第51話 ハンターズバトルトーナメント-3
白熱した戦いに会場は非常に盛り上がった。
「鹿羽探索者、門前探索者の両者ともかなりハイレベルな戦いでしたねぇ!ユニークスキルを発動してからの両者の戦いは正に超人。興奮しましたよぉ!」
「ですね。流石は日本のトップクラスの探索者です。選ばれし人間という事ですね。」
「そうですねぇ。では会場の興奮も冷めない内に次の戦いの探索者をご紹介します。」
「ご入場願います。まずはこの方、自衛隊から探索者へと活動の場を変え、見事に国家戦力級探索者へと登り詰めた男。ランキング25位、日本国内では現在ランキング3位、
「対戦するのはこの方、オリンピック空手日本代表であり、大会5連覇を成し遂げ、その後に探索者となり、なんとこちらも国家戦力級探索者の男。ランキング35位、
両者が武闘場へと上がり、緊張感と威圧感に会場はピリピリとした雰囲気となる。
「では両者準備出来ましたか?それではレディーーーーファイッ!!」
先手は火神が剣を持ち、斬りかかる。
神藤は容易に避け、ニヤっと笑みを浮かべる。
「自衛隊出身と聞いたが、この程度か。楽しめると思ったのだがな。」
「まだまだ序の口だよ。スキルすら使っていないんだ。判断するのは尚早だと思うよ。」
「ふっ。今の剣筋で大体の実力は読める。火神君、今のうちにギブアップすることをオススメするよ。」
「いやだね。」
「………恥を掻いても知らないぞ。」
神藤はそう言うと、『身体強化』スキルと『脚力強化』スキルを発動する。
神藤は火神の腹部へ蹴りを入れる。
かなりの威力が込められた蹴りだが、火神も体に力を入れて耐える。
「ぐっ。流石は空手世界王者。蹴りが重すぎる。」
「まだまだ本気ではないぞ。」
火神は剣に魔力を込めると、剣は炎を纏い、炎剣となる。煌々と燃える剣を振るうと熱で地面が溶け出す。
「当たってもダメ、避けても炎に触れたらダメ、試しに当たってみるかい?あなたを燃やし尽くすまでこの炎は消えないよ。武技『
武技はスキルとは別の力であり、主にスキルは魔力を消費するが、武技は闘気を消費する。闘気は闘いの場数でしか増加せず、経験が豊富な程より強力になっていく。
火神は斬り込み、神藤は避けるも、火炎のせいで避ける範囲が広く、普段より慎重に大きく避けるしかない。
大幅な回避行動は隙を生む。
次第に余裕がなくなる神藤だが、少しずつ真価を発揮していく。
「その武技は厄介だな。ではこちらも少し本気を出すぞ。武技『空拳』、『気功法』スキル、『闘気撹乱』スキル発動。」
神藤は全身に魔力を漲らせ、気功法スキルで魔力を闘気へと変換する。
空拳は正拳や蹴りなどの武術技に気による衝撃を乗せて、中距離にいる相手に波動を飛ばす武技である。
その波動に相手の闘気を撹乱させ、相手の一律で安定的な闘気に波を作り出し、武技を解除するというスキル。
波動は目視出来ない。
いつのまにか火神の武技は解除される。
「すごいですねその技。スキルにそんな使い方があるなんて。」
「行ってきた努力は並ではないがな。」
「その様ですね。ではそろそろ様子見も終わりにして、本気で行きますよ。」
「来い。ランキングと強さは一致しないという事を君に教えてやる。」
火神はユニークスキル『炎神の祝福』を発動する。
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『炎神の祝福』
火属性の操作、適応度が最高値まで上昇し、己が身すら炎になることができる。炎神に愛された者が持つスキル。
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火神は自身を炎と化する。
不動が行う雷化と同じ現象を起こす。
炎化は物理、魔法攻撃力にバフがかかり、火属性への適応力、操作力、火炎によるダメージの無効化がある。
雷化が速度を異常な数値に押し上げるのに対して炎化は攻撃に特化しているということだ。
「なるほど、かなり強いスキルをお待ちの様だな。」
「行きますよ。」
神藤に向かい、炎で作られた剣で斬り込む。
炎で作られた剣は変幻自在の形を取り、避けたとて避け切れず少し炎に触れてしまう。
一気に燃え盛る炎に道着の右肩から横腹までが燃えていく。燃え広がる前に道着を引きちぎる。
「こちらもユニークスキルを発動させてもらう。『
神藤の体に土と岩石で出来た鎧が作られる。
ある種のゴーレムのような見た目になる。
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『岩纏土俠』
・岩石や土で鎧を作り出す。魔力が練り込まれた岩石は強度が大幅に上がり、熱も通しにくい。
動きを邪魔することもなく、操作性に優れる。
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「行きますよ神藤さん。俺の火炎の力を見せてあげますよ。」
「火なんぞ岩に相性が悪いだろう。潰してやる。」
「火炎の龍よ燃やし尽くせ。火属性上級魔法『炎龍』‼︎」
神藤へ火属性上級魔法を放つ。龍の形を取った巨大な火炎は口を開け、神藤を飲み込もうとする。
「だから岩には火は通じん。武技『堅岩の盾』‼︎」
火龍はその体躯よりも更に大きな岩の盾にぶつかり霧散する。
「か、かたい。でもまだまだ行きますよ。炎化武技『
剣に白き炎を纏い、渦を巻き槍状に変化する。
火炎耐性のある岩の盾に穴が空き、火炎の槍は神藤へと向かう。
「やるな。しかし、この岩の鎧は貫けはせん。」
神藤の岩鎧が最も容易く白炎を防ぐ。
「今使える最高の武技を見せてあげますよ。炎化武技『
剣に纏った火炎が極大化し、振り下ろした火炎が神藤諸共飲み込む。
その超高温は岩鎧すらも溶かし、全身に火傷を負った神藤が武闘場に倒れ込む。
そして、勝負が決着した。
「おーっと!神藤探索者倒れたー!!勝者火神探索者!!」
「見応えがありましたね。国家戦力級探索者同士だとこれ程までに高レベルな戦いになるのですな。特に闘気撹乱スキルを炎化スキルで無効化した辺り。かなりの使い手でした。」
「やはり藤堂支部長から見てもそう思われますか。武闘場の修復に時間がかかる様なので、一旦CMに入らさせて頂きます。」
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