第146話
昨夜は、みんなで思う存分食べたな!
俺が指定した「美味い料理」を見事に叶えてくれていたからな!
チラッ!とだけ、メニューの料金表示を見たけど、一品あたりの単価が普通の店の三倍以上してた。
ちょっと計算しかけたけど、驕りだってことを思い出して止めたよ。
何となく金額を気にしだしたら料理が美味しくなくなりそうだったからだ。
俺もアンバーも冒険者として活動してたから「食べれる時は、しっかり食べる」って行動が染み付いてて、それぞれが三人前近く食べただろう。
だけど、一番食べたのはニジであることは間違いない。
あの体の大きさで、それほど食べられるのか不思議になるほど食べてたからな。
ぱっと見、自重の五倍くらいは食べてたはずだ。
まあ、久しぶりに腹一杯って感じまで食べたもんだから、その後はバタンキューって感じで寝てしまった。
翌日も昼過ぎまで寝てしまって、昼食を食べたいとニジに起こされるまで、俺もアンバーも熟睡してた。
ってか、俺らよりも食べてたニジが最初に食事が食べたいって言い出すなんて、もしかしてニジって燃費が悪いのか?
そう思ったんだが、聞いてみると違ってた。
『・・・住んでた場所・・・食べ物・・・少ない・・・食べれる時・・・食べる・・・食べれない時・・・食べない・・・食べた物・・・魔力に変換・・・魔力として・・・蓄える・・・』
そう言えば、ニジって喰溜めってスキルを持ってたな。
それが理由だったか!
あれ?でも寝溜めってスキルも持ってたはずだぞ?
『・・・寝ても・・・魔力回復・・・できる・・・でも・・・主いる・・・食べれる・・・寝るより・・・食べたい・・・』
寝るより食べたいってことか。
あれだな、食べたくても食べれなかった時期があるから、食べれることが嬉しいって感じなんだろうな。
そう考えると、俺達って全員が食べるの好きだよな。
俺もアンバーと美味い物が食べたくてシェフスキル取ったし。
俺って、ニジのこと言えなかったぜ!
昼食を食べてからも、宿屋でマッタリ。
アンバーもニジも寝てる。
俺は、コソコソとスキルの確認中。
新しい錬金術師(金属)の確認は必要だろう?
で、取り出しましたのは?
ドワーフの国、酒と鋼の王国に行った時に手に入れた、謎の金属!
俺の鉱物学師でも判定できなかった、不思議な鉱物だ!
鉱物学師で分からなかったんだから錬金術師(金属)で分かるとは思ってないけど、何かヒントがあるかも?って期待はしてる。
『錬金合成金属であるが、合成時の割合が間違っており、無理矢理合成したことで鑑定等でも判定できない謎金属になっている』
・・・分かっちゃった?マジ?そんな理由なの?
チクショウ!失敗作かよ!
何か凄い金属かも?って、チョット、だけ期待してたのに!
「はぁー、でも一つ分かったことがあるな。鉱物学師で分かるのは、正しい知識に沿った、正しい金属だってことだ。それは天然とか人工とかは関係無いのだろう。判定できない物は、間違った合成金属ってことだろうな」
さっきの判定結果には続きがあって。
正解であろう錬金合成金属のリストが頭に浮かび、錬金合成をやり直しできると知らせてきていた。
種類は三種類だが、内容が・・・ちょっとだけ問題ありそうだった。
なので、一端保留することにした。
何故か?持ってるだけでヤバイから!
ドワーフの国で失われた知識って言われてる金属だから知られれば確実に狙われることになる。
というか、これって他にも錬金術師(金属)持ってるやつが見付けてそうなんだけど?
何で失われてて、未だに誰も見付けてないんだろう?
・・・っは!まさか?鉱物知識が関係してるんだろうか?
実は、両方あって初めて判定できるとか?
更に不味い気がするんだけど・・・やっぱり一端保留・・・というか封印しとこう。
後で何かしら方法を考えて、世間に広げるようにしないとな・・・
うわー、また厄介事が増えた。
まだ、クエストの方もあるのに、こっちも考えないといけないのかよ!
俺は生産系のスキル集めがしたいんだけど・・・面倒事ばかりが増えてく気がする・・・
あっ!そうだ、錬金術師の合成を試してない!
『錬金術師(薬)と錬金術師(金属)の合成は可能か?』
『不可能です。(薬)(金属)(宝石)(布)が揃って初めて合成が可能となります』
っ!やった!初めて錬金術師の合成条件が分かったぞ!
(金属)をもっと集めて、更に(宝石)(布)を集めれば、アルケミストの本当の能力が解放されるってことだろう。
でも、全部集めるには多いなぁ。
まだまだ時間が掛かりそうだ。
思わぬ成果はあったものの、スキル関係で今できることは無いってことで、取り出したるは・・・濡れた布とブラシ!
のんびりしてることだし、ブラッシングでもしようか!
丁度、都合良くヘソ天で寝てるアンバーを最初の標的に定め。
まずは濡れた布でしっかりと汚れを落とそうか!
ワシッ!と捕まえたアンバーの無防備なお腹を、ゴシゴシ。
「何よ!寝込みを襲うなんて!許可無く何考えてるのよ!止めて!そこはダメーー!」
随分な言われようだが、無防備な時じゃないとお腹側を綺麗にしたくても激しい抵抗に合うんだよな。
だから不意打ちしたんだけど、アンバーの文句を聞いてると、何かイケナイことをしている気分にさせられる。
綺麗に拭き終わったら、ブラッシングで絡まった毛を優しく梳かしていく。
散々な文句を言ってたアンバーも観念したのか大人しくされるがままになってる。
俺としては、ジタバタされるより断然やり易い。
お腹側が終わったら、今度は逆向きだ。
アンバーを引っくり返そうとしたら、突然ブツブツ言い出した。
「もう、お嫁に行けないわ」
どういう意味だ!コラッ!
「だって、こんなにされて・・・エドガーに弄ばれてしまったわ・・・」
「随分と人聞きの悪いことを言い出すんだな。ってか、そんなバカみたいな台詞を誰に習ったんだ?」
何とも巫山戯た物言いだ。
こんなことを吹き込むのは、あの二人だろう。
「エスクラとキャスリーンだな?」
「あら、バレた?」
やっぱりか!
「誰かをからかってたのを聞いて憶えたんだな!全く、いらないことばっかり憶えて!」
「でも、エドガーが私の寝込みを襲ったのも、ダメって言ったのに無理矢理ブラッシングしたのも事実だわ」
そりゃあそうだが、態々念話じゃなくて普通に喋ってる時点で問題だらけだ!
そういうことを言うなら、こうだ!
「分かった。もうしない」
「そうなの?」
「ああ、もうアンバーにブラッシングはしない。これからはニジだけにするよ」
「なっ!何てことを言うのよ!そうじゃないでしょ!ダメよ!ダメ!ニジだけなんて許さないわよ!」
わお!アンバーがいきなり逆切れし始めたぞ。
でも、自分で言い出したんだし、これで反省して大人しくブラッシングさせてくれるようになれば良いんだけど。
『ニジ、ブラッシングするからこっちにおいで』
『・・・やっ!・・・痴話・・・喧嘩・・・巻き込む・・・ダメ・・・』
『ニジッ!、痴話喧嘩じゃないわ!』
・・・えっ!何でニジが痴話喧嘩なんて言葉を知ってるんだ?
どいうこと?
ってか・・・冷静に考えると・・・他人が聞いたら、確かに痴話喧嘩にしか聞こえないかも・・・
いやいや、まず種族が違うし!
アンバーは好きだけど、俺は普通の人との恋愛がしたい!
今のところ・・・出会いは無いけど・・・
自分で言ってて悲しくなってきた・・・
・・・これから、出会いがあるかな・・・あるよな・・・たぶん・・・頼む!・・・あってくれ!
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