怖い話、どこかの誰かの体験談

とどんがどん

第一話 どちらがわ (男性宅配ドライバー)

ええ、怖い体験ですか?

少しくらいならありますよ。


その日は道が凄い混んでいて配送が少し遅れそうだったんですよ。

時間内といえど遅れると相手方も焦ることを知っているんで、その日も事前にいつもより遅れることを連絡したんです。


そこの店舗さんは本当にいい店舗さんで、時間は大丈夫なんで焦らずにいらしてください、なんて優しい言葉を言ってくれるんです。

本当に助かります。


いつもより30分くらい遅れて従業員専用入口に着いたんですよ。

セキュリティがあるのでチャイムを鳴らして、遅れてすいません!納品です!って伝えると、はーいって優しい声と一緒にセキュリティが解除される音が聞こえたんです。

解除と同時くらいにドアノブが下がりました。


その瞬間本当に申し訳なくなりましてね。

わざわざドア前で待機してるなんて、あぁ待たせてしまったな、仕込みだって早くしなきゃ間に合わないだろうにとかいろいろ頭によぎりましてね、そちらからドアを開けてもらうなんて滅相もないと思ってすみません!の言葉と同時にドアを開けたんですよ。


誰もいませんでした。



後日気付いたんですよね。

外側と内側のドアの取手が違うんです。

外側は棒状で内側は古い家によくある丸いタイプの取手だったんです。

どちらかぶつけて壊れたのかななんて思って好奇心に動かされたんです。

内側の取手を回しながら外側の取手を見ると外側は動かないんです。


あの時内側ではなく私の方にいたんですね。


最近家に帰ると虫がよく死んでるんですが何か関係あるんですかね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る