虹色のぬいぐるみ
和よらぎ ゆらね
白
私はぬいぐるみが好きだ。
それはもう、ぬいぐるみの専門店を経営するほどに。
昔からぬいぐるみで遊ぶのが好きだった。
どこに行くときも何をするときも、いつもぬいぐるみがそばにあった。
おばあちゃんのくれた手作りのぬいぐるみだ。
おばあちゃんはしわしわになったあたたかい手で、
真っ白な綿を、丁寧に。
命を、丁寧に、丁寧に。
ぬいぐるみに詰め込んでいく。
それを見るのが大好きだった。
ある日、驚くほど真っ白な綿に出会った。
それはまるで雲のようで、私はしばらくの間、目が離せなかった。
「作りたい」と思った。
いや、「作らなければ」に近いのかもしれない。
私の中でぬいぐるみは特別な存在だ。
いつ、どこで、なにをしていても欠かせない。
いつの日か見た大好きな光景のように
私も作らなければいけない。作りたい。
そう思った時には既に手が動いていた。
自分で作るのは初めてだ。やり方なんてわからない。
それでも、自然と手は動いた。
必死に、優しく、丁寧に。
大好きだった光景、空気が頭の中でよみがえる。
私は記憶と直感を頼りに、手を動かしていた。
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