第31話 赤龍との戦闘(別視点)

 私の名前は友坂真桜ともさかまお

国家戦力級探索者であり、ランキングも50位と世界でも屈指と言える実力者だと思う。


 そんな私はハンターギルドの依頼により、岐阜県を滅ぼした赤龍と戦う為に愛知まで来た。


 私の他にも多くの英雄級探索者や一般探索者の方が居て、この人数が居れば倒せる可能性が感じられた。


 時が来て、空には巨大な赤龍が山の上から飛んできた。


 実物を見たことはなかった。


 ゲームなんかに出てくる二足歩行の龍ではなく、胴体が長く、立派な髭がついた龍だった。

 紅い鱗は異様な程に綺麗で目を奪われた。


 綺麗なのは鱗だけだった。

龍が放ったブレス攻撃を何とか六角障壁で防ぐ。

 

 防いでいる間に皆さんには魔法で攻撃をしてもらう。

 今までの戦闘ではこれで上手く敵を倒してきた。どんな攻撃も6回だけは確実に防ぐ事ができる。私には攻撃魔法も攻撃スキルもない。


 ユニークスキルというチート能力がなければランキング50位になんて入れない。


 攻撃隊の皆さんが必死に中級魔法、上級魔法を放つ。全てがヒットした。

 だけれど、空には傷一つすらついていない赤龍がまるで羽虫の攻撃と言わんばかりにこちらを見ていた。


 「ふははは。だからそんな脆弱な魔法なんぞ効かぬと言ったであろう。絶望せよ人間。」


 龍のその言葉に探索者の皆が絶望の底へと叩き落とされた。


 赤龍はそれからも何度もブレス攻撃を放ち、六角障壁の限度を使い切った。


 死の間際に、家族の顔が思い浮かぶ。

お父さん、お母さん、お兄ちゃん。

誰か助けて。死にたくないよぉ。


 赤龍のブレス攻撃がこちらに迫る。

目を瞑り、もうダメだと思った。


 ブレス攻撃が来ない。

恐る恐る目を開けると目の前には黒髪の男性が立っていた。


 左手には白銀に煌めく刀を持ち、黒と銀を基調としたその闘衣は美しく妖しげで黒炎靴ブーツは見るものに恐れを抱かせた。


 「なんだこのデケェ蛇は。図体だけは一丁前だなァ。弱ぇえ癖に調子こいてんじゃねぇぞ。」


 目を大きく開け、私の心は彼の物になった。


 赤龍と彼の闘いは一方的だった。

赤龍のブレス攻撃は尽く断ち切られ、無力化されていった。

 

 赤龍はスキルを使い、身に炎を纏い出した。

身に纏った炎を吸収し、自身の力へと変換した様だ。


 そんな奥の手を残してたなんて、どちらにしても私達は死んでいたのね。


 彼が、愛しの彼が助けてくれなかったら。


 その後、本気の火属性魔法を赤龍が放ち、その魔法も赤龍すらも飲み込む彼の氷雪属性魔法でこの闘いは終わりを告げた。


 圧倒的で、力の差は歴然。

しかもまだ彼は本気を出していなさそうだった。


 どれだけ強いのかな。


 私もあんな風になりたいな。


 そんな事を思っていると彼は欠伸をしてどこかへ飛び立ってしまった。


 空も飛べるんだ。すごいなぁ。


 名前なんて言うのかな。


 また、会えるかな。


 会いたいなぁ。


           ✳︎


 【某インターネット掲示板】


スレタイ

〜赤龍と謎の男について〜


001.名無しの探索者

 見たか?


002.名無しの探索者

 見たぞ。ヤバかったなw


003.名無しの探索者

 ヤバいとか言うレベルじゃないでしょ。


004.名無しの探索者

 まぁな。てか真桜ちゃん死ぬかとヒヤヒヤしてたけど死ななくて良かったー。


005.名無しの探索者

 正直ギリギリよな。つーか名前わかる奴いねーの?有名な探索者じゃね?こんな強いなら。


006.名無しの探索者

 んー、知らん。もしかしてだけど正体不明のランキング一位だったり?まさかな。


007.名無しの探索者

 そんなわけなくて草。


008.名無しの探索者

 わからなくね?もしかすると。


009.名無しの探索者

 てかこの間おまいら噂コメしてたから来たんじゃん?


010.名無しの探索者

 ってことは俺らが救国の英雄的な?w


011.名無しの探索者

 なわけねーだろw寝言は寝て言えw


012.名無しの探索者

 いずれにしてもハンターギルドが探し回るだろ。近々見つけ出して接触するんじゃないか?


013.名無しの探索者

 大事なことに気づいた。真桜ちゃん助けられたやん?惚れたんじゃね?


014.名無しの探索者

 @013...お前は気づかなくて良い事に気づいてしまったな。真桜親衛隊の皆さんどうか落ち着いてください。


015.名無しの探索者

 真桜様に近づくものは須く○す。


016.名無しの探索者

 ほら来た責任とれ。というか○せないだろどう見ても。奴は強すぎる。毒も効かないんじゃね?


017.名無しの探索者

 死神や悪魔に魂を売ってでも必ず成し遂げてみせる。


018.名無しの探索者

 ほら雲行きが怪しくなってきたぞ。主〜スレ閉じようぜ〜。』


          ✳︎


 ハンターギルド米国本部


 白のグランドマスター。

リアム・ホワイトは、衛星カメラの映像を見ていた。


 「No.1か?それしか考えられん。何故今頃になって現れたんだ?一体何処にいたんだ。」


 「コーヒーをお持ちしました。」


 「あぁ、ありがとう。ねぇキャリーちゃん。No.1見つけたかも。」


 「ネットで話題になってる人ですね?どうやら日本人の様ですが、どうされるおつもりで?」


 「そうだねぇ、まずは接触かな。その後は話をして人柄を見る。丁重に対応しないとね。」


 「そうですね。あの映像を見る限り、No.2から下の探索者をフル動員しても彼1人に勝てないでしょうし。何としてでも力になって頂けるように交渉しましょう。」


 「やっと見つけた希望の光がこんなに強くて、眩しいとは思っても見なかったよ。」


 「我々は理解してますが、各国のトップやその下の者達が私利私欲で彼に接触しないか心配です。」


 「だねぇ。一応声明は出しとくけど、水面下でやられたんじゃ対応しにくいからね。どうなることやら。お願いだから眠れる獅子を起こさないでもらいたいね。」



           ✳︎


???


「え?おにい?」

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