虎倉街の偽と射影たち
主道 学
第1話 ようこそ影の世界へ
「この世には、偽物の影があるんだよ。影といっても誰しもがもっている。そう、だいたい後ろに憑りついているアレさ。ほれ、あんたの後ろにもあるだろ」
幼い頃におばあちゃんは俺に真顔で言っていた。
今では覚えているような覚えていないような……そんな感じだ。
おばあちゃんの言葉は続く。
「そいつが突然ナイフを振り回して本体を傷つけてきたら? さて、どうなる? 影洋ちゃんはたちまち怪我をして倒れるだろうさ」
俺は幼い頃からおじいちゃんとおばあちゃんと妹と暮らしていた。両親はいない。物心ついた時にはすでにいなかったんだ。子供の頃は、おばあちゃんの影の話が俺をいつも怖がらせていた。
「あんたの両親は……二人とも影に偽物の殺されたんだよ」
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