第72話

――――


「ほにいちゃーーん!! 起きてーーー!!」

「影洋くん! 起きてーーーー!!」

「ぶっ!! むにゃーーーー!!」


 二つの柔らかい塊が俺の顔を直撃した。


 俺は起き出して辺りを見回した。

 女物の洒落た家具に洋服箪笥。あと、ピンクの柄のテレビが設置されている。俺が寝ていたベッドからはいちごの良い匂いがした。


「って、時間が戻ってる?!」

「あ、いや……そうじゃなくて……。私がまた拾ったの……」


 声の主は杉崎だった。

 ここは杉崎の家。


「ほひいちゃん。三人も私一人で倒すの大変だったんだよ」


 うぎっ! 我が妹よ!!

 そんなに強かったのか?!

 いや! あ、そうだ! 三人の影は手負いだったんだ!


「心配になって、影洋くんの後をついて行ったのよ。そしたら、影洋くんが二人倒れていて、後はもう一人の妹さんと、影洋くんのお父さんも倒れているんだもん。少し混乱しちゃったよ」


「うっぎーーーーーー!! 杉崎!! それ本当か?!」


 そうなのか?!

 謎の影の正体は俺の父さん……?!

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