彼女が嘘をついていた

廣丸 豪

プロローグ

 私は鏡の中の自分を見た。

 あの頃とはほとんど別人だ。

 いよいよ作戦を開始する時が来た。

 

 偶然を装って彼と出会うのではだめだ。

 彼の方から、あくまで初対面の私に声をかけてもらわなければ。


 彼のSNSを見つけ、すべてのレビューをチェックして、趣味や興味の対象、行動範囲も把握した。

 下手な鉄砲も数打てば当たる、あとは実行あるのみだ。


 パジャマを下着ごと膝までおろし、あの一夜の記憶を、感触を手繰り寄せながら指を入れてみる。

 

 あの夜、彼は私のここを貫いた。

 そして私の心も。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る