第4話 残った桃の処理

「はあ、やれやれ、桃でこんなにお腹いっぱいになる日が来るなんて、長生きはするもんですね」

「いやあ、おばあさんが作った猪鍋もおいしかったよ。あんなおいしい鍋の後に甘い甘い桃、わしゃもういつお迎えが来てもいいな」

「いやですよ、私を一人置いていくつもりですか? そんなこと言うならもうおいしいご飯、作ってあげませんからね」

「いやいやごめんって、そんなつもりじゃなかったんだよ」

「知りません」


 ぷいっと横を向くおばあさん。

 おじいさんとおばあさんと言っても、体は丈夫、胃腸も丈夫、そしてまだまだラブラブな二人です。


「しかし、この残った桃はどうしようかね」

「本当ですねえ」


 大きな大きな桃です。あれだけ食べたのにまだまだ残ってる。というか、残った部分の方が圧倒的に多い。


「十六分の一、ってところですか」

「そうだなあ」


 二人で食べた部分のことです。

 簡単に言ってますが、そんだけ食べたの超びっくり! ってなほどの量を食べてます。


「痛むともったいないですねえ」

「そうだなあ」

「生で食べる部分と、煮て保存食にするのに分けますか」

「そうだな、今日のうちにやってしまおう」


 そうして二人で本格的の巨大桃の解体に取り掛かりました。


「種がどのぐらいの大きさあるんでしょうかねえ」

「それを植えたらまた桃がなるかな」

「どうですかねえ」

「まあ種も取って試してみるかな」

「そうですね」


 二人はまず実を全部取り除くことにしました。

 実は本当に大きくて、取っても取っても種が見えない。

 がんばってがんばって実を取り除き、やっと種が見えてきました。


「やれやれ、本当に大きい桃だこと」


 おばあさんはふうっと汗を拭きながら、そう言って一息つきました。

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