第26話
「なんの! ウラー!」
俺は背面目掛けて強烈な肘打ちを打った。
ゴンッと派手な音がした。
俺の影が大きくよろけ右頬を抑えて呻いた。
羽交い締めが解けると、今度は膝蹴りで俺の影の腹部を思い切り打った。
「ぶっ飛べーーーー!!」
鈍い音が辺りに響き、俺の影が吹っ飛ぶと同時に、地下への階段へと一目散に走った。
地下への階段を降りると、影の世界の右の部屋へと上った。
そのまま黒い家から出る。
「危なかった……多勢に無勢か……囲まれたらどうしようかと思ったぜ!」
完璧に大勢に囲まれると、いくら心影流でも不利だった。
俺は冷や汗とも疲労の汗ともとれる汗を流して、恵さんの家へと向かった。
真っ暗な道路を桜の花弁が舞っている。
花弁が地面に敷き詰められているのか、踏んだ感触が心地よかった。
荒い呼吸も整ってきたら、あることに気が付いた。
「そういえば、山に登るんだよな……」
俺の家の近辺に登山用の道具を売っている店は一軒だけある。
俺は進路をホームセンターへと変えた。
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