死んでもなお君には
アカサ・クジィーラ
俺にとって
桜舞う。新しく増える青春の1ページ。
高校2年、
俺を虜にした彼女に、告白するから。
俺にとって初めて恋という感情を抱かせた原因だ。
さらには、2年連続で同じクラス。これはチャンスなのではないか。あまり同じクラスだったためライバル共はいない。別のクラスになったのだろう。だから、告白する。彼女とはじめて交わしたあの場所で...
■
一年前の夏、蝉は元気よく鳴く。命をつなぐように。彼はとある公園のベンチで横たわっていた。少し人間関係に嫌なことがあったら、いつも学校からかなり離れた山の上の公園へ向かう。その日も少し母と言い合いになったから、公園のベンチで横たわる。さて勉強しようと思ったときに母が勉強しなさい勉強しなさいとしつこく言ってたから、頭がしんどくなった。成績は大して良いとも悪いとも言わないのに。そんなときに誰かが近づいてくるのを感じ、体を起こした。
ねえ、志楽くんだよね?
山野知香だった。美しく長い髪を夏風と共にやってきた。俺にとってまるで女神のよう。俺はうなづいた。
志楽くんもよく来るの?
彼女は俺のとなりに座り、そう聞いた。俺はゆっくりうなづいた。いきなりクラスでも人気の子が喋りかけてきて、俺の心臓は破裂しそう。
そうか...わたしね、いつもここに来るんだ...
彼女は悲しげな顔でそう語ってくれた。
俺も...いつも...いやたまに?ここに来る。
もう、どっちよ〜
彼女に笑みが戻ってきた。いつものあの子だ。今から思えば、俺はこの時から彼女のことが好きになりはじめていたのだろう。それから夏休みではいつもあの公園に行き、彼女と談笑した。ひとときの夢。
学校が始まってからも、彼女との秘密裏の交流は続いた。俺が彼女と話してるところをみられたくないから。彼女にとってそれは好ましくないと思ったから。学校ではあまり一緒にならない。
しかし、それも相まってか俺の心は恋という水で満たされていった。
■
そして、今。LINEで彼女に伝えたいことがある、と連絡。今すぐにいつもの公園に来て、と。それは春休み明けてすぐの放課後だった。
彼女はなぜか来なかった。
暗くなってからも少し居続けたが、一向に来ない。街の方では救急車のサイレンがいつもより鳴り響いてるが、まさかなとそのまま帰宅した。
明くる日、新クラスとなったはじめてのホームルーム。そこで新担任が言った。
昨日、放課後で通り魔が現れ、本校の...本クラスの山野知香さんが刺され、亡くなってしまいました。
俺の記憶はそこで潰えた。その後の授業の記憶なんて、全くなかった。正気に戻ったときはその日の夜。
彼女と瓜二つの白装束の幽霊を見たから。
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