セカイの端であなたに花束を添えて

深夜 真昼

第1話プロローグ

 ここは青春の波が渦巻く都立北海高校、そこには16年連続クリぼっちのある男がいた、その名も日陰龍馬。彼は運動もでき喧嘩も強く、小学校時代は地元で有名な不良だった。しかし彼はこの都立北海高校では陰キャと呼ばれる存在に分類される。それは何故か?理由は単純明快、彼は中学二年生の冬に厨二病を発症したのだ。その時の彼の思考回路はこうだ。


「学校では陰キャをし実力隠して、ピンチの時に真なる力を使えばかっこよくね?」


 そうして彼の陰キャ生活が始まったのであった。元々不良ではあったが人とつるむのはあまり好きではなかった為、彼は直ぐに陰キャとしての才能を発揮し中高とこれまで見事な陰キャ生活を送っていたのであった。


 そんなある日彼に人生最大のターニングポイントが訪れようとしていた。それは放課後に通称陰キャ部と呼ばれる学年で指折りの陰キャ達七人組と帰っているときの出来事であった。グループのリーダー的存在である遠藤景雄が「みんなでじゃんけんをして負けたやつが橋本さんに告白な!」と言ったのを始まりに負けたやつが学校のマドンナである橋本さんに告白するというゲームが始まった。


 元々じゃんけんの腕前には自信のあった龍馬は余裕の笑みを浮かべて「誰が今回の犠牲者かな~」などと考えていたが数分後龍馬は一対一の状況まで追い詰められていた。


 まるで神がゲームの結果を操作したかのように龍馬がじゃんけんでぼろ負けをしてしまったのだ。これに負けたら龍馬は今回の犠牲者になってしまう。そんな事はあってはならないとの思いで龍馬はじゃんけんをする。


「うぉぉぉぉぉ!!!!」


 龍馬が出したのは本気のグー。対して相手が出したのはパー。龍馬の負けである。


「敗者は……日陰龍馬ぁぁぁぁぁ!!!!」


 リーダーである遠藤景雄が敗者宣言を全力の大声で行う。対する龍馬は肩を落としてじっと地面を見ている。


「罰ゲームは明日の五時に第二校舎の屋上で行うように、ツイッターで晒してやるよ」


 そう遠藤景雄が言う。陰キャは性格が悪い生き物だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る