第43話

 公平が地下へと向かうと、俺は骨董品が多く飾られた二階の踊り場まで杉崎を背負って階段を上がる。すると、杉崎が急に目覚めたようだ。


「あれ? 私の家? ここって?」

「うんにゃ! ここは恵さんの屋敷だ。お前、気を失ったからここまで背負ってきたんだぜ。なにせ、お前ん家がわからなかったからなあ。さすがに少し疲れたぜ」

「おにいちゃんー。二階へ早く行こうよー。登山道具一式が重いよー」

「了解! 光は登山道具一式をそこへ置いて先に行っていてくれ! 後で持ってってやる!」

「え、ちょっと!? 私を負ぶったまま!?」


 俺は杉崎を背負ったまま登山道具一式を片手に持ち、二階の貸してもらっている自分たちの部屋へと向かった。

 そういえば、おじいちゃんとおばあちゃんの部屋って? 一体? どこ?


 うぎっ! 扉を開けると、案の定。おじいちゃんとおばあちゃんが湯飲み片手にテレビを観ていた……。


 虎倉街はいつの間にか朝になっていたようで、テレビには、あの時の小春という気象予報士がでている天気予報だった。




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