第6話 やっと桃太郎爆誕!
「お、なんだか種がゆるんできたぞ」
「もうちょっとではずれそうですね」
「このへんをもうちょっとかな」
「あ、あ、あまり深く切らないで、仁を傷つけないように」
「分かってるって、お、これでどうだ」
ぐらぐらと揺れるようになってきた上側の種の殻、それを持っておじいさんがゆらゆらと揺らします。
「うん、もうちょっとだ」
「がんばって!」
「まかせとけ」
おばあさんは種の下側をしっかりと持ち、おじいさんはさらに種をゆらゆら、ゆらゆら、と、
「おんぎゃあああああああ!」
「わあっ!」
「きゃあっ!」
何かの泣き声とおじいさんとおばあさんの悲鳴が同時に響き渡りました!」
「え、え、え、なんだ!」
「なんですこれ!」
ぱかっとはずれた桃の種の殻、その中に、
「赤ん坊!」
「赤ちゃん!」
「なんだこれは!」
「これ何!」
二人共大パニック!
「って、仁は!」
「赤ん坊が入ってるんだから仁はないだろう」
「え~」
一瞬パニックになったおばあさんですが、すぐにお金になるだろう仁の心配をするところはリアリスト。
「って、それもそうだが、この子、どうすりゃええんじゃ」
「あ、そうそう」
泣き続けてる赤ん坊を見たら、桃の汁だらけになってじっとりねばっとしています。
「とりあえず、産湯か?」
「そうですね……」
幸いにして、お茶を飲もうとしてまだ火を落としてしまっていませんでした。
おじいさんとおばあさんは混乱しつつも、目の前の赤ん坊をほっておくわけにもいかず、急いでお湯を沸かして産湯を使わせ、急いでそこそこましな手ぬぐいで拭いて適当な布でくるんでおきました。
囲炉裏端に寝かされた赤ん坊は、ホッとしたのか今は泣きもせずにすやすやと眠っています。
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