本当の自分を偽り続けてきた俺、裏切られてから本性を現す

@oraganbaru

プロローグ

「しゅう、一緒に帰ろう!」

幼馴染の星野花梨ほしの かりんが俺に声を掛ける。


「うん、そうだね帰ろうか」

授業が終わり今は放課後。

荷物を鞄に入れて、背負うと同時に花梨がいきなり腕を組んできた。


「ふぇっ」


「えへへ・・・しゅう照れてる可愛い」


「もう、仕方ないなぁ」


といい、一回を腕を解いて手を恋人繋ぎにする。

いつものやり取りだ。


「えへへっ嬉しいな・・・これからもずっと毎日こんな日々が続いたらいいのにな」


「かりん、何言ってるんだよこれからもずっと一緒だよ」


「でも・・・一緒の大学に受からなかったら」


「花梨は毎日頑張って勉強している。

お互い頑張るように下校する時間以外は会わないようにって頑張ってきたからきっと・・・いや絶対に大丈夫だよ」


といい花梨の頭を優しく撫でる。


「えへへ・・・受かったらあの約束ね?」


 俺は頷き花梨と指切りをする。

これからもずっと一緒にいる事をお互いで誓いあった。


「ったくいつにもなくラブラブだねぇ」


「あ、霧風君だ」


と親友の霧風 隼人きりかぜ はやと

羨ましそうな視線で揶揄ってくるのに対し、花梨は笑顔で対応する。

当然、授業が終わったばかりなのでクラスメイトは半分以上残っているが、さほど視線を感じる事はない。

付き合ってからかれこれ1年半、流石にいつもの光景となっている今、珍しがる事もないだろう。 


「はやとも一緒に帰ろう」


「いや、いいって二人で存分にイチャイチャしてとけって」


「え?イチャイチャって」

困った顔を浮かべると


「私とイチャイチャするの嫌?」

花梨が上目遣いで見つめてくる。

決して花梨とするのは嫌ではないが、気恥ずかしく感じ

「うーん、じゃあ受かったら約束以外の事で何しよっか?」

露骨に話題を逸らした。


「えへへっ...お姫様抱っこにハグでしょそれに...........濃厚なキスとか」


その言葉を聞いた瞬間俺は固まり顔を赤くする。

その様子を見た花梨が

「もう、またしゅう照れてる可愛い」

と言いながら、頬っぺたをつんつんしてくる。


恥ずかしくなった俺は花梨の手を少し強く握り教室を出る。

その際、隼人から

「お幸せにーーー」

とまたしても揶揄われるのだった。



「明日も一緒に帰ろうね!」


「うん、でもあまり勉強無理しないようにね、、、」


「大丈夫...しっかり睡眠はとっているから」


といい、別れ際に軽いキスを交わす。

お互い手を振って花梨は玄関を開け家に入るまで見送る。



そして、花梨との家へと送った俺はふぅっと溜め息を吐きながらいつのまにか花梨の家の近くの公園のブランコにゆらりゆらりと揺られていた。



毎日、毎日同じ事の繰り返し。

何も考えずに、学校に行き勉強して、それから彼女と帰りまた勉強する。


昨日と何一つ変わらない刺激の無い生活。

また、何か事ある事に噂され、飽きられ、

忘れられる。


何だろうな、一体。



という俺も、本当の自分を偽って生きている訳だが...。


数十分間、虚無感に囚われていたところに

先程家まで送っていた花梨と隼人の姿を目撃する。

俺は嫌な予感がし、咄嗟に木の影へと隠れる。

日が暮れて人通り少なく、こちらには気付いていないようだが、回りをキョロキョロと見渡している。


どうやら、これから面白くなりそうだ。






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