第59話

 確か……影に殺されたはずの俺の父さんの椅子だ。

 へ? この椅子が玉座なのか??

 冗談だろ?


 俺の父さんと母さんは影に殺されてしまっているからな。


 昔、我が妹があんまり寂しいからと、父さん用と母さん用の椅子だけをキッチンテーブルに置いていたんだ。


 俺は父さんの椅子に座ってみた。

 ……何も起きない……。

 うーん。埃っぽいなあ。


 その時、キッチンが激しい光に包まれ、美しい女神様が中空に現れた。


「影洋。よくやりましたね。あなたが次にすることは、影の王国へとまた戻り。そこでも玉座を守ることなのです。そうです。玉座は二つあるのです。ここは表の世界ですが。影の王国の勢力……つまり、影たちの活発な活動によって表の世界の住人も、中身は影の住人となってしまいました。もう表の世界の住人はどこにもいないのですね。影が二つの世界を支配することはありませんが、表の世界をあなたの影が支配すれば二つの世界を支配されたのと同じことになるでしょう」


「うぎっ! 女神様! あの一つよろしいでしょうか? 俺の影……の最終的な目的って……? 何なんすか? 二つの世界を支配したいだけじゃないッスよね?」

「そうなのです。あなたの影の最終的な目標とは、表の世界の住人を乗っ取ることになります。それは完全な表の世界と影の世界への支配です」

「うっぎーーー!! そんなことを!? 俺の影が!! あ! もう20分も経っている!? すんません女神様! 俺戻ります!!」


 俺は俺の影と妹の影を影斬りの刃で地面を切って再び地の底へと落とすと。

 

 さあ、学校へ行こう。

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