天使

めへ

👼

真美が初めて天使を見たのは、五歳、当時通っていた幼稚園の庭で遊んでいる時だった。


空は快晴、時間は…幼稚園にいて遊んでいた頃だから、遅くとも三時くらいだろう。


しかし思い出すその空は、既に山間からのオレンジ色の光に照らされ、夕暮れ時だ。

多分、冬だったのだと思う。


疎らにある白い雲の一つから、天使が顔を覗かせこちらを見ていた。


西洋の絵画で見たものと同じ様な顔をしている。

金髪の巻き毛に端正な顔立ち、張り付いたような笑顔。

綺麗といえば綺麗だが、不気味だった。


あの頃は知らなかったが、雲というのはかなり遠くにある。

そんな遠くから顔を覗かせている者の姿が、なぜこんなにはっきりと見えるのか。


よく覚えていないが、誰かに呼ばれたのかもしれない。

目を離し、次に同じ場所を見た時天使はいなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る