第56話 学校へ行こう

 本当の表の世界……俺の知っている。いや、いた世界はどこへ行った?

 ダチに恵さんに杉崎に……。


 なんでだ……?


 俺はいつも通りの生活に戻っていた。

 妹の光と学校通いに、平和な日常。


 昔の俺の生活を忘れてしまえば、ここで普通の生活ができるんだ。

 でも、なんでだ……?


 ここは本当の表の世界じゃないんだよ……。


「おにいちゃん。前は友達と楽しかったけど、今は別人になった友達とも楽しいんだよ」


 我が妹は今の学校生活を受け入れている。

 俺だけ違和感が残っているんだ。


 それはそうとして、今日は歴史の試験だった。

 赤点は確実だから怖い先生に怒らられるだろう……。


 二時限目の数学の授業中に何気なく教室の隅を見ると、陰キャの杉崎がいる。

 カリカリとノートに黒板に書かれた難解な数式を書き映している。

 

 杉崎って頭良かったっけ?

 歴史の試験前に勉強教えてもらおうっと……。


 俺の席は教室の中央にある。

 と、突然。


「そうだ! 俺の家!! 影斬りの刃! 忘れていたーー!!」


 机から立ち上がり俺は叫んだ。



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