その被写体は逃げられない

クロスディアⅡ

第1話 君のその顔が撮りたくて

第1話


俺の名前は内堀うちぼり 裕司ゆうじ


何処にでも居る、高校生だ。


そんな俺には大好きな彼女が居る。


「ねぇねぇ、一緒に写真撮ろうよ!」

「またか?」

「良いじゃん!何度撮っても減る物は無いんだよ?」

「分かったよ………ほら、はいチーズ♪」

「チーズ♪」


彼女の名は井澤いざわ もも


写真を撮る事が三度の飯よりも大好きな、俺の彼女だ。


毎日撮ってるせいで、一緒にピースする事も慣れてしまった………


変に恥ずかしがってた俺が懐かしいよ………


「これからも、色んな写真を撮らせてね、裕司君♪」

「おう、当たり前だ。」


────多分、これが間違いだった。


俺は、案外早くコレを後悔する羽目になったのだ。


☆☆☆


「ん?何だ、コレ?」


とある日、桃から変なメールが来ていた。


内容は………


『ポストの中に、DVDが入っています。それを見てください。』


────何で?


「時々、変な事をするんだよなぁ………」


まぁ、彼女の頼みだ。


訳は解らんが、聞いてやるとしよう。


「あった、コレか………」


本当にあったな………


はてさて、何が映るんだ?


俺は期待しながら、DVDをセットして再生する。


そして………


『嫌っ、嫌!やめて!』


────後悔した。


『下の口は素直に受けているぞ?』

『嘘っ、そんな訳ない!』

『はは、どうだかな?』


映像の中で、彼女が俺の知らない男に無理矢理に抱かれていた。


いや、正確には知っている。


確か、学校でヤリチンとか噂されてる先輩だった気がする。


────いや、そんな事はどうでも良い!


何で、こんな事が!?


どうして、彼女はこんな物を俺に!?


どうして………


「良い顔だよ、裕司君♪」

「なっ!?」


パシャっと、カメラの音がした。


その方向を慌てて向くと、そこには桃がカメラを持って立っていた。


満面の笑みを浮かべて………


「うんうん、我慢してあんなゴミに抱かれた意義は有ったよ♪」

「何を………」

「ありがとう、裕司君。君の顔は何度撮っても、唆る物があるんだ♪」

「だから、何を………」

「いやぁ、あのゴミは気持ち良くさせてやるとかほざいてたけどさ、全く気持ち良くなかったんだよね。全然、気持ち良い所も突いてくれないしさ。やっぱり、私への愛がこもった裕司君の物の方が良いね!まぁ、そこら辺は確かめるまでもなく確信してたけどね♪そうだ、今度は私達でハメ撮りでもしない。君のそんな顔を撮る為とはいえ、不快な事をしたからさ、それを裕司君で上書きしてよ♪」


こ、コイツは………


────コイツは、何を言ってるんだ?


解らない。


訳が解らない。


怖い、ひたすらにコイツが怖い!


「お前、何がしたい………んだ?」

「ふふ、そんなの決まってるじゃん♪」


もう恐怖しか感じない満面の笑みで、彼女はこう答えた。


「君の色んな写真を撮る為だよ、裕司君♪」


続く

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