第186話 注意1秒ケガ何年?
神様の言葉にみんな絶句です。
「えっと、そんな理由で?」
「そうじゃ」
「おばあさんが、子どもがほしいとお願いしたんですか?」
「そうお願いされたのはずいぶんと前じゃったが、まあ若返ったら同じじゃろ?」
「同じなのかなあ」
いやいやいやいや、全然ちゃうやろ!
「若返らせるより、その頼まれた若い時に聞いてあげたらよかったんじゃないんですか?」
「それも一理あるな」
ってか、その方が簡単な気がする~
「でもまあ、時々あるじゃろ? 泉の水を飲んだら若返ったとか、病気が治ったとか」
「ええ、それはまあ時々聞きますが」
「たまにはそういうことしとかんと、誰も神様を信じなくなるからな、それで時々やるんじゃよ」
って、そんな理由!
「いわゆる奇跡というやつじゃな」
神様は得意そうに白い髭をしごきながらそう言いますが、みんな感心するより呆れ返ってます。
「さっきも言ったが、全ての命は桃から始まる。天には食べると不老長寿になる桃もあれば、若返る桃もある、病気が治る桃もある、その若返りの桃を2人に分けてやろうと思ってな、その子になるはずの桃のチェックもしておったんじゃが、その時に、うっかりおまえの入った桃を落としてしもうての」
「はあ……」
「ヤバい、すぐに取りに行かないと、とは思ったんじゃが、片手にさっき言った若返りの桃を持っていたもんでな、一度それを戻してからでないと取りに行けなんだんじゃ」
「どうしてです?」
「もしも、そっちもうっかり落としてみろ、もっと大変なことになるじゃろうが」
不注意なのか注意深いのかよく分からない神様ですが、とにかく、そういう理由で太郎の入った桃を追いかけるのが遅くなり、今日まで見つけられなかったらしいです。
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