第28話 その頃地球は
不動がダンジョンを攻略している頃。
日本や世界の主要都市ではダンジョンゲートが次々と現れた。
各地で出現したゲートには日本では自衛隊が、世界各国では国軍がダンジョンへの攻略を進めた。
各国はダンジョンから持ち帰った情報を秘匿し、或いは公開できるものを厳選した。
共通した情報では、レベル、存在格、スキル、魔法、ステータスなどがモンスターを倒すと取得できること。
各種モンスターを倒すと素材や魔石が手に入り、ダンジョン内では魔鉱石やその上位物である魔聖石が採掘出来た。
魔石は凄まじいエネルギーを保持しており、新しいエネルギー源として期待でき、同時に各国は魔石燃料開発を最優先で行った。
魔鉱石には種類がある。
辺りを照らす
属性を持つ
空に浮かぶ飛行石などが該当する。
魔聖石にも幾つか種類がある。
不壊の特性を持つアダマンタイト。
神聖なるオリハルコン。
魔力伝導率の高いミスリルなどがある。
世界は、素材のその強大な魅力に取り憑かれ、国軍のみならず国民にもダンジョンへ潜る資格を与える。
有資格者を世間は
各種モンスターの素材は武器にも防具にも作り変えられ、魔鉱石の加工、商品開発を目的とした専門職として迷宮鍛冶屋という職が国を挙げて作られた。
月日が経ち、人類がダンジョンという存在に狂気的に取り憑かれている時、ダンジョンは人類に牙を剥く。
自衛隊の火神達が
ダンジョンゲートの色が青から赤に変貌し、中からは凶悪なモンスターが飛び出してきた。
ダンジョンブレイク。
後にそう呼ばれる現象がこの時に初めて起こる。
ダンジョン内の魔力膨張が限界を迎え、ゲートというダンジョンの蓋を無理矢理こじ開ける。
解き放たれたモンスターは、民を襲い、殺し、人類が今まで積み上げてきた歴史を破壊する。
岐阜市は出現したゲートから龍が放たれ、1日で滅んだ。
そしてその一月後、龍は岐阜県全てを焼き尽くす。
その光景を見て満足したのか龍は焼岳で休眠に入った。
龍に勝つことのできる探索者は居ない。
眠れる獅子ならぬ龍を起こす肝の据わった者はおらず、蛮勇たる頭のおかしな人間は挑む前に国により捕縛された。
不動が20階層をクリアし、25階層へと挑戦している頃、そして火神達がハンターとして活動して3年目の頃、世界の探索者の数が十万人を超えた。
探索者の頭にはランキングの機能が解除されたと女性の声でアナウンスが入る。
世界各国はこのランキングをインターネットで管理して世間に共有した。
なぜなら、ランキング上位の探索者の数が国力と言えるからだ。
モンスターには科学兵器が効かない。
では探索者にはどうだろうか。
魔力という未知の力により守られた探索者にもまた効果は無いのだ。
そしてスキルという不思議な力は弱小国を脅かすには過分な力となる。
探索者の格はランキングにより管理され、
TOP10を世界支配級。
11位から100位を国家戦力級。
101位から200位を英雄級とした。
1位の存在が不明のまま、3年が過ぎた。
不動が30階層でダンジョンマスターへの試練に挑んでいる時である。
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【某インターネット掲示板】
〜ランキング1位について〜
001.名無しの探索者
『ダンジョンがこれだけ盛り上がってる時に1位の人はどこにいるんだ?』
002.名無しの探索者
『いや知らん。てか国ですら把握してなくね?w』
003.名無しの探索者
『いやいや、そろそろ把握しないとダメやんか。てか本当に存在するのか?おーん?』
004.名無しの探索者
『今までずっとダンジョンに潜ってたりしてwww』
005.名無しの探索者
『ありえるwてかそれ絶対戦闘狂やんw』
006.名無しの探索者
『つーか、異常者やろそんなもん。』
007.名無しの探索者
『ランキング200位以上の探索者はみんな異常者定期w』
008.名無しの探索者
『おまいらそんなことここに書いてバレたら消されるぞコメントのみならず存在も。』
009.名無しの探索者
『ごめんなさい。001に書けと言われました。消すなら001にしてください。』
010.名無しの探索者
『即なすりつけてて草』
011.名無しの探索者
『www
冗談抜きでどこにいるんだろうな1位の人。』
012.名無しの探索者
『まぁ良いんじゃない?日本にも12位の人が居るんだし、世界から見ても強国ではないかもしれないけどさ。』
013.名無しの探索者
『いやいや、弱いだろ。2位はアメリカ、3位が中国に居ることは確定してるし、他の先進国も一桁が居る。先進国の中でも弱い方だぞ日本は。』
014.名無しの探索者
『まぁな。それと焼岳の龍が目覚めたら終焉を迎えるのもポイント高い。さて、アメリカに引っ越すか。』
015.名無しの探索者
『割と笑ってられないのも事実だよな。1位の人が日本人だったら良いなぁ…。』
016.名無しの探索者
『そんな都合の良い事あるわけw馬鹿な事言ってないで最後の晩餐でも決めとこうや。』
017.名無しの探索者
『悲しくなるやんか。政府もそらはよ探さなあかんやろ。おーん。』
018.名無しの探索者
『何でちょくちょく阪神の監督出てくるん?おもろないで。』
019.名無しの探索者
『辛辣で草。』
020.名無しの探索者
『どこにいるのかね1位の人。』
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ネット掲示板で盛り上がりを見せている頃
焼岳で休眠中の龍が目覚めた。
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