第47話 おばあさんの宣言アゲイン
「それでもまあ、太郎の体が弱ってなかったのには安心したな」
おじいさんが
「ええ、それはそうなんですけどね……」
おばあさんはそう言ってじっと黙り込んでしまいます。
おじいさんは、そのおばあさんの横顔を見ながら、なんだか以前もこんなことがあったような気がして記憶を探ると、おぼろにその時のことが浮かんできました。
じっと太郎を見つめるおばあさんの横顔。
じっとおばあさんを見上げる太郎の横顔。
まるで……
(そうだ、そうだった)
そんな時間の後でおばあさんがこう宣言したのでした。
『おじいさん、わたし、この子を強い男の子に育てます。そう、ひーろーのように強い子に』
この物語の回でいくと「第19話 おばあさんの宣言」がその回になります。
気になる方はどうぞ一度戻ってみてください。
さて、お話は戻ります。
あの時、おばあさんは自分の怪力に気がつき、もしかしたらその力で太郎を傷つけてしまったのではないかと心配になって太郎の力量を調べてみたら、こちらもどえらい怪力で強い子だということが分かったのです。
あの時、おばあさんがじっと見下ろす視線の下には赤ん坊の太郎がいました。
今、おばあさんの視線の先には誰もいません。
ですが、その先にはまるで大事な誰かがいるように、じっとじっとおばあさんはその見えない誰かを見つめるように身じろぎもしません。
あの時、おじいさんはおばあさんと太郎を見て、いい光景だとほのぼのとしました。今、おじいさんの視線の先にはおばあさんの横顔だけ。
おばあさんは、今度は一体何を見つめ、何を考えているのでしょう。
おじいさんは、何も言えず、じっとその横顔を見つめていました。
すると、あの時のように、いきなりきっぱりとこう言いだしました。
「わたし、決めました」
さあ、おばあさんは今度は何をどう決めたんでしょう?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます