第7話 10階層ボス討伐、その時地上は

 不動が10階層のボスである地獄武者番人ケルベロスを倒した頃、世界中では異変が起きていた。


 日本の岐阜県にのみ出現していたゲートが世界中の107ヵ所に出現した。


 そのゲートはノアの方舟とは異なり、まるで異界とでも繋がってそうだと一目で分かる。


 良くあるゲームに出てきそうな円形で青い異空間の門であった。


 そのゲートは青から赤に変化すると、魔物が外に出て、ゴブリンやコボルトなどの魔物が地上の人々を襲い出す事が分かった。


 世界中の国々が大混乱の中、各国の政府が次々と現代兵器で応戦するが、尽くが無効、無意味に終わる。


 科学兵器の効果はなく、そのことを悟った各国の政府は一時的に機能麻痺に陥った。


 それは日本も例外ではない。


 陸上自衛隊も遊撃戦へと移行し、政府からの指揮を失った陸上自衛隊員が独断でとある門へと侵入。


 1人の隊員が白兵戦でゴブリンの武器を奪うと

その武器でゴブリンを撃破。


 倒した隊員の頭の中には女性の声で


【ステータス】が解除されました。

という声が響いた。


その、瞬間、ステータスとは何かを理解した。


--------------------------------------------------------------


火神灰人かがみはいと】[23]

種族:人間

存在位階:F[2]

状態:健康

HP:12/12 MP:12/12

物攻:5

防御:3

魔攻6

魔防:5

敏捷:4

幸運:3


【ユニークスキル】

『炎神の祝福』


--------------------------------------------------------------


「あの真田隊長…。」


「ん?なんだ?火神。」


「何か女性の声がしませんでした?」


「女性の声?ゲートの入り口の時か?今は何も声なんてしてないぞ?大丈夫か?」


「…いえ、大丈夫です!」


(しかも、ステータスの事が何故か理解できる。)


「真田隊長、もしかしたらさっきの魔物を……倒したからかもしれません。」


「何をゲームみたいな事言ってるんだ……とも言い切れないよな…。よし皆!各々徒手格闘でゴブリンを倒してみよう!」


 火神以外の隊員が全員ゴブリンを倒し終える。


「確かに聞こえた!?ステータスってな。まるでゲームみたいだ…。」


「あぁ…。ステータスも存在格ってやつもまるでゲームのレベルじゃん。」


「一先ず、この情報を持ち帰るぞ。それに、これはもしかするとこの世界のあり方を全て変えてしまうぞ。」


「………。」


「隊長……おれ!自衛隊辞めるっす。」


「はっ?本当か!?原田!!なぜっ!!」


「こんな世界になって、面白くなってきたんだ。自衛隊なんてやってられないっすよ!」


「まぁ確かにそうだが…。俺は自衛隊に残る。自衛隊員として俺は国民を守る事にするよ。」


「隊長ならそう言うと思ったっすよ。他のみんなはどうするんすか?」


「僕は真田隊長に着いていくよ。家族も恋人も居ないしね。」


「麻生……。」


「俺は………。俺も辞めて、このゲートの探索を続けて見ようと思います!真田隊長!今までお世話になりました!ここの情報の事はよろしくお願いします!」


「分かった!原田と火神は探索。俺と麻生は自衛隊。あと、おまえはどうするんだ?釈。」


「ふふ。ボクは勿論探索しますよ。自衛隊に居たのも銃が撃てるからってだけでしたからね。魔物を殺してた方が面白そうだ。」


「そ、そうか。わかった。この事は上官には俺から説明しておく。俺たちは戻るからあとは各々好きにしなさい。」


(釈のやつ、隊にいた時から危険な奴だと思ってたが、ここまでイカれてたとは。)


 そう真田が言うと、帰還組と探索組とで分かれ、探索組は各々勝手にソロでの探索を開始する。


--------------------------------------------------------------


釈帝人しゃくみかど】[23]

種族:人間

存在位階:F[2]

状態:健康

HP:15/15 MP:20/20

物攻:6

防御:6

魔攻:10

魔防:10

敏捷:5

幸運:5


【ユニークスキル】

雷轟驚天ライゴウキョウテン

殺意化身マーダービースト


--------------------------------------------------------------


 世に混乱を齎す死の化身が解き放たれた瞬間であった。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る