2日目:不死者の皇帝は仲間の力を知る
12:城の外で魔物と戦おう!
ヴィヴィエルア――もといヴィルとの
俺と
今までずっと城の中にいたのだからすごい新鮮だ。まぁまだ2日目なんだけれど。
さて、なぜ俺らが外にいるかと言えばそれは至って単純な理由だ。
ここは魔大陸。魔物が闊歩し、人類はいないはずの大地。そこに生息する魔物が弱いはずもなく。
だから魔物との戦闘を通じて彼女たちの戦闘能力を確認しようと考えたのだ。
「さてと。じゃあ誰から戦う?」
「ん、ボクは後でいいよ。どうせ1番強いから」
「ツァトリー様が弱いはずがございません。妾はツァトリー様の足元にも及ばぬ実力……」
「それって私が1番弱いだろってことじゃ……? まぁ、私もお二方に勝てるとは思ってませんけどね!」
半ばヤケクソな顔持ちで嘆くアリア。まぁ、確かにあの2人はどこか異質だよね……
「ん、早速魔物が来たみたいだよ」
そうツァトリーが呟くと、近くの草むらから魔物が現れた。さすがだ。
「そういえば、アリアって何で戦うんだ?」
「私は一応魔術師なので、魔術が基本ですね。武術はあまり得意はありません」
「魔術……魔術!? そんなものがあるのかこの世界には!?」
魔術というのは男のロマンと夢だ。誰もが一度は憧れたりするのではないだろうか。
「えぇ、そうですね。――やはり知らされてなかったんですか……」
「そうだな。魔力を持っているのを知って少し期待はしてたが実際にあるとは思ってなかった。あっそうだ、俺でも使えるのか!?」
「陛下に魔力があるのでしたら問題は無いと思います。魔導書をお読みになれば習得できますよ」
「なるほどね。……それってどんな原理?」
読んだら魔術が使えるようになるとかどんな構造してんだよ? 普通に説明求む。
「ん、駄弁ってないで早く戦って。もう目の前だよ?」
「あ、はい――キャッ!」
ツァトリーの言葉で前方を見れば仁王立ちした大きな熊が目の前にいた。俺の知ってる熊より顔が凶悪に見えるのは気のせいではあるまい。大きさは2メートルくらいか。俺と同じくらいだな。
そんな熊はアリアに向かって爪を振り下ろした。だが間一髪で避けることが出来た。アリアはすかさず反撃の構えをとる。
「
詠唱をするとすぐに虚空から炎の槍が現れた。そして熊に向かって飛んでいく。
「嘘でしょ!?」
しかし巨大な腕でかき消されてしまった。攻撃されたと感じたのか、熊がアリアに突進する。
「
熊が迫る中、タイミングを見計らって上から岩を落とした。岩が熊に激突すると、その衝撃で土埃が舞い上がり辺りが見えなくなる。
「これで終わり……ですかね?」
数秒後、視界が開けるとそこには岩によって潰された熊だったものがあった。
中々無惨なものだが、俺含め皆
「やった、やりました! 私、すっごい強くなってます!」
熊を確認したアリアは満面の笑みを浮かべこちらへ走ってきた。
「陛下のおかげです! ありがとうございます!」
「よく頑張ったな、アリア」
なんだか娘のように思えて手を頭の上に置いてみる。
しかし気恥ずかしくなり手を戻そうとするとその手を上から押さえつけられた。
「ご褒美に……撫でてくださいよっ」
アリアが俺の手を掴み頭を撫でさせる。やらせているのに当人はとても嬉しそうで口角が上がっている。仕方ないなぁもう……
ひとしきり撫で終えると満足したような表情で俺の目を見た。
「改めてまして。ありがとうございます、陛下。私は魔術が使えますが、魔術師全体で言えば下の上ほどであまり強くはありませんでした。先程倒した熊は恐らく
その言葉には重みがあった。確かにとても強そうだったし、上級と認められるのも分かる。
「ん、そうだね。でもまぁ、あの程度で上級と認められるなんて人間も弱いものだよね」
「ちょっと! せっかくいい雰囲気だったのに! 空気ぶち壊しじゃないですかぁ!」
「それは俺も思う」
「そうですよねぇ! ツァトリーさんはもっと慎みを持つべきです!」
「アリア、そこまで言わなくても……」
「ん、ネビュトスの言う通り。ボクは悪くない」
「陛下はそんなこと言ってません!!!」
「また喧嘩が始まっちゃった……」
相変わらず相性の悪い2人だこと……
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