第8話 最後
「……ぅ」
どのぐらい意識を失っていたのだろうか。頭を振り払い、思考を明確化させる。
辺りを見渡せば爆発の影響かルナルドを中心として少しひらけた広場となっており、視界の端には拘束された男達が意識を失っている。シアンはその傍で少し複雑な顔をしながら最低限の応急処置をしているのが見えるだろう。
「全く……甘いんだから」
その優しき声音が聞こえたのか、此方に振り返り笑みを浮かべて駆け寄る。その足取りはひょこ、ひょこ、とたどたどしいものだ。よく見て見ればシアンの足には包帯が巻かれ、ルナルドの両手や全身にもこれでもかと思える程包帯が巻かれているだろう。
「良かった……無茶をするんだから」
「アタシ様達じゃまともに勝てない相手だったからねぇ。シアンこそ自分から突っ込んだり大分無茶してたろ?」
「あー……ほら? 僕のお手本になる人も大分無茶してるからその影響かな?」
「ほー? なら仕方ないかもなぁ」
お互いに軽口を叩き合い、いつものようにくすくすと笑い合う少女。それは年相応の少女としての笑顔。二人は寄り添い合い、この底辺の町でこうして生きていく。例え、どんな辛く苦しい生活であっても。
少女達の戦いは終わった。だが、この戦いは謂わば前哨戦。ここから先は交渉と言う名の、卓上での戦いが始まるのだ。。
「後は任せたよ、ドラック」
――彼女は空に願った、空に願う彼女の顔は確かにこの町を憂う者の顔だった。
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