👼👼👼👼👼

真美は屋台でホットドッグを買いに行った。

夫は子供と共に席をとってくれている。


財布を出そうとして何かが引っ掛かり、飛び出した。

さゆりから貰った、あのお札だ。あれからずっと、肌身離さず持っている。


それが鞄から飛び出た拍子に、風に吹かれて飛んでいってしまった。


店員が差し出したホットドッグを置いて、脇目もふらずに真美は札を追って走った。


天気は快晴。青空に、白い雲。


そして、真美たちを虎視眈々と狙う様に顔を覗かせる天使の姿。


事故の前兆だ。


早くしなければ…早く…

あのお札から離れたら、夫と子供が…あいつに殺されてしまう!


札は雑木林の中へ入っていった。

真美は落ち葉をかき分け、上を見て木々に引っ掛かってやしないかと血眼になって探した。


ふと顔を上げると、一メートル程先に落ち葉に埋もれた白いものを見つけた。

走り寄って、その白いものを掴むとそれはあのお札だった。


真美は脱力してへたりこみ、深い溜め息をついた。


しかし戻って来た真美を待っていたのは、血塗れで倒れ伏す家族の姿だった。


遅かった。お札を追っている間に、あいつに殺られたんだ。


見上げると、そこにはもうあいつの姿は無い。


しかし真美には、あいつの高笑いが聞こえた気がした。


救急車のサイレン、周囲のざわめく音の中、真美ははっきりとあいつの高笑いを聞いた。


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