第161話
すいませんでした!
投稿予定日を明日にしてました、申し訳ないです!
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あれから丸一日以上を使って、少しずつ会話を進めながら情報を集めた。
リーディルの機嫌を損ねないように気を使い過ぎて、俺の精神的な疲労がとんでもないことになってるけど。
結果として集められた情報は多くは無いが、それでも色々なことが分かった。
ラー海洋国の本土周辺には、地図には載らない小さな島が無数にあるらしい。
そのため、大きな船が通れる場所は限られており、それが結果として国の防衛に一役買っているらしい。
そんな地理的状況だが、大型船は無理でも中型船なら通れる所はいくつかある。
そう言う所を使って悪いことをするやつが入り込んでいるようだ。
周辺の島々では海賊に襲われたり、人攫いが出没したりしているらしい。
国から兵士が巡回に出ているが、何と言っても広い海のこと、完全に防ぐことなどできていなかった。
リーディルの親は農家で(俺達には理解が難しいが)海中で作れる海人族向けの野菜を作っていたらしい。
裕福では無いが、家族六人で普通の生活をしていたそうだ。
家族構成は、両親と兄弟四人で、兄が二人、妹が一人だったらしい。
そんな生活も去年、害魚のせいで野菜をやられてしまったことで変貌してしまった。
今年の税金が払えなくなっていたのだ。
管理をしている役所へ害魚の被害を報告していたが、当然被害に遭っていたのはリーディルの家族だけでは無く、税金の免除は微々たる物だったらしい。
そんな時、見ず知らずの人間が子供を捜していた。
海人族での子供で、港で働ける者を奉公に出してくれるなら金を出すと言うのだった。
害魚の被害に遭っていた家族はその話に飛び付いたらしい。
何人かの子供が集められ、その中にリーディルもいたそうだ。
結局、その中で選ばれたのはリーディルだけで、家族と別れ船に乗せられることになった。
ところが気付いた時には、寝ている間に檻に入れられてしまっていた。
周りで話している男達の話を聞けば、奉公なんてデタラメで違法な奴隷として売られるらしい。
そう、家族もリーディルも騙されていたのだ。
ただ男達の話だと、両親は気付いてるはずだと言っていた。
とても奉公人の受け取る前金の金額では無かったからだそうだ。
そうだとすれば、両親は気付いていて自分を売ったことになるとリーディルは言っていた。
男達の話を聞けた時間は少なかったらしい。
魔物からの逃亡とその後の戦闘でバタバタしていたせいである。
まあその後は、俺も知っている通り、俺に助けられたと言うことだった。
この話を聞いて、確実に大きな犯罪組織が絡んでいると分かった。
少なくとも、違法な奴隷を売買している組織的な犯罪を行っている組織が存在している。
俺が一人でどうこうできる物では無いし、それを告発しても他国に跨る組織など、そう簡単に潰すことなどできないだろう。
と言って、末端をいくら潰してもダメージは少ないはずだ。
俺ができるのは、精々違法奴隷に関係してる所を見付けて、そこを調査して情報や証拠を押さえ、協力者に渡すことぐらいだろう。
ただ、ちょっとだけ気になっているのは「違法奴隷売買」と言うことだ。
どうにもこの言葉を聞くと新神教の孤児院を思い出してしまうのだ。
どこかで「違法奴隷売買」と聞くと新神教が絡んでる気がしてしまう。
まあ仮に証拠集めして、そこに新神教が絡んでるとなれば協力者達の協力も得られることになるから、思っているより簡単にことが進むかもしれないけどな。
さて、聞き出せる情報は聞き出したし、後はリーディルを連れて青海城へ向かうだけだ。
その道中にでも、リーディルの今後のことを話し合えれば良いだろう。
さて早めに休んで、明日は出発しよう。
朝、誰かの叫び声で目が覚めた。
少し離れた海岸の方から、聞こえたのだと思う。
木々の隙間から、その方向を覗いてみた。
・・・村の舟より大きな船がある。
村人とは違う服装の男達が数名、村人らしき男性に暴力を振るっていた。
たぶんあれはリーディルを探してるヤツラだろう。
ってことは、俺達のことがバレるのも時間の問題だろう。
『アンバーはリーディルの護衛を頼めるか?ニジは、船に潜入して欲しい。中にどれくらいの人間がいるのか調べてくれ』
『エドガーは?』
『俺は、ヤツラの動きを見てから対処するよ。たぶん村人が俺のことを話しちゃうだろうし、こっちに来ると思うから』
『そう。なら、この娘は私に任せなさい』
『ああ、二人とも頼んだぞ!』
「リーディル、君を探しに来たヤツラがいる。俺が何とかするから、この
二人に指示をした後、リーディルにも説明して隠れてもらった。
あっ!来る。
俺の方に向かって来るのは三人か、一人は海岸に残ってる。
既にアンバーはリーディルと隠れたし、ニジはとっくに船に向かった。
だから、ここにいるのは俺一人だが、あの程度のヤツが十人来ようが、二十人来ようが敵では無い。
そういう自信もあって、冷静にヤツラの動きを見ていることができていた。
「おいっ!そこに隠れてるのは分かってんだ!大人しく海人族の子供を渡しやがれ!さもないと、どうなっても知らねぇぞっ!」
何とも典型的な脅し文句だな。
普通なら笑ってしまいそうなんだが、怒鳴ってるやつの三下っぷりと似合い過ぎてて、ウンウンと頷きたくなった。
それでこそ三下!って言ってやりたいぐらいだ。
で、持ってるのは・・・
あれじゃあ、俺の持ってる槍には勝て無い。
攻撃してきても、届く距離が違い過ぎる。
俺の持つ槍が短目だと言っても、倍以上の差があるからな。
となると警戒するのは飛び道具か。
ナイフあたりを投げてくる可能性があるかも?
そこだけ注意してれば、怪我もしないだろう。
俺はヤツラのことを確認できたので、木々の間から出て行くことにした。
「で、何やら俺を脅してるような台詞が聞こえたんだが?お前ら雑魚の癖に正気なのか?」
この煽ってる感バリバリの言葉遣い、実は守護者の盾で教えられた方法だったりする。
この手のヤツラは単純で、煽ると直ぐに怒りで沸騰するらしい。
そうなると動作も考え方も単純なゴリ押しになるから、こっちが冷静に対処すれば、楽に制圧できるんだって。
変に冷静なままだと訳の分からないことをすることがあって、逆に危険なんだと説明されたことがあるんだ。
これが通用するのは下っ端や三下だけだって言われてたけど、効果は覿面のようだ。
「ガキが舐めやがって!」
いやいや、強さに年齢は関係無いし。
三人揃ってカトラス片手に突っ込んでくるとか・・・ダメダメだな。
左側から来るヤツが一歩早い。
そう見取り、左側から横に槍を振る。
左側のヤツが槍に弾かれ、隣のヤツにぶつかり、ぶつかられたヤツも体勢を崩してよろめいて更に横のヤツにぶつかりと玉突き状態になった。
俺はここまで連鎖するとは思っておらず、唖然。
こんな素人に毛が生えただけのヤツに手間を掛けるのが馬鹿らしくなった。
手っ取り早く戦えなくするために、何も持てないように両手首を折ることにする。
こんなヤツラの手首を折るだけなんて、時間も掛からないし、アッと言う間に終わり、痛みに喚いているヤツラに槍を突きつけた。
「で、お前らは何だ?海賊か?ただの人買いじゃないよな?」
「俺等にこんなことをして、頭が黙ってねぇぞ!」
ほう、まだ逆らう気概はあるのか。
その言葉に関心が少し、状況判断ができないことへの呆れが大半の俺は手を動かす。
折ったばかりの手首に、槍の石突をぶつけたのだ。
「ぎゃぁー!」
「反抗せずに大人しく話せ。じゃないと、今度は切り落とすぞ」
そう言った俺を見る、残っていた二人の顔色がドンドンと青くなっていった。
「さて、どうする?話すか?」
反抗したヤツは未だに手首の痛みで蹲っていたが、他の二人は自分の手首を体で隠すようにして首を縦に振っていた。
俺が三人を
今頃は、船内でニジの糸に巻かれた状態で転がっていることだろう。
さて、色々と情報を集めないとな。
ってか、本当なら今頃は朝食を食べて、青海城に出発してる予定だったのに・・・
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