転生した最強女子野球選手が異世界から帰還した監督の元で高校野球で無双するようです

紅白戦④

5回表が始まった。

今気づいたけどこの見物してる人が随分増えてる。

まあ試合に集中するけど。

バッターボックスに有馬さんが立つ。

先程は言い損ねたが有馬さんは一度当たりだしたら止まらないタイプ（某野球ゲーム風だと固め打ち待ち）のバッターだから勢いに乗られたく無いんだけどなぁと考えている間に夢幻は右投手用のグラブに持ち替えマウンドに上がった。

これがあるからスイッチピッチャーは嫌いなんだよ。

右と左とじゃ球威も違うし、変化球の変化量も違う。

夢幻君は両利きだと言っていたけど、実際は右利きだ。

つまり単純に左の時より球威も上がり、変化球の変化量も増えている。

右で投げる夢幻君は僕でもスリーベース程度しか打てないピッチャーの1人だから有馬さんには悪いけど有馬さん程度じゃあ打てる気は全くしない。

投球練習を終え、夢幻君は有馬さんに第I球を投げる。

その球は夢幻君の左のストレートとほぼ同じ球速で僅かに左に変化してアウトローギリギリに決まってワンストライク。

2球目はゆっくりとそれでいてしっかりと変化する超スローカーブ。

左の時より変化量が増え、さらに緩急をつけたこともあってか1球目と同じくアウトローなのに空振りする。

そして3球目に手元で大きく変化しインローにズバッとシュートが決まる。

シュートに辛うじて有馬さんはバットを当てるもボテボテのキャッチャーゴロとなりワンアウト。

次に迎えるのは野黒さん。

先程は紹介できなかったが、野黒さんは凰坂桐蔭の中で1番打率が高い安打製造機と呼ばれるバッターだ。

ホームラン数が少ないが、盗塁センスも抜群でプロ野球選手でも決めるのが難しい3盗を簡単に決めることができる。

そんな野黒さんが5番に入っている理由はチャンスでは絶対にヒット以上を打つ上に初球打ちという癖が野黒さんにあるからだ。

今日1番先輩方の中で当たっているが今の夢幻君の感じだと打たれても内野安打ぐらいだね。

1球目に大きく縦に変化するナックルカーブを夢幻君が投げると芯は外したものの初見で見事にヒット性の当たりを放つが夢幻君はフィールディングも一流なのでいとも簡単に捕球されファーストの井澤君に投げられるが野黒さんの足やっぱり速いね。

かなりタイミングは際どかったがセーフになった。

そしてワンアウトランナー一塁で岡部さんを迎える。

先程は紹介しそびれたが、岡部さんは凰坂桐蔭一のホームラン数を誇るアーチストだ。

ただし三振もアーチストらしく多く尚且つ足が遅いのでゴロアウトも多いバッターである。

そんなお壁さんに怯むことなく夢幻君は右腕からスクリューを投じた。

脱線するが、日本だとスクリューを投げる投手は左ピッチャーのイメージだが、最初に投げたのは右ピッチャーだ。

スクリューは投げたピッチャーと同じ方向に変化する点は同じだが緩やかに落ちる点が異なる。

さて本編に戻ろう、夢幻君が投じたスクリューはアウトローにゆっくりと落ちていき早打ちしてしまった岡部さんのバットに当たりセカンド方向に転がる。

流石に野黒さんも2塁に間に合わずアウトとなり、セカンドの貴瀬君がファーストに送球し岡部さんもアウトとなり4−3のダブルプレイが成立しスリーアウト。

そして裏になり、なんと菅原さんがマウンドを降りて峰原さんがマウンドに上がった。

鉢原さんは左のアンダースロー。

スタミナが無いのが欠点だが抜群のコントロールと球威を誇るピッチャーだ。

スタミナが無いので基本リリーフとして使われる。

リリーフでありながらドラフト候補だったりする。

そんな、蜂原さんがマウンドに上がったわけだけど初見だと流石に僕でもスリーベースが精々レベルのピッチャーなので期待はしないでおく。

貴瀬君について紹介してなかったので紹介すると守備はプロ野球選手と比べても謙遜ないレベルだが力があまり無い上にミートも下手である所謂守備職人型の選手だ。

そんなことを話しているうちに、蜂原さんはアウトローに凄くノビのあるストレートを投げると、2球目に手元で大幅に変化するシンカーで追い込み、3球目のインローからボールになるスプリットで三振を奪った。

そして続く朝霞君は守備も上手く、肩も強い選手でバッターとしてはプルヒッターだ。

プルバッターとしては珍しく内角にも外角にも強いので打者としても良いバッターだが今日は夢幻君のリードに集中してもらうために9番バッターだ。

初球インローに決まるカーブを引っ張りレフトフェンス直撃の当たりでスタンディングダブル

を決める。

バットの芯で捉えていれば間違いなくホームランだったね。

それでもアンダースローが投げるカーブは魔球だし左対左なので良く打ったけどね。

そしてトップに再び還り、伊織君が打席に立つ｡

初球の浮き上がるようなインハイのストレートを見送りワンストライク。

2球目のアウトローに深く沈むシンカーを上手く流してライト前ヒットと思いきや、ライトの与祢さんのファインプレーが飛び出した。

打球をスライディングキャッチするとベースカバーに入ったショートの矢崎さんに送球し朝霞君は慌てて戻るも間に合わずライナーゲッツーが成立した｡

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後書き　後3､4話で紅白戦終わる予定です。