』って事かも知れないと教えてくれた。


アイテムって言うからには何かの効果があるんだろうね。


「さらお、そのゲームしてみれば良いんじゃない?」

「……継続的にとなると今は難しいかな」

「……どういう意味ですか? お兄さん」


「あぁ、今このゲーム。販売していないんだよ。あれだな、人数制限的な何かで制御しているっぽい……」


「…………それなら何とかなるかも知れないわ。朋」

「何かツテがあるのか? おばちゃん」


「ええ。私の知り合いというかファミレスのたけのさんがゲームのコレクターだから持っていると思うわ、多分未開封で」


「へえー。じゃあそれを手に入れられたらゲームは出来るよ、さらちゃん」


「……あおばさん。手伝ってもらえますか?」


「うん、良いわよ。……でもあの子多分、変な要求してくると思うけどね」


「たけのさんの要求……………………怖っ」

「ええっ。何か知っているの? えちか」

「いや、何でも…………もにょもにょ」


えちかは何か言えない事があるみたい……。

こんな困ってるえちか初めて見た。



わぁ可愛いよう4コロ目。



困っているえちかを皆で見ている。

空気を読んでか誰も話さない。


うん、釘付けだね。


「……かわいいわね、えっちゃん。朋がやられてしまうからこの空気変えるわよ」


あおばさんはそう話し、えちかも自分を取り戻した様だ。

えちかも何かを要求されたんだよね、きっと……。


「あおばさん。とりあえずどうすれば良いですか?」


「そうね、今度……来週にでもお店に来てよ。来週は私、週5で店にいるからね。たけのには明後日話しておくわ」


「はい。ありがとうございます、あおばさん」

「良いのよ。大したことじゃ無いし」


話が付いたため、次にゲームの話とか五次郎の話になった。


「っと、まずゲームはクローズドβというテストプレイが終わって先月正式に始まったばかりなんだ」


朋くんはこう話してくれた。


ゲームの名前は【トミエクマ】という大型のMMORPGで近年稀に見るぐらいには期待されているタイトルで。


クローズドβのテストの時、五次郎に会った事。


それ以降は会っていないが、恐らくこのゲームをしていて捜し物をしているらしい。


あと推測できる事は、外部に知り合いが確実にいて手助けしているという事。


仮に、『身代わりの代償』をゲーム内で手に入れたのならば、とんでもない程の時間ゲームをしていると推測できる事。


「五次郎は会ったとき俺に話しかけてきたんだ。

アイツとは今まで幾つかゲームをした事があるから、俺のキャラ名を見て話しかけてきたんだと思う」


また何か解ったら連絡するよと、ともくんは話してくれた。


「ちょっと悩んでいたんだけど、これは機会だと思う。先に進んでみるね」


ともくんと皆にもそう話した。


「ただいまーうわわわー。靴が一杯ある…………お、お兄ちゃん大丈夫?」


玄関の方からそんな声が聞こえた。


「穂美香が帰ってきた……」

「お兄ちゃんお客さん来てるの?」


リビングから従兄妹の穂美香ちゃんが顔を出す。


「おじゃましてますー」

「あ。さらちゃんか、いらっしゃいーあわわ、あっと初めまして妹の穂美香です。どうぞごゆっくりしていって下さいー」


「……初めまして、さらおの友達のえちかです。お邪魔してます」


あおちゃんも来てたんだと穂美香ちゃんはあおばさんと話している。


穂美香ちゃんが帰ってきたタイミングだけど今話せることは話したから今日はお開きでとなった。


あおばさんによろしくお願いしますと話しその日はえちかと二人で帰る事にしたよ。

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