壊れたオルゴール
猫又大統領
第1話
異常な出来事、つまりは未確認生物や超能力者などを調査研究をしている機関の研究施設で働くことになった。この機関で働くと、自分の子供や兄弟の学費が払われる。
この条件に私は飛びついた。将来、パイロットになりたい弟のために。
だが、ここは評判通りの命懸けの場所だった。何人もの死傷者が出ている。行方不明者も出ているが数が多くて私は数えることをやめた。しかし、行方不明でも学費はその後も払われるので私はこの状況に納得した。
そしてその犠牲でこの世界は平穏なのだから日々を過ごしていた。
そんなある日、定期的に上層部から派遣させれる数十人よって研究の進捗や資金の不正などのチェックが行われた。
防弾ガラス越しから、オルゴールを大事そうに持っている男の子を派遣された女性と一緒に眺めていた。
「今日はよろしくね。怖いだろうけど数か月に一度はどうしても確認しなくてはいけなくてね」
派遣された女性はそういうとウインクをした。
「いいえ。怖くありません」私はそう答えたがやはり怖い。
オルゴールボーイは自分の村を壊滅させ、壊れたオルゴールを持って近くの森をさまよっているのを捕獲された。年齢は13歳くらい。だからオルゴールボーイと呼ばれている。
突然、警報がなった。暗くなり、予備電源によってすぐに灯りがついた。そして、またすぐに暗くなった。
「はっはっは。大成功。さあ、私と行きましょう!」
派遣された女がそういった。
「えっ何を――」
次の瞬間には女の首がちぎれた
「大丈夫だよ。ぼくはこの場所が好きだよ。お気に入りさ。オルゴールの音よく響く」少年が音が通らないはずの厚いガラス越しにそういった。
私は言葉がひとつも出てこなかった。
「そうだ、言うとこがあった」少年のその言葉に私は覚悟を決めた。
「お姉さん……セキュリティーちゃんとしたほうがいいよ。それと、右のほっぺにその人の血がついてる」と言いながら少年は倒れた女を指さした。
「あ、ありがとう……えっあ、セキュリティーの件は伝えておくわ」私はそう言うと右の頬にべっとりと着いた返り血をハンカチで吹いた。
世界は気まぐれで平穏だった。
壊れたオルゴール 猫又大統領 @arigatou
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