ジェンガ

あんたがいなくたって俺は生きていけるよ。手を引かれなくたって迷子になんかならねえよ。あんたが俺をそういうふうにしたんだからよ。そうやって胸を張って生きていくよ。だけどたまに思い出すよ。あんたの体温がまだ体に染みついてんだよ。一体どうしてくれんだよ。静かな夜には背中が寒いよ。その豊かな肉に埋もれ溺れて。もう一生離さない。離さない。崩れ落ちそうな過去がなんだというんだ。欠けたジェンカに噛むのが俺だ。何を抜くかはあんたの勝手だ。馬鹿野郎だぜ、俺は。引っこ抜かれてもまだ好きだ。おまけにホラ吹きだ。あんたがいないと生きていかれない。嘘。生きていたくねえんだよ。ホラ吹きがホラ。でも生きていくぜハニー。いつかまたジェンガに積まれるかもしれないから。だからそれまで、あんたがいなくたって俺は生きていけるよ。

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