第9話 挙動数

つまりこういうことだ。


氷の鉄砲をまだ蒼は作ることが出来ない。


「魔法を発動する時、水をイメージする。氷を作るとき、目の前の水を凍らせることをイメージする」


蒼は独り言ちる。


「氷の鉄砲は、水をイメージした後、出力された水を凍らせる。ということは……」


蒼は棚から、羊皮紙と万年筆を取り出した。

そこに何か書きつける。


水を作る

その水を凍らせる


二挙動だ。


つまり、蒼はまだ一挙動しか出来ない。

その証拠に、出力した水を凍らせることが出来ない。

だから、氷のつぶての鉄砲は不発に終わった。

だが、ワイルドボアを氷で滑らせることは出来た。

それは、初めから水たまりがあり、それを凍らせることをイメージできたからだ。

全て、一挙動だ。

これまでそうれで戦って来た。


「う~む。ということは、魔法をもっと使って魔力を上げ、魔法の出力と出来る挙動数を増やすしかないのか」


蒼はそう考える。

ステータスなんかが見れて、あとどれくらいでレベルアップするか分かれば便利なのだが。

それこそゲームみたいに。


「疲れて来たな……」


ワイルドボアとの戦いで今日は相当魔力を使った様だ。

眠気が襲う。


<<蒼。良く気付きましたね>>

「あ、アティナ」

<<その通りです。強力な水魔法使いになるためには、魔力と挙動数を増やすこと>>

「ですね」

<<他の属性魔法使い。火、風、土、光、闇の魔法使いたちもあなたと同じ様に修業しています>>

「へぇ」


この世界で僕と同じ様に頑張ってるんだ。

会いたいなあ。

それにしても、ここはどこなんだろう?

世界地図とかないのかな。

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