第42話

「うぎっ、雨ーー?」

「ほにー?」


 そういえば、今日は天気予報でにわか雨が時々降るんだった。

 トンネル内の天井から激しい雨音が聞こえる。

 気を失っている杉崎を背負うと、トンネルを急いで抜けようとした。


 

 なんだかんだでようやく下山した俺たちは、恵さんの屋敷へとダッシュで向かう。

 だって、杉崎の家を知らないからだ。


 幸いに登山道具一式の中には折り畳み傘とレインウェアがある。

 大雨の中で時折稲光が辺りを覆う。

 俺たちはずぶ濡れになって、書統学校まで走って来ると、下校途中の公平が恵さんの屋敷へと走っていた。大方、また親父さんと喧嘩でもしたのだろう。


「なあ、公平ー! また親父さんと喧嘩かー?」

「ああー、進路なんてそんな急に決められないぜー。それより、杉崎を負ぶっているけど、なんかあったんかー」

「ああ……後で話すよー」

「おにいちゃーーん! 空が!!」

「うぎっ!!」

 

 走りながら公平と話していると、暗黒の大空に広大な稲妻が迸った。

 と、突然。

 俺たちの目の前が強烈に発光した。

 そこから女神様が現れた。


「影洋! もう仲間を見つけたのですね! 良かった……もうすぐこの世界も終わりを告げます。早く影の王国を打ち倒すのです!」


 それだけ言うと、女神様は忽然と消えた。


「な、なんだ? 今の?」

「ええい、恵さんの屋敷に行ったら全てを話す!!」

「おにいちゃん! 私も戦うよ!!」 


 四人で恵さんの屋敷の領域へと入る。

 

 後は……。


 芝生。

 芝生。

 芝生。


 ……到着。


 ふう、杉崎を背負っているからかかなり疲れたぜ!


「おかえりなさいませー」

「おかえりなさいませ!」

「恵お嬢様は二階にいらしております。影洋さまと光さま。ご夕食は8時になります。公平さまはいつもの物置でよろしいでしょうか?」


 出迎えの使用人たちが一斉に頭を下げる。

 いつも思うんだけど、どこら辺から俺たちに気が付くんだろう?


「ああー、疲れたーーー!!」 

「おにいちゃん! 杉崎さんが起き出しそう! 早く二階へ!」

「ありがとなー! 物置の整理頼んだ!」

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