第188話 神様VS3人娘

「まあ言うてみればチート状態で生まれたようなもんじゃからな。ゲームだとて、『俺強え!』状態で遊んでおれば、最初は楽しくとも、いつかは飽きてしまうじゃろうが」


 まあ、そういうこともないことはないですが、えらい言われようです。


「そんでもまあ、そんな状態から立ち直って、こうしてみなに祝福されるまでになったんじゃから、えらいもんじゃ、さすがにひーろーになる素質を持って生まれただけのことはある」


 と、神様は心底から感心するように言いました。


「ありがとうございます」

 

 太郎はどう受け止めていいのかちょっと悩みましたが、とりあえずほめてはもらっているようですので、お礼だけは言いました。


「だからまあ、わしはおまえがひーろーでもいいと思っておるんじゃ。わしは、な?」


 なんとなーく引っかかる言い方です。


「わしはいいんじゃよ、わしは。分かるか?」

「はあ……」


 何回も言われるとますます引っかかります。


「だから、わしはいいんじゃがな、クレームがなあ」

「くれえむ?」

「そうじゃ」

「なんというか、色々としょぼいからおまえのことはひーろーとは認めない、そういう声が上がってな」


 一体どこからそんな声が上がったというのでしょうか。


「ちょっと!」

「聞き捨てならない!」

「太郎さんのどこがしょぼいんですか!」


 言うまでもなく洗濯3人娘、いろはです。

 なんと、娘っ子たち、神様に堂々といちゃもんつけにかかりました。


「いやいやいや、わしはいいと言うてるではないか」

「だーからー」

「だったら」

「一体」

「どこのどいつが」

「そういうこと」

「言ってるんですかあ!」


 犬、猿、雉が神様に実際に噛みつかんばかりの勢いで噛みつきます。


「言ってみなさいよ!」


 さすがのマイペースの神様もちょっと逃げ腰。

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