君の隣で死ねたら、どれほど。

琴原ちよ

プロローグ

枯れ落ちるまで一生懸命生きようとする桜の花びら。

少し痛みを感じるほどに心を焦がす陽の光に、思わず目をつむる。



「私は愛されちゃいけないの。私が死んだ時、愛してくれたその人が一番辛いから」



僕の前を歩く彼女は、人と関わろうとしなかった。

愛されることより、自分の病を理由に家族以外の人を傷つけることを避けていた。


恋なんてしちゃいけない。

泣きながら告げられても、僕は彼女を諦められなかった。



彼女に出会って、本当の幸せを知ったんだ。



『君の隣で死ねたら、どれほどいいだろう』



死ぬまで隣にいたい。

彼女こそが、僕が生きる意味であった。



何の意味もない人生が、彼女によって一変したなら―――。


一年を通して繋いだ恋は、この先もずっと、咲き続ける。






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君の隣で死ねたら、どれほど。 琴原ちよ @Kotohara_tiyo

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