真直ぐに。

葉月楓羽

プロローグ

思い出していたのはまた、幼い頃のこと。



「あんたなんて死ねばいいのにっ!!」

「出ていってっ!!」


そう大きくはなかった私の家にヒステリックな怒鳴り声が響く。

それとともに私の顔や頭やおなかに拳が飛んでくる。


これが私のだった。


確か、妹が生まれる前だから私が3歳くらいの時から、日常的に暴力、暴言―― 一般的に言うを受けていた。


だから、私には幼い頃の記憶でいいものなんてほとんどなかった。


さらに、学校ではいじめられてもいたから、あの頃の苦しみは相当だっただろう。


と言われる日々を送る同級生を傍目に、私は悲惨な日々を送っていたと思うと、大人になった今でも耐えられないと思う。


「家出計画」や「自死計画」。

そんなものを立てては失敗に終わったことも、もう一度や二度ではない。



そんな日々を乗り越え、今私は家庭を持っている。


そして、真和まあおという可愛い一人の娘がいる。


絶対に同じことは繰り返さない。

真和うちの子にだけは絶対に同じ思いはさせない。



そう、これがだ。

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