ゼダの紋章 ガイド編第一弾

永井 文治朗

ゼダの紋章 キャラクターガイド 第三幕終了時点版


《現代編》

 通暦(統一歴)1500年代前半であり、この世界での現代社会と比較すると1980年代に相当する。

 ちなみに滅日は通歴1600年となる。


ティルト・リムストン/ティルト・L・エクセイル教授

 ゼダ共和国士官学校を中途退学し、エウロペア最高学府エルシニエ大学史学部に学ぶ若き学生。

 容貌はその実、精悍だが全体の印象は酷く地味で比較的小柄。

 エリザベートとアンナマリーは髪色以外はディーン・エクセイルに容姿がとてもよく似ていると思っている。

 性格は極めて慎重で論理の飛躍を好まず、コツコツと事実に到る証拠集めをする努力型の秀才。

 思慮深く、漢気に溢れ正義感や信念の強い一面と慎重さ故の臆病さも備えており、自己を過小評価するのが一番悪い癖だと思われている。

 「6月革命」と「女皇戦争」の裏側で起きていた「真実の物語」を解き明かす名探偵にして史学生。

 真実の欠片となる数々の物的証拠と証言を揃えてディーンの「中原史」(「偽典史」)の内容を覆し、やがては「真実を闇に隠す名門史家一族の婿」となる男。

 母親はホテル・シンクレアのアルマス本店の元従業員で、双子の姉はゼダ軍人との既婚者であり、叔母はラファール家に嫁いでおり、義理叔父がラファール書房現経営者。

 しかし、ティルトの亡父は話には登場するが骨董屋の店主だったというだけで謎として伏せられる。

 後のティルト・L・エクセイル教授。


ケヴィン・レイノルズ教授/ケヴィン・R・エクセイル学院長

 重度のニコチン中毒で「狂犬」と渾名される短気で気難しい学者。

 「学者嫌い」で知られ、エクセイル家に事実上入り婿しながら「夫婦別姓」を盾に頑なにレイノルズ姓を名乗り続けるエクセイル家の不良婿。

 落第させようとしたティルトから「調査旅行」の結果報告を受け、その「検証者」となる人物。

 後のエベロン女学院大学学長。


エリザベート・エクセイル

 エクセイル三姉妹の次女で実父ケヴィンの大学秘書。

 長身の美女でその容姿は祖先にあたるルイス・エクセイルに酷似する。

 中高一貫の女子校からエベロン女学院大学を出ており、学生時代から数多の女子学友たちからは「男役」としてモテた。

 男性との交際経験は皆無だったが、いきなり最高の伴侶を引き当てる並々ならぬ嗅覚と強運を持ち、その情熱でティルトを圧倒した。

 頭は良いが勝ち気なロマンチストで論理がしょっちゅう飛躍し、誤解も多いし悋気も酷い。

 後にティルトは容姿はルイス・エクセイルで性格はアリョーネだと評した。

 ティルトの「共犯者」であり、後の妻。

 「自分自身」を指す意味でティルトの調査に対する報酬を「エクセイル家の至宝」と称していたが、その内容は本人の想像していなかった形無きもの。

 ちなみにたまに名前が「エリザベス」になっているのは間違いではなくわざと。


セオドリック・ファードランド

 エルシニエ大学史学部法史学科の若き教授。

 女子学生を虜にする眉目秀麗なハンサムだが、知的好奇心を満たすことに悦びを覚え、我を忘れ興奮すると素っ頓狂になる。

 9つ年の離れたティルトの恩師であり親友であり後の義兄。

 司法家ファードランド家の三兄弟次男で司法試験には学生当時に合格し、ケヴィンに師事していたが、誤解と結婚が元で絶縁状態となっている。

 ティルトの検証作業の中間報告検証者。


アンナマリー・ファードランド

 セオドリックの愛妻。

 元エルシニエ大学職員でケヴィンと夫の元大学秘書。

 エルシニエ大学創設400年を記念した記念誌の編纂業務に携わり、膨大な資料の中から200年前の「6月革命」と「女皇戦争」に関わった4人の人物が写った一枚の写真を発見。

 それに対する興味と関心とがティルトを調査役に依頼し指名させた。

 ケヴィンの三姉妹の長女でエリザベートの姉。

 容姿は妹エリザベートとは対照的にとても小柄で童顔。


法皇ファイサル・オクシオン

 現ミロア法皇。

 ゼダ象徴国王の推薦によりティルトの調査旅行に協力する。

 《真の書》によりティルトの助言者となるが、逆に女皇戦争に隠された重大事実を知らされる。


《女皇戦争編》

 女皇暦1180年代後半の人物たち。

 我々の歴史では産業革命期に当たる。

 「女皇戦争」と「東方戦争」、「パルム6月革命」において重要な役割を果たす歴史的存在。


剣皇ディーン・フェイルズ・スターム/ディーン・エクセイル公爵

 本作の主人公。身長175㎝

 悲劇と真実を胸に人の業と戦い続ける《黒髪の冥王》。

 筆頭騎士を意味する剣皇となるがそれ自体が予定外であり、本来なら最終剣皇となる予定が緒戦から繰り上がる事態に陥っており、最終剣皇がディーンでなくエドナ(ビルビット・ミラー少佐=ベルベット・ラルシュ)になる事が示唆されている。

 常に自身のためでなく、愛する者たちとエウロペアの未来のために戦う知勇兼備の男。

 その最終的目的は戦いを生き残り、戦いの本質を後世に伝えることと、セカイに本当の希望を生み出すことにある。

 後のエルシニエ大学学長で乳癌の転移で亡くなったルイスの後を追うように亡くなる。(「黒き森の鎮魂歌」終章)

 ちなみに身長はヒトラーとまったく一緒。

 政治家や演説者としてのセンスも持ち合わせるが、そんなモノは今の自分には不要だと割り切る(もっとも演説者としては訓示で発揮された)。

 自己評価は低めで女性には全く頭が上がらないせいで「恐妻家のヘタレ」呼ばわりされ、独断専行は絶対にせず物事を建前論で考え、なんでも筋を通す性分。

 ベルカ・トラインや白の隠密というコードネーム持つオールラウンダー。

 父親はライザー、母親はアラウネ(アローラ)というのが真相。

 愛用の黒縁眼鏡に数々の真相が集約される。


紋章騎士ルイス・ラファール/ルイス・エクセイル公爵夫人

 ディーンの生涯の伴侶でパートナー。身長178㎝

 《蒼きエリシオン》を駆る史上最強騎士で、ゼダ女皇の全権代理人たる「紋章騎士」で《神速の剣聖》・・・だが、敵側のマークが厳しく反抗作戦発動時を除いて全然活躍させては貰えずミィ、フリオの師としてバスラン要塞の切り札として温存されている。

 《嘆きの聖女》として強いられてきた女の悦びを知らない生き方にはもう戻りたくないと思う反面、実母の愛情を知らずに育ったことから将来には不安を抱えている。

 夫と主の理想実現のため力を尽くし、やはり生き残ることに固執するが、その目的は自分に居なかった「偉大な母になれ」という主の真意を果たすため。

 彼女のもととなったジャンヌ・ダルクは身長158㎝だが、メロウリンクの解釈により大柄だとされた。

 そもそもメロウは漫画ばかりから知識を得ていた不届き者なので、某女流漫画家の解釈をそのまま採用してプロトタイプ騎士ルイーゼ・ランスロットを作ったので本人より20㎝も上乗せした。

 プロポーションは抜群に良いのでメリエルに毒を吐かせる為にわざと挑発的な態度を取っている。


エウロペア女皇メリエル・メイヨール

 真実の物語の最凶ヒロイン。身長147㎝

 二重人格者「黒きメリエル」がすっかり定着してしまった。

 アローラ、メロウィンの後援によりエウロペア女皇に戴冠する。

 一つの体にメルと《観測者》メロウの二つの心を宿すことになった悲劇のヒロイン。

 自分がなんのために産み出されたか?

 自分を阻む最大の障害はなんなのか?を見極めるために足掻き続ける。


・メル

 聡明で理性的かつ、慧眼に優れたパトリックの実娘。

 人の本質を見誤らない《観測者》メロウの補佐役。

 ゼダ皇分家の末裔で騎士能力も持ち合わせる。

 音感に優れたピアニストの卵でありフィンツとの馴れ初めもピアノにある。

 また父パトリックから経済観念を植え付けられているので絶対防衛戦線の財政担当。

 ディーンを義兄にいさんとして尊敬し、フィンツをいまだ愛する。

 彼女の死の真相には謎が多い。

 普段の情緒面でメリエルが常識的な態度をとる際は彼女が主人格となっている。

 第一幕でカマトトのフリをしていたのも実は彼女。


・《観測者》メロウ

 セカイの創造者である始祖女皇メロウのコピー。

 観測者としてセカイ内での記憶と能力が制限されており、ナノ・マシンの魔女としてナノ・シールドやナノ・ブレード、感覚索敵などの技を持つ。

 しかし、見た目に違わず性格と趣向は頭が良いだけの幼女。

 つまりは人への信頼、人への愛、人の業とは無縁であり、ディーンを「傲慢な男」だと軽蔑するが、《黒髪の冥王》として人々から「邪のカリスマ」「英雄」という道具扱いされてきた実験セカイ内での真実を識らなかった。

 紆余曲折を経てディーンを認め始めるが、新たな認識も「ボヤキ癖の酷い恐妻家のヘタレ」で「騎士学者バカ」という辛辣そのもの。

 技術に対しては興味を示し、真戦兵そのものについての解析を好む。


アリアス・レンセン中尉/スレイ・シェリフィス

 ディーンの無二の相棒。身長184㎝。

 メルの「契約者」としてその覇道を補佐する天才的軍略家。

 女皇メリエルと共に足掻き続ける悲劇の男。

 だが、第三幕では大規模作戦準備中でほとんど出番ナシ。

 二代目副官ジェラール・クレメンスを得て、第四幕以降で本領発揮する。

 既に後に大軍師アリアス・レンセン大佐、ゼダ共和国初代首相アリアス・レンセンと呼ばれることになる片鱗を覗かせており、絶対防衛戦線の騎士たちと三人の『剣皇ディーン』から絶大な信頼を寄せられている。

 パルムに居た第一幕の当時から革命闘士スレイ・シェリフィスであり、剣皇ディーンの許可で絶対防衛戦線内の出来事をデマとしてゼダ皇都パルムに喧伝している。

 アリアスの認知の罠は頭の良すぎる人にとってはデマは一顧だに値しないデマであり、そのデマに隠されている絶対防衛戦線内の真実と「敵」の蹂躙を許しすぎた劣勢を情報統制外に伝えるメッセージだとは気付かせない措置。

 前の周期までは龍皇家末弟たる龍皇子アリアスであり、軍略面で兄に当たるミトラ、エドナ、《龍皇》まで駒として使いこなした。

 どうして彼まで心変わりしてネームドに鞍替えしたかは謎。

 ネームレスだったので龍皇子だった当時はアリアスという名ではない。

 《白痴の悪魔》の誕生の秘密に関わる。


《ゼダ女皇家関係者》

 正確には新女皇家。

 エセル・メイヨールの女皇戴冠後の後継者たちと本人。

 そして、ディーンを除く五公爵家とその関係者たち。


女皇アリョーネ・メイダス・ゼダ

 政治の実権を奪われた形にあるゼダ女皇国の君主。

 その実、最も恐るべき「人形遣い」で《対の怪物》の片割れ。

 同時に女神オリンピアかつ読心の巫女であり、弟子であるディーンが一度も勝てなかったのも道理。

 ディーンからは「へーかおばちゃん師匠」と呼ばれ、逆にディーンを「アタシの可愛いフィンツ坊や」と呼ぶ。

 その真意としては実弟の皇弟トリエルと並び、信頼する青年騎士としての甥っ子を絶対的に信頼している証なのだが、ディーンからルイスへの婚約申し入れを聞いていたのに、マサカ出征前に入籍して夫婦になるとは思っておらず、それがどんな意味を持つのかうっかり失念していたという粗忽な天然気質。

 フィンツの母、ディーンの叔母、アラウネの妹、トリエルの姉、紫苑の伯母であり、メリエルの「母親」でシーナとアンナ姉妹の母と主要人物のほとんどに関わる。

 後悔と絶望、憤怒と暴力の権化だが、「真の敵」を見極めるため己を偽り続ける最強の魔女。

 だがその本質は愛情深き「偉大なる母」・・・なのだが所謂ヤンキー体質。

 趣味は劇場鑑賞であり影武者であるオリビアやオードリーと入れ替わってはパルムの劇場に頻繁に出向いている。

 退屈なオペラなどより社会風刺の喜劇が大好き。

 公的横死したアラウネから龍虫戦争遂行計画を継承し、トリエルと共に事態に備えていた。

 天技たる《陽炎》がなぜだか使えないことには重大な意味がある。

 

トリエル・シェンバッハ大佐/トリエル・メイヨール/“ディーン”

 女皇騎士団副司令から真女皇騎士団副司令となった小男。身長168㎝。

 姉たる女皇アリョーネとの連絡役であり皇弟。

 通称はテリー。

 「トリエル・メイル皇子」が女皇家と女皇騎士団関係者、元老院での通称だったが、メリエルが戴冠時にトリエルの姓を正式に「メイヨール」としたことで事実上のメイヨール公爵となった。

 性格は陰湿かつ残虐でヘビと揶揄され、「無痛症」により致命傷を負っても痛みを感じず、全身傷痕だらけだが、その真意はその身を賭して「家族と共に家族を守る」こと。

 養子に入ったシェンバッハ男爵家の跡取りとして近衛騎士隊に正式入隊する筈だったが、恋人で留学生のジョセフィンを妊娠させてしまい、それがオラトリエス王女だったと発覚して「クロウデール邸醜聞事件」となったことで、失意のうちにメロウィンの産んだ皇子だと認知され、女皇家名跡に戻された。

 事件はアラウネが比較的穏便に処理したが、女皇家が元老院議会に大きな借りを作る結果となり、トリエルはアラウネから叱責された。

 養育役としての不始末に自決しようとまでした(オーギュスト・スタームの介入で未遂に終わる)養父リンゲル・シェンバッハ男爵への贖罪の意味で引き続きシェンバッハを名乗る。

 虚仮威しの威勢の良さが取り柄とされるが、年上の部下たちに囲まれるディーンにとっては父か兄の替わりという意識の「テリーおじさん」として絶対防衛戦線幹部たちを纏めており、戦いが長期化するにつれ非情な決断を求められるリーダーたるディーンを支えるサブリーダーとしての役割を果たす。

 バスラン要塞防衛司令官。

 基本的に顔が広く、耀家の符丁を知ってたり、ライザーのことも何でも相談出来る頼りになる義兄として尊敬する。

 《大陸皇帝》の二つ名と共に時代に常駐させられた魂。

 その実、砲戦では照準修正角を瞬時に叩き出す天才であり、アリアスの切り札の一つ。

 非凡な政治力と父譲りの天技である《陽炎》により「機動防御戦術」を甥のディーンと磨き上げた凄腕騎士であり、古傷と共に刻まれた苦い記憶と共にある。

 かつての盟友ルカとエーベル・クライン・クレンティエンの娘「黒薔薇のリリアン」からは殺したい程憎まれているが、リリアンが覚醒騎士化の齎す認知の混沌に巻き込まれているだけで、その実「お節介な程に気を回す根の優しい人」だと思われている証拠。

 ルイスからはディーンのフリをしていることへの揶揄もあり「ちっさいおじさん」と称されているが、逆にルイスの怖いもの知らずを裏付けると思われている。

 「黒き森の鎮魂歌 終章」では元首相と呼ばれていたことから・・・。


マリアン・ラムジー/ジョセフィン・シェンバッハ

 アリョーネの元筆頭女官頭で皇女(女皇)メリエルの警護責任者。

 元オラトリエス王国王女でトリエルの愛妻。

 父であるオラトリエス先王アンドラスの謀略(計略)により、シェンバッハ男爵家の養子で近衛騎士見習いだったトリエルと関係を結ぶという「クロウデール邸醜聞事件」の当事者。

 両国の関係を悪化させる事態として、事件当時の摂政皇女アラウネの密命を受けるがその内容とはやがては皇弟となるトリエルの監視役となることだった。

 凄腕の隠密機動でエンプレスガード。

 夫婦揃って見事に騙されていて「取り替え子作戦」により、セリーナの母だと思い込ませられているが、その実トゥドゥール・カロリファル(トゥール)の母。

 アルゴ、オリビアのスレイマン夫妻の第二子、第三子エレナとニコの母でもある。

 ダーイン・クレッシェンス(シャドーダーイン)紅丸を隠密機動デュイエ・ラシールと共に使っていたが、ナダルに正式に譲り渡し、耀紫苑の建造した同型機の風神丸に乗り換えた。


オードリー・ファルメ・ラファール夫人/オドリ・アンドリオン女子爵/エセル

 エイブ・ラファール少将の正妻であり、シモン、ルイスの実母。

 実家であるファルメ皇分家はリベルタに所領持つ資産家。

 《対の怪物》の片割れであり、二人の剣聖の母という怪物腹と称される。

 吝嗇家(ドケチ)でありパルムの不動産を中心に莫大な資産を持つ。

 かつて「オードリー・ファルメ事件」により公的死したことになっており、以後は新たな名跡である「オドリ・アンドリオン子爵」を名乗り、劇中で「アノ女子爵」と言ったら彼女のことを指す。

 その正体は200年前の剣皇エセル・メイヨール女公爵で新女皇家開祖女皇エクセリオン一世その人。

 同時にアリョーネの初代紋章騎士。

 ちなみにルイスは実母が夭折したと信じていて、オードリーを「父の後妻」だと勝手に勘違いしている。(若作りというか若いので無理もない)

 にも関わらず、実母が紋章騎士後見指南役だとは思っておらず、第一幕では母の持ち家であるアパルトメントに生息していた。

 ディーンの師匠にあたる人物の一人で「オドリかあさん師匠」と呼ばれ、そのしたたかな性格と非常識ぶりには閉口されている。

 しかし、彼女の真意や子供たちへの想いは遺した日記に綴られていた。


先皇メロウィン・メイダス・ゼダ

 三姉妹とトリエルの母でありアリョーネの先代ゼダ女皇。

 公には「皇太子皇女アラウネの毒殺により狂死した」とされる。

 《未来視》の巫女能力を持ち、「女皇戦争」の凄惨な結末を知っている。

 旧都ハルファで《剣鬼》の介護を続けていたが、女皇戦争開始以来、アルマスの「ホテル・シンクレア」で子や孫たちの活躍を見守っている。

 神童ライザーをその幼少期から信頼して新女皇家女皇として一番大切なものを託した。

 《未来視》は正夢の予知夢という形でメロウィンに断片として齎されるため、女皇在世当時から極度の不眠症。

 エウロペア女皇メリエルと剣皇ディーンの後見役として「お婆様」として大切に扱われる。

 体型的には比較的小柄童顔であり、その遺伝的特性はタリア(多里亜)メリエル、紫苑、アンナらに受け継がれた。

 何故、メリエルにも受け継がれたかに関しては謎だらけ。

 品の良いお婆さんだと思われているが・・・。


《剣鬼》/ロレイン・サイフィール元侯爵

 元はメロウィンの夫で三姉妹の父親である皇族外交官ロレイン・サイフィール侯爵。

 しかし、ナカリア視察旅行中に刺客団の襲撃を受け、エンプレスガードの女皇正騎士バートラム・デュランを殺害された上で自身も致命傷を負った。(「タッスル事件」)

 しかし、天技たる《陽炎》を使いこなす凄腕の剣豪であり、師は最強の隠密機動アランハス・ラシール。

 アランハスの蘇生措置で一命は取り留めたが過去の一切合切を持って行かれ、愛妻メロウィンを陵辱して産ませたのが皇弟トリエル。

 ミィの祖父タタール・リッテとは根深い因縁を持つのだが・・・。

 ヴァスイム、ケイロニウスの未来認知ではフェリオ王都ウェルリでの天ノ御柱攻防戦において重要な役割を果たすことだけが示唆される。


アローラ・スターム/皇女アラウネ・メイデン・ゼダ

 エウロペア女皇メリエルの後見補佐役でディーン、セリーナの母。

 「アラウネ事件」により公的死を遂げ、その後、セスタスターム家に養女として迎え入れられた。

 つまり、ディーンは本来セスタスターム家と無縁で、母の連れ子養子。

 トレドで元夫ライザーと再会するが淡白な態度を続ける。

 天才摂政皇女アラウネとして辣腕を揮ったのは父ロレインが《剣鬼》と成り果て、母女皇メロウィンが変わり果てた父の介護に忙殺された為。

 夫ライザー主導で諮問機関「13人委員会」を組織し、「アラウネの改革」により対龍虫戦争に必要な大陸横断鉄道や最新鋭要塞都市トレド、物流拠点都市アルマス、軍事拠点かつ真戦兵工房たるバスラン要塞を整備した。

 その上で幻影の帝国「大エウロペア連邦女皇国」とエウロペア女皇メリエルという最後のピースまで用意した。

 剣皇フィンツの補佐役かつ影武者である《剣皇機関》という剣皇代行役まで準備。

 《黒髪の冥王》でもある息子ディーンは戦争の幕を引き、最終剣皇として利用するつもりだった。

 しかし、準備した構想は決戦地フォートセバーンの陥落やフィンツの失踪死、筆頭理事ローレンツ・カロリファル公爵の失脚と自死により大幅な修正を余儀なくされている。


セリーナ・ラシール

 「魔女」の通称で東征部隊両軍を混乱させる凄腕の隠密機動。

 ダーイン・クレシェンス(シャドー・ダーイン)二番機の《蘭丸》の名と共に敵とも味方とも不明な存在として両軍を絶句させる。

 その正体は女皇騎士団外郭支援部隊エルミタージュのエース。

 傭兵騎士団エルミタージュに部隊ごと潜入し、ベックス、スレイの立案した作戦計画に従い東征部隊への奇襲攪乱をしていたが、本来の目的は先代皇室吟味役トワント・エクセイル筆頭公爵から発令された「ルーマー討滅令」の実行。

 女子供を問わず、ルーマー教団の手の者と発覚したら迷わず殺せと厳命されている。

 魔女という認知はもともと誤りであり、破天の巫女。

 ディーンと同じ長い黒髪を持つ超絶美少女であり、義弟ナダルの「愛しのお姉さん」であり、将来的に二人が夫婦になっても姓が変わらないというのは誰かさんたちと一緒。

 実兄ディーンからは「やんちゃ姫」、女皇騎士団関係者からは「女皇家ワンコいちごう」と称されている。(「ぜろごう」がルイス、「にごう」がナダルなので笑えない)

 幼少期は病弱だと偽り、ナノ人形(ナノ・マシンで作り出した偽物)を身代わりに置いてハルファで亜羅叛に鍛えられていた。

 本質主義者であり兄ディーンと同様に冷酷。

 ただし、なんでも抑制し建前論で考えるディーンと、なんにも抑制しないで本質論ばかり語る妹セリーナとして二人の母であるアラウネには心配される。

 「ナイトイーター編」では《ナイトイーター》フリオを心服させた。

 「1188エドナ杯編」では脱走兵ヴァスイム・セベップを保護して雇い入れた。

 東方戦争のキーマンとして剣皇カール大帝らと連動する他、メリエルの秘密作戦にも参加する。


ライゼル・ヴァンフォート伯爵/ライザー・タッスルフォート

 皇室政治顧問かつ貧乏伯爵の皇国金庫番としてゼダ元老院議会のヌシであったが、パルムの物価高騰を訝り、トゥドゥールと密会するものの明確な答えに辿り着けず、剣皇ディーンの不可解な招聘により人類絶対防衛戦線に参戦。

 《13人委員会》の創設者で影の筆頭理事。

 かつてはエクセイル三兄弟の長男嫡子であり《神童ライザー》と呼ばれた男。

 実父ギルバートと対立して廃嫡され、分家ヴァンフォートに養子に出された。

 事実婚していたアラウネの夫でディーン、セリーナの父親。

 アラウネの指名で後妻となったメリッサ・モナースとの間にディーンの半弟たちセオドリックとピエールをもうけた。

 「史上最高の手合い評論家」というのはゼダのみならず、ベリアでもフェリオでも有名であり、剣聖の名付けとされている。

 ディーンの要請によりベリア難民臨時執政官から、メリエルのエウロペア女皇戴冠により、大エウロペア連邦女皇国主宰となる。

 「戦場には決して立たない知謀の士」だが、「ベリアの悪魔」としてその手腕と頭脳をフル回転させ、数々の奇跡を起こしたウィズダムモンスター。

 希代の能吏として「女皇戦争」を支える。

 その正体は「解脱者」ラプラス・ヴァンフォート本人で《命名権者》、《砦の男》。

 万民のいのちのための政治を実現した新生ベリア共和国の国父であり、真実の物語の最重要人物。

 前章ではライザー・ウェルリフォートフェリオ連邦王国選王侯爵として「龍虫大戦」と「十字軍戦争」とを後背支援し、剣皇アルフレッドと剣皇ファーン、フェリオ連邦王サマルの相談役となり、晩年はゼダで女皇サーシャの相談役としてミロア法皇国とオラトリエス王国を国産みした。

 更に遡る「キエーフ防衛戦」では《砦の男》ライザー・フォートレス選王侯爵としてゼダ皇女エカテリーナ・メイデン・ゼダ(-エルミタージュ)、ヴェローム大公ボストーク、《黒髪の冥王》アルバレス・サマルカンド、《嘆きの聖女》ビオレッタ・モスカ、《アストリアの盾》リヒャルド・ホーフェンらと共に過酷な全滅戦を戦い、逆転の秘策として共生大国ルーシアを国産みした。

 その因果応報が傭兵騎士団エルミタージュや『人間兵器』エルミタージュハイブリッドとして女皇暦1180年代にエウロペアネームドの強敵として立ちはだかる。


トゥドゥール・カロリファル公爵/トゥール・ビヨンド/《ディーン》

 付けヒゲ公爵にしてゼダ国家騎士団副総帥。

 表向きはローレンツ・カロリファルの息子でその実トリエルとマリアンの息子。

 全体司令官としての才覚に長け、腹心リチャード・アイゼン大尉にパルムを託して密かに絶対防衛戦線に加わり、《剣皇機関》による三人目の『剣皇ディーン』となる。

 生きることへの執着心が極めて薄く、女性にもあまり関心がない。

 性格は温和で物腰も柔らかいが、言うときは言う。

 前周期ではゼダ国家騎士団総帥として龍皇子アリアスと共闘。

 「アイラスの戦い」の前哨戦だった最終剣皇ディーンとの一騎討ちに臨むが、敗れた後ディーンを騙し討ちにした。

 ちなみに愛称かつ偽名のトゥールはその姓ビヨンドの示す通り「過去の自分を超えてみせろ」という《命名権者》ライザーの名付けであるが、トゥドゥールはメリエルと同様にライゼル伯を父の仇で危険人物とみなした。

 ちなみに覚醒騎士になることを止められているがその理由は凄まじい。


ローレンツ・カロリファル先代公爵

 トゥドゥールの父(養父)であり「永遠の貴公子」と称された希代の傑物。

 《13人委員会》の主要人物として表向きの筆頭理事とされ、「アラウネの改革」に協力し、女皇メロウィンの右腕と称された天才的政治家。

 ギルバート・エクセイル3世公爵を告発し、筆頭公爵からの解任・隠居措置を主導した。

 しかし、「アラウネ事件」で失脚し、新女皇アリョーネの夫候補とされたがライゼル伯爵の裏切り行為でレオポルト・サイエスに負けてその道を断たれた。

 そうした事が原因で酷い抑鬱状態となったが、息子トゥドゥールに花道を作るため嘲笑されながらも社交界に復帰し、陰口をされながらも一定の道筋は立てた。

 誰もがトゥドゥールの成人までは意地でも生きるとみなしていたが、仇敵ヴェルナール・シェリフィス元老院議長の老衰死後、拳銃自殺した。

 しかし、女皇アリョーネの勅命で検死したマグワイア・デュラン少佐とフィンツ・スターム少佐(ディーン)の調査ではローレンツの遺体はよく出来た偽物だった。

 消えたローレンツの行方に関してはフィンツだけが知っている様子。

 そして、メリエル誕生の秘密の深淵に関わる。

 騎士能力を発揮しない女皇家男性皇族とはどうなるかを示唆し、《解脱者》ライザーを除く、他の男性皇族たちがなにになったかを示唆する。

 そのキーワードが「アークスの司祭」であり、「アークスの巫女」たちと同等の能力を持つと考えられる。


トワント・エクセイル元教授/先代公爵

 ライザーの実弟で元皇室吟味役エクセイル公爵。

 エルシニエ大学の元教授であり、教授退官とディーンへの家督相続により今は刻一刻と迫る自身の肺病死を静かに見つめつつ、やり残したことはないかを自身に問う身。

 ディーン、フィンツを養子とし、二人の子の父親として立派に大成させた。

 メリエルの養育役でもあり「タントおじさま」として慕われた。

 皇室吟味役としてメル・リーナを皇太子皇女メリエル、トゥドゥール・カロリファルをその双子の兄だと布告したが、本項にある通り出鱈目。

 寡黙で厳格な人柄だとされているが、その実、苛烈であり紋章騎士、女皇騎士団、スカートナイツたちへの非情な命令者であり、「ルーマー討滅令」を出している。

 またアリアスを危険視し、ルイスに調査と暗殺を命じた。

 人前では滅多に笑わないが、家人たちの前ではよく笑う人だった。

 この人も単に病死などしない。


ハニバル・トラベイヨ中将司令/エルビス・レオハート・ヴェローム公王/雷帝ハンニバル・スターム

 アルベオ・スターム三兄弟の末弟であり、女皇騎士団の現司令でヴェローム公国公王であり、イセリア、シャナム姉弟の父。

 公国の基幹産業である「ヴェローム銀行」の筆頭理事。

 《人食いの雷帝》の二つ名を持つ覚醒騎士でマグワイア、ディーン、フィンツの師匠であり、トリエルと共に真女皇騎士団副司令に指名された。

 真女皇騎士団の副司令として実兄サンドラ(オーギュスト)・スタームの補佐役となり、女皇メリエルの共闘作戦の為、密勅で動く。

 過去には1183年のエドナ杯の裏面で動いていた「アリョーネ暗殺作戦」の首謀者。

 そのときは騎士育成者として「アリオン・フェレメイフ」を使いベルカ・トラインとして出場していたディーンの裏を搔き、決勝戦に盛り上がる会場でアリョーネ排除を画策するが、秘密裏にルイスと入れ替わっていたディーンの奸計により敗北。

 「刹那の衝撃」というエドナ杯大会屈指の伝説でルイスがアリオンを下したことにより、先回りして「フィンツ・スターム少佐」として立ちはだかったディーンに完敗を悟り、往生際の悪いグエンを道化としてアリョーネ、トリエル姉弟に阻まれた。

 しかし、実力の底は見せておらず、ハイブリッド第一世代として第二世代のフィンツ、イセリア、シャナムたちを軽く圧倒する。

 ミロアを警戒して保護を求めたミュイエ・ルジェンテ后をベルヌで匿う。

 1188年のエドナ杯では二人の皇女たちを観戦させていた。

 物語中盤以降のキーマン。


公后アリア・ヴェローム/ゼダ皇女エリーヌ・メイデン・ゼダ

 「沈黙のアリア」としてヴェローム公都ベルヌで隠棲するエルビスの正妻。

 イセリアとシャナムの母であり、元女皇正騎士エリーヌ・デュラン。

 女皇メロウィンとロレイン侯爵の本当の第一皇女。

 しかし、幼少期にアラウネと入れ替えられ、以後は女皇正騎士バートラム・デュランの長女として最年少で女皇正騎士となった。

 文武両道のデュラン家の騎士として育てられ、アラウネの影武者としてエンプレスガードとなり、「アラウネ事件」で毒殺されたとされる。

 しかし、ティルトは「アラウネ事件」の謎を追う過程でアラウネの影武者エリーヌが死んではいなかったと結論し、エリーヌこそが第一皇女だと確信する。

 義妹マグワイアの蘇生措置で生かされながら死亡診断された。

 アラウネ(アローラ)は愛妻を喪ったエルビスの為にマルガで冷凍催眠状態だったアリアドネを後妻に与えたと信じているが、実は・・・。

 エルシニエ大学学生時代のアラウネがディーン、セリーナの出産のためセスタに隠れると替わりにエリーヌがアラウネを演じ、逆にエリーヌがイセリア、シャナムを産むとアラウネが乳母となった。

 つまりディーン、イセリア、セリーナ、シャナムが兄妹、乳兄妹の絆を深めることになった。

 しかし、セリーナは時期的に符合する「クロウデール邸醜聞事件」でジョセフィンを妊娠させたトリエルの長女だとされており、一定期間の後にグエン・ラシール、デュイエ・ラシール夫妻に預けられた。

 「女皇戦争」と「東方戦争」の帰趨を決定的にする四人に関わる人物としてなにも語らないアリアの存在が最大の謎であり、後の史学者ディーン・エクセイルすら知らなかった真実であり、フィンツが敵に回った本当の事情でもある。


シャナム・レオハート・ヴェローム/アリオン・フェレメイフ大尉/英雄王シャナム

 儀典史において叛乱軍のリーダーとしてゼダ内戦の戦勝者となり、共和制ゼダの象徴国王となった人物。

 しかし、絶対防衛戦線に「シャナム」という人物は一切登場せず、かわりに《氷の剣聖》アリオン・フェレメイフ大尉(のち少佐)として参戦する。

 《黒騎士隊》のエースだと言われているだけで詳細は不明。

 フリオの証言ではとてつもない絶技を隠し持つとされる。

 第五幕から本格的に登場し、いきなりとんでもない力を見せつける。


イセリア・レオハート・ヴェローム/イライザ・サイフィール女侯爵

 シャナムの姉であり、元老院議会の認証を通さない影の女皇騎士。

 ロレイン、タリアと続いた空白の侯爵家名跡を利用し、不在の女皇正騎士たちに替わる極秘戦力としてマグワイア、マーニャ、ナダル、デュイエたちと共闘する。

 1188エドナ杯編でいきなり登場し、ケイロニウスのセコンド役となった。

 その際に「アタシと同じ結果(準優勝)になるってことね」と言っていることから1183年のエドナ杯では無名の天才騎士アリオン・フェレメイフとしてルイスに《刹那の衝撃》で完敗したのはイセリアだったと推察される。

 ハイブリッド第二世代であり、絶技使いの覚醒騎士だということは示唆されている。  


レオポルト・サイエス公爵

 アリョーネの正式な夫であり、皇女シーナとアンナの父親兼養育役。

 皇族ながらエルシニエ大学院で帝王教育学の博士号をとった秀才であり、ウェルリ大学に留学経験も持つインテリであり、エ大生のディーンたちにとっては大先輩。

 兄たちよりも遙かに優秀な頭脳と輝かしい履歴を持ち「愛のトラウマ理論」という覚醒騎士たちの養育方法を生み出した人物だが、父たる先代公爵から疎まれて外国留学を繰り返す生涯書生を命じられていた。

 本人はそれを意に介さず、広い交友関係で友人たちと談笑するのを好む明るい性格だった。

 しかし、新女皇アリョーネのパートナーとして指名された事で暗転し、父や兄たちが不可解な理由で排除された後、サイエス新公爵となった。

 「オードリー・ファルメ事件」以来、浮気癖の酷い放蕩ダメ公爵でも良いのでせめて家族を守りたいとアリョーネの逆鱗を恐れるようになる。


皇女シーナ・サイエス

 アリョーネの長女。

 幼少期から知的に並外れていて「アラウネの生まれ変わり」(なわけない)とも呼ばれる才女。

 1188年時点ではまだ14歳だが将来のゼダ女皇とされる。

 18歳での立太子を待つ身。

 女皇戦争終結後の後日談「マッドドックとカリカリちゃん」のヒロイン。

 いずれウルベイン元帥の嫁さんになるのは「黒き森の鎮魂歌」のラストにある通り。

 ただし、記憶の巫女、真巫女として恐るべき力を持つ。

 ちなみにガイドの別の人物としても紹介されている。


皇女アンナ・サイエス

 アリョーネの次女。

 知的に遅れているとされ、紋章騎士を僭称し、貴人と不義密通を図った不貞の女皇騎士の忘れ形見でレオポルトの浮気の生き証人だとされる。

 つまり、オードリー・ファルメが実母とされるが、ルイスの妹であるわけがない。

 事件の詳細と真相に関しては第六幕でアリアスが知る。

 煉獄の巫女としてやはり恐るべき力を持つ。


《人類絶対防衛戦線関係者》


ミロア法皇ナファド・エルレイン

 神殿騎士団で司祭騎士として育成された龍虫戦争のキーマン。

 《鉄舟》とは机を並べて学んだ仲であり枝分かれしたエルレイン家の末裔。

 しかし、法皇に推挙した先々代サマリア・エンリケや先代ワルトマ・ドライデンの期待とは裏腹に人類絶対防衛戦線の結束を乱す真似をし、特記6号の発動を意図的に遅らせ、フォートセバーン陥落を招いた。

 更に龍虫の東エウロペア侵攻を遅らせる為だと称してトレドに気象兵器を持ち込み、ベリア難民たちを鏖殺している。

 《鉄舟》とは年が一つしか違わず、若作りの司祭として素性を隠し、メリエルと共にエウロペアネームドの結束を呼びかけている。

 しかし、ライザーからは「徳が感じられない」、パトリシアからは「ナファドの好きにはさせない」と疑いの目を向けられている。

 ファーバ教団内部でなにが起きているかはナファド以外の誰も知らない。


ミシェル・ファンフリート・エルレイン大佐/セプテム・ラファール

 ファーバ教団ベリア枢機卿でありアベラポルト地下大聖堂司祭。

 神殿騎士団改め剣皇騎士団副団長。

 中原一の頭脳と称され、剣皇ディーンの片腕で愛称が《鉄舟》。

 手入れを欠かさぬ細髭が特徴だが、さすがにナカリア撤退戦時は手入れが行き届かなかった。

 ルイス、マイオドール、アウザールの師匠。

 法皇行時の変名「セプテム・ラファール」の名が示す通り、ラファール家とは縁続きで、2代目の《墨染めの剣聖》(墨染めはファーバの法衣を示し、司祭騎士)であり、剣聖カスパール・エルレインの末裔。

 ライザーと知遇を得てからは剣皇の片腕たる筆頭参謀でありながら裏面作戦を推し進める。

 口では情けないことを嘆くことが多いが、その実、実力を隠すための韜晦。


アルバート・ベルレーヌ大佐

 メルヒン西風騎士団第一中隊の優秀な指揮官。

 フォートセバーン陥落によりトレドに撤退して《鉄舟》たちと戦力を立て直した。

 割合とハンサムだが未婚。

 酔うと笑い上戸で戦線幹部のムードメーカー的な役割を担う。

 「剣聖機サウダージ改修計画」や「ラームラント参戦」といった重要事項を小出しにしていて、剣皇ディーンや女皇メリエルの判断を待つ慎重な性格。

 真戦兵シュナイゼルを中心とした即応戦力としてアリアスの指揮下に入り、戦力発掘を準備している。


レウニッツ・セダン大佐

 ゼダ国家騎士団西部方面軍統括。

 髭面だが独特の愛嬌があり、部下たちから慕われる。

 元アイラス要塞機動部隊黒騎士隊の隊士だったが「アイラスの悲劇」を境に西部方面軍に転属した。

 現在のアイラス要塞司令官で黒騎士隊隊長イシュタル・タリスマン准将の元部下であり、命を預けてくれる部下たちの人心掌握術に関しては「イシュタルの狸親父」を手本としている。

 女皇戦争を生き残り戦後はトレド要塞最高司令官として共和国陸軍に貢献したが、大将どまりだったとされる。

 軍師アリアスの理解者であり、孫にも彼にちなんだ名をつけている。

 一見すると豪放磊落な人物のようだが「黒き森の鎮魂歌終章」で見せた通り、ディーン宛の遺書を遺す等、繊細で感傷的な一面も覗かせている。


フェルナン・フィーゴ大佐

 ナカリア銅騎士団臨時代表で飛空戦艦マッキャオ艦長。

 「ナミブのハゲワシ」の異名を取る皮肉屋で飄々とした人物。

 飛空戦艦マダガスカルと共に消息を絶ったナカリア国王セリアンの信任が最も篤く、1187年末にあったネームレスおよび龍虫のベリア侵攻をいち早く確認し、セリアン国王が最初から逃がすと決めていた銅騎士団を託される。

 没落したフィーゴ氏族の生き残りとしてその意味について図りかねていたが、親鳥として雛鳥たちの成長を見届け、ナカリアの雄大な大地を取り戻せというメッセージだったことを確認し、氏族間抗争というしがらみを抜け出せずに末席で侮蔑される事に甘んじていた過去の自分と決別し、エウロペア女皇メリエルに賭けると決め、艦隊司令官や剣皇座乗艦はイアンとバルハラに譲ったものの、ゼダの連中に負けてたまるかという反骨心で女皇戦争を戦い抜き、新生ベリア共和国建国に多大な貢献を果たした英傑。


シェリー・オランド少佐

 飛空戦艦マッキャオの副長。

 ナカリアオランド氏族の族長の娘でフェルナンの内縁の妻であり、ミィにとっては姉がわり。

 褐色の肌を持つベリア美人で大柄。

 マッキャオが忙しく飛び回っているため絶対防衛戦線参加の女性たちとは今のところは交流が少ない。


イアン・フューリー少佐提督

 女皇正騎士で高速輸送艦の《バルハラ》および飛空戦艦の《ブラムド・リンク》艦長。

 盟友トリエルの親友であり、天才戦術家かつ天才艦長でスレイの兄弟子。

 連合空軍飛空戦艦艦隊司令官および剣皇座乗艦艦長。

 「ぼやきのイアン」と称される鷲の目保持者だが、弟弟子のアリアスは陸から空陸の立体戦術を指揮する天才であり、後塵を拝する。

 ライザーとはエキュイムを通じて旧知の間柄で、エキュイムの名手としてビルビット・ミラーの最大の好敵手。

 かつては龍皇子エドナの部下であるネームレスコマンダーとして猛威を奮った鷲の目保持者であり、「龍虫大戦」ではその真価を発揮した。

 最初の《凪の季節》に行われた第一回幹部会議ではディーンがわざとどちらの陣営だったかを不明瞭にして、鷲の目保持者として「龍虫大戦」当時のゼダの英雄として、アイゼン、フューリー、レンセンの名を列挙したせいで、素性もバレているし、密約していた龍皇子エドナとゼダは一緒くたにされたと憤慨しながらも認めざるを得なかった。


剣皇準騎士セオドリック・ノルン

 もとは神殿騎士団の準騎士として《鉄舟》の世話役兼連絡係として「ナカリア退却戦」に参戦した。

 ディーンの剣皇就任による剣皇騎士団改称後は剣皇ディーンの世話役兼連絡係となる。

 しかし、メリエルがセスタに赴いている際に龍虫の攻撃で親しかった騎士たちが戦死する現場に遭遇して暴走。

 真戦兵ミローダで敵陣に突入しようというのを駆けつけた《鉄舟》が止めた。

 魂の情報が半ばネームレス化して壊れかけているとされ、次の暴走時に消滅してしまうと示唆され、セオドリックは失語症となった。

 そうした境遇を踏まえた上でライゼル招聘時にディーンが連絡係としてヴァンフォート伯爵邸に派遣した。

 精神が未熟な少年騎士たちが過度のストレスを受けて覚醒化しようとした場合どうなってしまうかを示唆する。

 ディーンが諄い程に言い続ける「こころを揺らすな」と《鉄舟》らミロア司祭たちの言う「悟れ」とはこうした事故を防ぐため。


亜羅叛/アランハス・ラシール

 元ゼダ女皇正騎士かつ隠密機動隊隊長。

 凄腕の隠密機動なのだが年のせいか耳が遠くなっていて大声なのが珠に傷。

 何者も怖れない豪快な性格だが「タッスル事件」と「アラウネ事件」により、アランハスという本名を棄て亜羅叛と名乗る。

 アルマス防衛司令官。

 子のグエンは元司令オーギュスト・スターム(カイル)に籠絡されて女皇騎士団内のルーマー派に属する。

 孫のナダルは父祖の犯した失敗の反省から慎重な性格となった。

 ディーン、セリーナ兄妹やトリエルの師匠として「大師匠」や「大将」と呼ばれている。

 女皇騎士団除名後もメロウィンと《剣鬼》のエンプレスガードとしてハルファからアルマスに居場所を変えつつ二人を護衛する。


パトリシア・ベルゴール

 元ゼダ女侯爵で臨時司令部ホテル・シンクレアの責任者かつオーナーという妖艶な美女。

 ゼダ皇分家出身で元女皇正騎士だがメロウィン退位に際して殉死的退任しているものの、その実、メロウィンや剣鬼のエンプレスガードを引き続き担う。

 爵位返上後は旧領アルマスで実業家として活動する。

 《13人委員会》のメンバーでライザーとは当然旧知の仲だが、境遇の違いから苦手にされる。

 ライザーの妻メリッサ、義兄アランとはベルシティ銀行の株主という誼で子供の頃から親しい仲。

 メリッサが雑誌ライターをしていたことを知り、ライザーの秘策を実施することになる。

 劇中では父親不明の赤子を抱えているがティルトが真相を調べた通り赤ん坊の父親はパトリック・リーナ。


耀公明(ようこうめい)

 ドールマイスターの名門「耀家」の末裔。

 メルヒン王国の世襲マイスターでフレアールシリーズの設計者。

 またライザーの発案した真戦獣レジスタリアンの設計者。

 女皇家女子のご多分に漏れず肉食系だった紫苑に貞操を奪われたが、紫苑、犀辰親子とは上手くやり、犀辰から「ムコ殿」と呼ばれている。

 かつてはネームレスサイドに居たことがあり、龍虫の光学迷彩や原初の龍虫ボウリングビートルの改良は実は公明の仕事だった。

 東方世界から西方世界に送られた魂であり、セナを源流とする「耀家」の体現者。

 つまり耀家とは家柄血族を示すのでなく、技術信奉思想を持つ職工集団たる「家」を意味する。

 フレアールと使徒の真実に翻弄される天才マイスター。

 汎用機体や潰しの利くモノを作らせたら右に出る者はいないとメリエルも認める。


耀紫苑(ようしおん)少佐

 公明同様に「耀家」の末裔。

 ゼダ女皇正騎士で女皇騎士団人形番。

 女皇メロウィンの第三皇女タリア・サイフィール女侯爵(耀多里亜)の子であり、「メリエル計画」におけるメリエル候補の一人。

 現皇室吟味役「ディーン・エクセイル公爵」からはメリエルに万が一の場合が起きた際の予備だと示唆される。

 フィンツ、ナダル、マーニャとは幼馴染みであり、初恋の相手はフィンツ。

 愛する母多里亜を「アイラスの悲劇」で殺害され、その実復讐に燃える。

 ナダルに抱いた恋心も前章で打ち砕かれ、将来は同族公明の妻となると示されたが、バスラン到着早々に公明を将来の伴侶として貞操を奪ったらしい。

 祖母メロウィンやメリエルに容姿顔立ちはよく似ているが黒髪ショートヘア。

 性格は明朗快活で公明とは良いコンビだが、生活面がスボラなせいで身内からは心配されている。

 パルムに居た当時は「油娘」と揶揄されていたが、意外に美人でグラマラスだという評判であっと言わせる。


耀犀辰(ようさいしん)元少佐

 紫苑の父でありゼダ皇女多里亜の夫。

 女皇騎士団先代人形番であり、騎士団関係者からは「犀辰先代」と称される。

 真面目で寡黙な職人気質の不器用な男で、分不相応だった皇女の婿として苦労したらしい。

 ハルファでアパラシア・ダーイン開発計画に従事しつつ、バスランにも出張して量産型エリシオンの剣皇騎士団配備機カル・ハーンを手がけた。


ティリンス・オーガスタ少佐/-アウグスト・ブラン

 シルバニア教導団の問題児であり女官騎士スカートナイツをクビになり何故か正騎士になった。

 覚醒騎士育成の担い手でもある「破壊王シスターズ」の片割れ。

 ティリンスとアルセニアはほぼ見分けがつかず、二人で交替してはティリンス・オーガスタ少佐とアニー教官を演じていた。

 その事情は前章にある通り。

 第4幕以降は愛機がスカーレット・ダーイン2番機から、ティリンス専用改修機スカーレット・ダーイン改 《破壊王》に変わる。


フリオ・ラース少尉/フリオニール・ラーセン

 フェリオ連邦王国アストリア大公国の騎士。

 実父で《連弾の剣聖》バルド・ラーセンの遺児であり絶技たる《流星剣》を駆使する。

 残された家族の生活のため父の仇と知りながら、傭兵騎士団エルミタージュに入り少年傭兵として《ナイトイーター》になった。

 東征にてディーン、セリーナと邂逅して騎士としてあるべき道を示され、ディーンの愛弟子として自身の犯した罪と向き合う。

 フォートセバーン陥落時はメルヒン西風騎士団の新人騎士としてその詳細を知る。

 その後、自身の犯した罪の一つであるリッテ氏族襲撃事件を告解する。

 ラーセンはRの血族の一つ。

 女性騎士たちからは結構な上玉だと見做されている。


ミィ・リッテ少尉/ミュー・リッテ

 ナカリア銅騎士団のエース騎士。

 絶技たる《月光菩薩》の使い手でフリオ同様にディーンとルイスの直弟子。

 リッテ氏族襲撃事件で家族の大半を喪い、騎士覚醒と同時に心を閉ざした孤独な魂。

 父マルコは元ナカリア金騎士団騎士長。

 祖父タタール・リッテは元ナカリア銀騎士団長だったが、傭兵騎士団エルミタージュに鞍替えしてアストリア大公国ホーフェン騎士団長のマグノリア・ハーライトと《連弾の剣聖》バルド・ラーセンを殺害したフリオニールの仇。

 クシャナド・ファルケンとの邂逅とディーンの指南で騎士として飛躍的成長を遂げる。

 告解により仇と憎むフリオの孤独と贖罪の念を知る。

 今の所は《砂漠の女狐》であり流し目で男を殺す小娘。

 ミィも偽名であり、氏族襲撃事件で殺された仲良しの名。

 第四幕中盤でミューが偽名を名乗った事情と双子の兄アポロの存在が明らかになる。


ハサン・レーグニッツ曹長/-フォレスト

 スレイ・シェリフィス中尉の初代副官。

 もともとはバルハラのレーダー担当要員でイアンの部下。

 《虹のフレアール》の名付けでもある。

 副官就任に伴いイアンから昇格(上等兵→曹長)されたが龍虫との戦闘中に狙撃されて絶命した。

 第四幕開始時に判明するが狙撃はアリアスとハサンのどちらでも良いので排除するという意図で行われた。

 外殻部隊エルミタージュの現地案内要員としてラームラントでスカウトされ、ハイブリッドである事を買われてバルハラクルーになっていた。

 イアンとスレイはハサンがラームラント首長連合の送り込んだスパイだとは気付かず、ハサンはスレイの本名アリアスを知る事無く散る。


ジェラール・クレメンス少尉

 “アリアス・レンセン”中尉の二代目副官。

 シルバニア教導団から国家騎士団西部方面軍に潜り込んでいた。

 組織のスパイではなくトリエルとセダンの連絡役。

 ナダルと同窓だった教導団時代からいわゆるゲイであり、今はアリアスに惚れ込んでいる。

 真戦兵に性別や相性があると言い切り編成を変えさせた。

 一人称はオイラ。

 含みが多く謎めいた存在だが第四幕で詳しいことが明らかになる。


キース・フォレスト

 メルヒンの戦争難民でフォートセバーン国立大学政治経済学部の元学生。

 ライザーに傾倒していたが龍虫侵攻でなにもかもなくしてトレドに逃げ込んでいたが、ライザーに師事するようになり、少しずつ前向きさを取り戻していく。

 しかし、第四幕でいきなり判明するがアリアス中尉の元副官ハサン曹長は実弟。

 イアンとスレイ(アリアス)の真意を確認する為に信頼に足るハサンをスパイとしてゼダに送り込んでいた。

 キースはその実、ラームラント首長連合自治領の代表であり、共闘を拒んだエルミタージュからは排斥対象とされている。

 戦力温存しているラームラント猟兵団および西風騎士団ラームラント駐留軍はベリア奪還作戦の鍵となる存在で、アルバート・ベルレーヌ大佐が時機の到来まで存在を隠している。

 女皇メリエルの真意を問い質した上で、人類絶対防衛戦線と暗黒大陸のネームレス勢のどちらにつくかを見極めようとしている。

 ベリア統一戦争後はライザー・タッスルフォートの後継役として統一ベリア共和国建国の立て役者となる。


ジョセフ・バーンズ

 メルヒンの難民キャンプ医師。

 もともとはエウロペアの医学界で先行するフェリオ・ハメル侯領の出身で解剖外科医師としてメルヒン王国に請われて招かれていた。

 ライザーによるナノ粒子特定以後は難民キャンプ医師と龍虫生体標本解剖調査班を兼ねるようになる。

 やがてはエウロペア医学界の革命児となり医学界でバーンズといえば一目置かれる程の名門として歴史に名を残すことになる。


メリッサ・ヴァンフォート伯爵夫人/-タッスルフォート

 ライザーの後妻。実家はモナース皇分家。

 モナースは爵位なき資産家一族だが、皇分家としては最下級であり門閥貴族からは「成り上がり者のモナース一族」と罵倒されることもある。

 ライザーの養父で先代の皇室政治顧問エドワードが病床となってからは逝去まで献身的に介護したが、ライザーの実父ギルバートが自身の隠居後もヴァンフォート家に口出ししたことで事実婚から抜け出せなかった。

 フィンツ・スタームによるギルバート誅殺によりようやく夫婦となる。

 物凄い毒舌家である一方、外信翻訳もこなす超一流のライターであり、家計の支えだったが、パトリシアと再会してからはその方面で活躍する。

 実はかなりの重要人物。


アラン・モナース

 ライザーの義兄でメリッサの兄。モナース商会代表。

 パルムが政情不穏になり、ライザーの夜逃げに便乗してトレドに家族を連れて移住する。

 ライザーのアイデアを実現し、物資の現金化をする手段としてモナース商会をアルマスに再興させパトリシアと共に辣腕を発揮する。

 やがてモナース商会は文化文明の異なるベリアの民たちの要求や需要を取り込んで再度発展を遂げ、ベリア共和国成立後はモナース財閥(グループ)というベリア財界の中心を担うことになる。

 絶対防衛戦線の新幹部でモナースグループ中興の祖。

 戦争という行為が軍人たちだけで行いきれるものでないことの象徴的人物。


セオドリック・ヴァンフォート/-タッスルフォート

 ライザーの長男(次男)でありディーンの半弟で、国父ライザーの後継者。

 まだ公立学校中等部の学生だったがエルシニエ予備門にも入れる成績優秀ぶり。

 トレドに乗り込んできてしまい学業継続が難しかったのをキースが家庭教師役となり、更に難民たちの子供たちを集めて青空学校を起こす。

 父や兄に似て聡明だが運動神経にも秀で、ベリア義勇軍ライザー隊にも入る行動的な野心家。


ピエール・ヴァンフォート/-タッスルフォート

 ライザーの次男(三男)。

 兄セオドリックがベリア政界のタッスルフォート家後継となったのに対し、ピエールは長兄ディーンの後継となる。

 山師的な兄と違い学問畑で満足する温和な性格から、革命後のパルムに留学する形でエルシニエ大学院を卒業し、新設されたエリンシア大学の史学教授としてシンクレアの後裔たる偽典編纂史家としての役割を果たしていく。

 エクセイル本家を継ぐ予定が早世してしまったアリアスの息子クルトと、ディーンの死後はクルトの息子ロベールをエクセイル家の跡取りとして養育し、ピエール・T・エクセイルとして学長職はディーンから引き継いだ。

 真史に詳しい(詳しくなる)ので質問箱では案内役に抜擢される。


エド爺さん/エドラス・フェリオン

 フェリオ連邦王。

 第三幕最終話でウェルリでの停戦条約締結交渉にかこつけた実子チャールズの謀略によりフェリオを追われた連邦王。

 幼少期から可愛がる剣皇ディーンの活躍によりゼダのハルファに亡命。

 遊撃騎士団と黒騎士隊の飛行型真戦兵機種転換訓練の監督役となり、素性を隠すために「エド爺」の愛称で知られる。

 もともとフェリオ遊撃騎士団の騎士長であり、優れた真戦騎士だった。

 しかし、連邦王即位に際してウェルリでの爆弾テロ事件で家族と共に負傷し、信頼する部下たちまで喪った。

 エドラス自身は事件の後遺症で右足が義足。


ベルゲン・ロイド大佐

 フェリオ遊撃騎士団の女隊長でディーンの幼馴染み。

 本来、父か祖父が率いる筈だった遊撃騎士団の隊長に抜擢されたのはエドラス王の贖罪であり、根っからの連邦王派であるがチャールズ・フェリオン次期侯爵を誑し込んで騙した。

 いわゆるクールビューティであり、その美貌は冷徹非情さを隠すための仮面。

 霧の剣聖ソシア・アラバスタの魂持つ覚醒騎士であり、絶技たる《霧風の舞》を持つ。

 母カロリーネが結婚前はリンツ姓でリンツ工房のマイスターであるギュンター・リンツの妹であるので整備面にも優れる。

 年齢的に逆転したメディーナを導くため悲劇の比翼連理騎士として女皇戦争か東方戦争で戦死しようと考えている。

 タイアロット・アルビオレを駆る剣聖たる《黒旋風》となる予定。

 「黒き森の鎮魂歌」ではオペレーションオケハザマでラムダ・エゼルローテを倒した女傑であるマリーベル・ロイハンターのモデル。


メディーナ・ルフトー大尉/-・ハイランダー(ハイラル) 

 剣皇ファーンの魂持つディーンの幼馴染み。

 前章にて絶技たる《神風》を駆使して《黒髪の冥王》ヴォイド、《嘆きの聖女》エルザを倒した「辺境王ファーン」の苦悩と記憶を受け継ぐ。

 実直で生真面目なフェリオ騎士の鑑と称されたファーンとの決別を図るため、陽気なチャラ男を演じている。

 しかし、根は真面目であり剣皇ディーンと共闘したいと心から望む。

 姓が変わった事情は第三幕最終話にある通りでヴォイドの名残であるハイランダー姓の方が気に入っていた。

 1183年のエドナ杯では準々決勝でルイスに完敗を喫している。

 しかし、陸と空を自在に駆ける立体戦術が得意であり、その力でシモン、マイオ、アリオンを一蹴した。

 使徒真戦兵ゼピュロスに選ばれた乗り手であり、《疾風の剣聖》。

 絶対防衛戦線本格参戦により後に「ドラゴンバスター」と呼ばれる英傑。

 ルフトー家は龍虫大戦、十字軍戦争、ボルニア戦役を戦い、戦後にソシアを娶ったアルフレッドとファーンの部下だったディーター・ルフトーから続くRの血族。

 ハイラル家は黒髪の冥王ヴォイドの家系。


《ミロア法皇国関係者》


サマリア・エンリケ

 高齢の先代法皇。

 ミロア大聖堂高位司祭として引き続き布教活動をしているとされる。

 法皇位はサマリアからワルトマ、更にナファドに譲られた。

 最後の流浪の法皇ラウダ・エンリケの後裔。 

 

《13人委員会》

 正式名称は対龍虫戦争国土強靱化計画遂行委員会。

 戦争遂行のためのインフラ整備と並行し、戦争のキーパーソンたちの育成と保護やバックアップ要員確保を執り行い、龍虫戦争後の未来を見据えた。


パトリック・リーナ

 《鉄の睾丸》と称されるベルシティ銀行総帥。

 出自は爵位返上したフェルベール男爵家。

 偉ぶらず慎重な言い回しを好み、出過ぎたことをしない。

 「無私の人」としてローレンツ・カロリファルに賞賛されたのは野心や功名心を露骨にせず、己の才覚に奢ったりもせず、相手を立てる謙虚な態度にある。

 それでいて、タフネゴシエーターとして安易な妥協は許さず、懐柔しにくく、滅多に動揺もしない事から《鉄の睾丸》と称された。

 メル(メリエル)の父親として自分に出来る事はやり尽くしたと述懐している。

 既に一度は死んだ身として過酷な運命に翻弄されるが、革命を乗り切り100才近くで大往生したとされている。

 娘が呆れる程の乱読家。


ラクロア・サンサース

 ライザー、トワントの実弟でゼダ鉄道公社総裁。

 祖父の要請により母の実家であるサンサース男爵家を相続し、爵位は既に返上している。

 性格容姿共に長兄ライザーにそっくりで役職を入れ換えていた時期もある。 


ビリー・ローナン

 ゼダ司法院最高裁判事。

 セオドリック・ファードラントは彼の家系の傍流とされる。


ワルトマ・ドライデン枢機卿/先代法皇

 ファーバ教団のゼダ枢機卿でパルム大聖堂最高司祭。

 元はゼダの外務次官補でありヴェルナール・シェリフィスと共に「ロレイン侯の懐刀」と称されていた切れ者。

 ナファドの前の法皇として剣皇カールを指名した。

 交通事故で妻子を喪った過去を持ち、心酔するロレインの客死に心を痛めてファーバ教団に帰依した。

 過去の職歴もありファーバ教団内では本来の教えに忠実ながら、ゼダの敬虔な信徒たちが女皇家を敬愛するように働きかけ、宗教指導者としての卓越した手腕を発揮したと見做されている。

 ディーンの偽典史では真逆の人物としてアリョーネの異端審問を主導した悪辣とした人物であるかのように描かれている。

 実際はトリエルや《鉄舟》にとって頼みの綱となるファーバ教団内の正常化を成せる徳の高い司祭としての役割を期待される。


フェルディナンド・シェリフィス議員

 現職元老院議員でスレイ(アリアス、ティベル)の養父。

 元はマーカス姓で旧友たちにはそちらがなじみ深く、国家公務員上級試験をパスして財務官僚をしていた。

 盟友ライゼル伯と共に数々の改革上梓案を示してきた元老院左派の首魁。

 「鋼の男」の異名をとり、賄賂は受け取っても魂まで売らないと称されたやり手の政治家。

 13人委員会で真っ先に裏切ってヴェルナール・シェリフィス元老院議長に籠絡されて入り婿を承諾したのだとされる。

 養父の薦めで同志の遺児であるアリアス・レンセンを養子に迎えた。

 しかし、不良少年アリアスに散々手を焼かされ、妻のアリシャとも不仲であり家庭的には恵まれない人となった。

 婚約者ブリギット・ハルゼイを袖にして政治の名門女系一族シェリフィス家で栄達したと思われている。

 そのブリギットが貧困が元で病死したと知り、アラウネから託されていたゼダ人民革命の闘士となることを決意し、パルムのレジスタンス幹部らと接触する。

 実はそうした人脈はパルムに居た頃に息子スレイ(アリアス)が開拓していたもので、アリアスの出奔宣言とは鋼の男に革命の闘士として動いてほしいというメッセージだった。

 スレイ(アリアス)の助言で孤児院育ちの実弟ティベル・ハルトを自身の政治秘書で新たな「スレイ・シェリフィス」として迎え入れる。

 しかし、それこそが偽ヴェルナール・シェリフィス(ノーリ)の仕掛けた罠だった。

 フィンツとティベルだけがシェリフィス家に隠されていた真相を知っている。 


エイプ・ラファール少将

 ゼダ国家騎士団の重鎮であり、国軍上級顧問としてゼダ国軍と軍警察を統括する。

 シモン大佐、紋章騎士ルイスの実父であり、騎士としての才覚は子らに劣るが「カミソリ」と呼ばれた切れ者であり、革命前夜のパルムの守護者として働く。

 容姿と風貌はトワント・エクセイル先代公爵に似ており、愛妻オードリーがエイブとの縁談を拒まなかったのもそれが決定的要因だとされる。

 一方で義息であるディーンが頭を抱え、ルイスと絶縁していたほどの石頭で猛烈に勘と察しが悪い上、悋気も酷くトワントにジェラシーを抱いている。

 しかし、その正体は絶句もの。


《女皇騎士団および外殻部隊関係者》


アルベオ・スターム学院長

 スターム三兄弟の父であり元女皇騎士団司令でネームレスでアウグスト・ブラン氏族の妻仮称マヘリアの夫。

 ベックス、アランハスと並ぶ女皇騎士団三巨頭と呼ばれた。

 しかし、「タッスル事件」の引責により将来的に息子オーギュスト・スタームに司令職を譲るものとされ、更には「アラウネ事件」発生の引責人事により正騎士から除名された。

 その後は後継育成の管理監督役としてエベロン離宮にある「アエリア教育施設群」の学院長となり、女官養成施設の「エベロン女学院」と女皇騎士団候補生訓練施設「シルバニア教導団」を任される。

 白髭の好々爺として知られるがビルビットはよくお小言を食らっていた。

 お説教にかこつけてエキュイム対局を求めていたせいだと思われている。


ベックス・ロモンド元大佐副司令/教授

 元は《百識》ベックスの異名とる女皇騎士団の頭脳であり副司令。

 しかし、「アラウネ事件」の引責により国家騎士団に転属左遷されそうになり、皇室吟味役トワント・エクセイル公爵の薦めでエルシニエ大学史学部教授として招聘される。

 しかし騎士団除籍後も引き続き「御大」として必要となると引っ張り出される。

 そうしてイアン・フューリー、スレイ・シェリフィス(アリアス・レンセン)を発掘して愛弟子として育成した。

 事実上の後任副司令たるトリエル、イアン、アリアスからは「じさま」と呼ばれ慕われているが、ディーンからは「ベックスのじじぃ」と嫌われている。

 1183年のエドナ杯を舞台に行われた「アリョーネ暗殺作戦」とはアリョーネが暴漢に襲撃されたと思わせ、その後の措置でオリビア・スレイマンと完全に立場を入れ替え、セスタでアラウネと隠棲させ、トリエルを国家騎士団南部方面軍に転属左遷させるというものだったが、ディーン、ルイス、アリョーネに阻止された。

 フィンツの失踪とタリアの死により焦りを見せ、「ブラムド・リンク強奪作戦」を強行したアリョーネに龍虫戦争の後背指揮が難しいという判断だったが、結果的にはアリョーネの完全勝利に終わり、姉弟の絆やディーン、ルイスの優秀さを見せつけた格好になった。

 逆に傭兵騎士団エルミタージュ殲滅のため、アリョーネが女皇騎士団外郭部隊エルミタージュを結成し、トワント公が「ルーマー討滅令」を布告。

 暗殺事件失敗で遺恨があると思わせたベックスがエルミタージュブレインズに接触し、子飼いの部隊参加と作戦計画の提案者として売り込んだ。

 実態としてはシルバニア教導団訓練生の行き先として外郭部隊参加をさせ、其処に《白の剣聖》ベルカ・トライン(ディーン)と《銀髪の悪鬼》ビルビット・ミラー(エドナ)、魔女セリーナを潜入させてはエルミタージュに痛打を与えていた。

 ベックスとアリアスが師弟で作戦計画を売り込み、作戦計画そのものになんら不自然な点がないにも拘わらず、7割がた上手くいくのに3割で殲滅されるという事態にゼダの諜報部隊である隠密機動隊と女皇騎士団調査室が関与しているとは思われたものの、はじめからベックスが女皇騎士団側だとは考えずに被害が深刻化した。


グエン・ラシール調査室長/元司令

 隠密機動ラシール家の子。

 女皇騎士団を女皇たちを閉じ込める檻に変えようと謀ったカイル・スタームに賛同し、それが本来の在り方として支持し、女皇メロウィンの忠臣だった三巨頭のアルベオ、アランハス、ベックスを「アラウネ事件」の引責でカイルが自身の道連れに排除した後、後任司令職を引き受けた。

 しかし、新たに皇太子皇女に擁立されたアリョーネがカイルを誅殺し、新女皇即位後に起きた「オードリー・ファルメ事件」の不始末により司令を辞任し、調査室長兼司令格となった。

 禿鼠と陰口される一方で鬼の室長と怖れられる。

 どこまでも道化だが・・・。


マグワイア・デュラン騎士長少佐

 アリョーネのエンプレスガードであり御典医。

 のちに《紅蓮の剣聖》。

 クシャナド・ファルケン子爵の婚約者であり、剣豪バートラム・デュランの娘で、アラウネの影武者として殉職したとされるエリーヌの妹。

 幼少期から非凡な頭脳を持ち、《神童ライザー》と並び称された才媛で、医学薬学博士。

 性格は裏表がはっきりしていて、常識的で理知的だとされるのは表の性格。

 裏の性格は怒りっぽく、酒癖が悪く「マギー姐さん」と慕われる姐御肌。

 「怒らせるとおっかないけれど、素面だととても頼りになる人」というのがディーン、ビルビット、ナダルの共通認識。

 逆に言うと「酒が入ると絡まれるので面倒臭い人」という意味。

 副司令トリエルにとっても姉代わりで頼みにしていた。


アルゴ・スレイマン騎士長少佐

 通称「熊おじさん」。

 スレイマン皇分家の婿としてシルバニア教導団から招聘された元教官。

 次期司令と内定しているがルーマー派に属しグエンとつるむ。

 根はとても家庭的ないい人らしい。


オリビア・スレイマン夫人

 スレイマン皇分家先代当主。

 女皇アリョーネの影武者。

 もともとは問題児女官騎士としてメロウィンを悩ませた一人。


マーニャ・スレイマン女官頭

 スレイマン皇分家の若き現当主であり、女官騎士。

 マリアン・ラムジー出征後はアリョーネの女官頭の一人。

 「メガネザル」と揶揄されるが符丁で《執行者》を動かす女皇の影。

 

エレナ・スレイマン

 体裁上はアルゴ、オリビアの第二子。

 その実、皇弟トリエルの第二子であり、通称は「エレナ姫」。

 1188エドナ杯に10歳で参加していた天才騎士。


ニコラス・スレイマン

 体裁上はアルゴ、オリビアの第三子。

 その実、皇弟トリエルの第三子。

 ニコが愛称でまだ幼年学校に通う。 


パベル・ラザフォード提督少佐/初代リチャード・アイゼン

 女皇座乗艦ロード・ストーン艦長で女皇騎士団の船番。

 「伊達男」から年を経て「因業ジジィ」と称される。

 見た目は老紳士然としているが、下世話で説教臭い。

 イアンは「ジジィのお守り」と称されていた。

 どうやらアイゼン家もネームレスコマンダーからの鞍替えであるらしい。


ビルビット・ミラー少佐/《光の剣聖》ベルベット・ラルシュ/エドナ?

 女皇騎士団ダブルエースの片翼。

 通称が《銀髪の悪鬼》。

 事情を知る人物(覚醒騎士)たちからは「エドナ」と称される。

 史上最高の騎士手合い分析家であり、エキュイムの名手。

 長身で容姿端麗だが性格はやや卑屈であり、女皇正騎士など柄ではないと言い切る。

 東方戦争と女皇戦争のキーマン。

 絶技である《真・鏡像残影》の使い手であり、ディーンにかわる最終剣皇になると示唆される。


アルセニア・オーガスタ教官/アルセニア・アウグスト・ブラン

 表向きは女皇正騎士としてバスランで活躍するティリンスの姉であり、二人で正騎士ティリンスとアルセニア教官を演じ分けていた。

 真実としてはアウグスト・ブラン氏族の娘たちで双子姉妹というのも嘘であり、龍皇子エドナの記憶継承者。


ナダル・ラシール

 最後の女皇正騎士にして隠密機動。

 アランハスの孫であり、グエンとデュイエの子。

 前章に登場した意味は《6月革命編》のキーマン。

 女皇家巫女たちとの共闘により数々の奇跡を生む。

 何故かレイスと呼ばれることもあり、ヴァスイムはレオハート・ヴェロームの血族だとみなす。

 義姉である破天の巫女セリーナの精神的支配を受けていて将来の伴侶として童貞喪失しており、任官当初から白の隠密だったディーンには頭が上がらない。

 シスコンの外道かつ女皇家ワンコにごうという扱い。

 「ナダっち」(紫苑、ティリンス、アルセニアら)や「忍者くん」(アリオンら)というあだ名で呼ばれる。


エーベル・クライン・クレンティエン少佐/ノース・ナガレ

 コードネーム《C.C.》。

 通称は「キタさん」でエイプ・ラファール少将直轄の女皇正騎士参謀格。

 普段はサイエス分団の一員として身代わりをサイエス家に置くというゼダ国軍警察現場指揮官。

 亡妻は女皇正騎士ルカ・クレンティエンであり、愛娘はリリアン。

 亡国のファルツ出身であり、自身の出自を貶めるがその実ファルツ王族の末裔。

 二刀流ダガーナイフで戦う凄腕騎士。

 リチャード・アイゼン大尉らとパルム防衛隊を結成し、革命闘争と暗闘する《6月革命編》のキーマン。


《東方戦争編登場人物》

 

《軍神》ロムドス・エリオネア中将

 ゼダ東征軍全権司令官。

 《百識》ベックス大佐のライバルと称されたゼダ国家騎士団の重鎮。

 ルーマー騎士団としてゼダに牙を剥く。

 その理由や動機はいまだ謎が多い。

 「黒き森の鎮魂歌」に登場するラムダ・エゼルローテのモデル。


チャールズ・フェリオン次期侯爵

 フェリオ連邦王エドラスの嫡子で次期フェリオン侯爵。

 《銀翼騎士団》の団長として敵対するゼダ東征軍と呼応し、トゥドゥールとエドラスの排除を画策したが失敗。

 やがてはルーマー騎士団に属する。

 「黒き森の鎮魂歌」に登場するカルローゼ・フェラリオのモデル。


シモン・ラファール大佐

 ロムドス中将の腹心であり、後継者と目されるがビルビットの親友であり、ディーンの義兄でエイプの嫡男かつルイスの実兄。

 1178年のエドナ杯にて決勝戦でビルビットを下して最年少優勝者となった。

 副総帥トゥドゥールの忠臣であるらしい。


ラシーヌ・エリオネア中佐

 ロムドスの娘。

 ロムドスの元副官コナン・エリオネアを追い落とした女傑。

 シモンとは男女の仲にある。


イシュタル・タリスマン准将

 ゼダ国家騎士団北部方面軍統括であり、アイラス要塞最高司令官と《黒騎士隊》の隊長を兼任する。

 「イシュタルの狸親父」と称され、レウニッツ・セダン大佐は元部下。

 「アイラスの悲劇」の真相に関与する。


剣皇カール/オラトリエス王シャルル・ルジェンテ

 ファルマス要塞で籠城戦を続けるオラトリエス王。

 「父殺しのカール大帝」と称されるディーンと並ぶ剣皇。


ローデリア・フェリオン

 フェリオ連邦フェリオン侯爵家のエドラスとミュイエの実弟であり、替え玉としてオラトリエス王シャルルを演じていた肥満体の男。

 剣皇カールの筆頭参謀として辣腕を揮う。


アウザール・ルジェンテ

 シャルルの実弟であり、ルートブリッツ海上騎士団とオラトリエス北海艦隊の団長であり司令。

 前章でオラトリエス副王に任命された。

 鉄舟ミシェル・ファンフリート・エルレインの愛弟子。


パエール・フェルメ

 元ルートブリッツ海上騎士団幹部。

 「クロウデール邸醜聞事件」と「アラウネ事件」により騎士団を更迭除名され、アウザールの指示で情報屋としてリヤドで居酒屋を営んでいた。

 元部下の裏切りに責任を感じ、ルートブリッツ海上騎士団に復帰し、北海艦隊の提督となる。


ヴァスイム・セベップ大尉

 共生大国ルーシアのエルミタージュハイブリッド。

 1188エドナ杯編で登場する覚醒騎士であり、エウロペア聖騎士かつ破天の巫女の雇われ騎士。

 ヴェローム家の血筋引くボストークの後裔であり、天技陽炎の使い手。

 第四幕でアリョーネから聖騎士の証を受け取り、亡霊騎士としてパルムや東方戦争で暗躍する。


剣皇騎士ケイロニウス・ハーライト大尉

 電光石火の剣聖であり、天技認定された朧月の使い手。

 フェリオ連邦アストリア大公国のフォーフェン騎士団長マグノリアの子。

 家族と共に亡命したミロア法皇国で司祭騎士として大成する。

 のちルーシア初のファーバ枢機卿。


リシャール・ルジェンテ

 光の王子の異名を持つ剣皇カールの嫡出。

 1188エドナ杯を制した将来有望な騎士。

 自身の創設した閃光騎士団を率いてウェルリ攻防戦に参加する。

 いずれはトリエルの第二子である従兄妹のエレナを娶るらしい。

 エドラスなきフェリオ連邦王国の命運を握る。


《ゼダ国軍、国家騎士団、軍警察関係者》


リチャード・アイゼン中尉→大尉/元帥

 ゼダ国家騎士団の参謀部付き中尉。

 前章ではオトラリエス電撃攻略作戦を立案したトゥドゥールの懐刀。

 アリアスとは幼馴染み。

 後に元帥となる。

 6月革命ではパルム防衛隊を指揮した非凡な指揮官。


フレイア・ラディアス特務大尉

 ゼダ国軍特務大尉であり女皇座乗艦ロード・ストーンの副長。

 生真面目で折り目正しい。

 後に意外な人物の伴侶となり・・・。


ウェルナ・ルセップ中尉/ウェルナ・ヒューズ

 ゼダ国軍中尉でエイブ少将の副官。

 フィンツ・スターム少佐(ディーン)の仲介でウィリーの嫁サンとなる。

 女皇騎士団のバベル・ラザフォード提督との連絡役だとされるが実は・・・。


ウィリー・ヒューズ大尉

 ゼダ国家騎士団宮殿支部長。

 女皇騎士団との連絡折衝役。

 気さくで部下たちからの人望が厚い

 後の《鉄壁の剣聖》。 


ダリル・メイ中尉

 ゼダ国軍軍警察捜査員。

 ノース・ナガレ少佐の部下だったがエイブ・ラファール直轄の部下となる。

 のちパルム防衛隊に参加する。


マリス・ローランド少尉

 ゼダ国軍軍警察捜査員。

 ノース・ナガレ少佐の部下だったがエイブ・ラファール直轄の部下となる。

 のちパルム防衛隊に参加する。


《傭兵騎士団エルミタージュ》

 ルーシアの対外戦担当部隊。

 エウロペアに軍事介入し、龍虫戦争を混乱させる。

 ブレインズとは頭脳を意味する幹部たち。

 セルとは細胞を意味する戦闘単位。

 全員がルーマー教団に所属しているわけではない。


タタール・リッテ少将

 元ナカリア銀騎士団団長。

 ナカリア金騎士団騎士長マルコ・リッテの父であり、アポロとミューの祖父。

 リッテ氏族を捨て傭兵騎士団に総参謀として招かれた。

 ルーマー騎士団創設に向け、まずは招聘を拒んだフェリオのアストリア大公国ホーフェン騎士団の団長マグノリア・ハーライトと《連弾の剣聖》バルド・ラーセンを討ち果たした上で、父を討たれ家族の生活のために傭兵に身を落とした少年騎士フリオニールを《ナイトイーター》とし、エウロペアの騎士たちを狩り続けた。

 更には自身の出自であるリッテ氏族襲撃事件を指示し、フリオニールたちに襲撃させた。

 老獪で剣技に長けタッスル事件にも関与。

 黒幕的な存在ではあるがフェリオの分断と連邦王国殲滅を計画し、西部戦線のディーンたちとは直接戦うことはない。

 ヴァスイムとケイロニウスの未来認知ではウェルリの天ノ御柱を巡り、二人や剣鬼、セリーナ、リシャールと雌雄を決する。


ノーリ総司令/偽ヴェルナール・シェリフィス

 エルミタージュハイブリッドの0。

 タッスル事件で殺害した外交官ヴェルナール・シェリフィスになりすましてパルムで暗躍した元老院議長。

 フェルディナンドの養父でアリアスの養祖父だった。

 5年前に不可解な老衰死を遂げた。

 彼の死の真相は第4幕で明らかとなり、現在ノーリだと思われている人物は“スレイ・シェリフィス”。


アジン少将

 エルミタージュブレインズの1。

 タタール・リッテと共にフェリオでルーマー騎士団を指揮する。


ドゥヴァ准将

 エルミタージュブレインズの2。

 ノーリ総司令の副官としてパルムに潜入する。

 《ブラムド・リンク強奪作戦》時にC.C.に討たれた先代の後任。


トゥリー少佐

 エルミタージュブレインズの3。

 ルーシアでも伝説の狙撃兵。

 女性であり彼女の顛末は第4幕で語られる。


チィトゥイリ大佐

 エルミタージュブレインズの4。

 先代のチィトゥイリは前章における「リヤド蜂起作戦」(東征開始前のオラトリエス王都リヤドでトリエルとシャルル、アウザール、パエールらを殺害するという計画)をトリエルに阻止されて殺害され、補充されたのが彼女。

 若いが優秀で残忍な指揮官。

 物腰や口調は比較的上品。


ヴォースイミ大佐

 エルミタージュブレインズの8。

 口調はやや粗野。


《始祖メロウと東方の女帝、女神たち》

 ナノ・マシンの魔女メロウと天ノ御柱に封じられていたとされる始祖メロウの姉たち。

 不愉快だと前置きされ「先行試作型」として作られていた者たちだとメロウは語る。

 例外的にアリアドネだけが事実上の初代女皇としての責務果たしたのちにマルガ離宮内の地下施設で冷凍睡眠状態となっていた。

 併せて「創世神話編」に登場する東方の天ツ皇一族の祖も記す。


始祖メロウ

 ナノ・マシンコンピューターによる再現セカイの創造主であり実証実験を始めたとされる。

 「賢人会議」により別世界人類における先駆指導者たちに命じてセカイの原型について案を求めた後に実証実験を始めた。

 彼女自身は始祖女皇としてエウロペアネームドの最初の指導者となった。

 《観測者メロウ》が何処まで彼女の本質と真実を理解しているかは謎だが、ナノ・ブレードやナノ・シールド、惑いの回廊の創造といった超常の力を持つのは事実。

 自身への絶望から名前を二つに割り、繋がりを断った。


天照姫巫女(あまてらすひめみこ)

 《観測者メロウ》さえ記憶制御されているというメロウの相棒であり、実はナノ・マシン再現セカイは彼女たちが創造したという。

 事実上はメロウの同型機だったとされるが、天照はネオテニーの制限をセカイ内で再現せず、日本神話の三貴子になぞらえて妹と弟を持った。

 メロウはセカイ内への干渉を避け、人形として観測者メロウを残してセカイから去ったが、天照はそうではなかった。

 また西方担当のメロウはエウロペアを実際のヨーロッパとは異なる形にしたが、東方担当の天照は天孫降臨の地である日本列島をそのままの形で再現した。

 それが何故だったかはやがて明らかになり、シの国の秘密や、ナノ・マシンの集積記憶情報体の秘密に直結する。

 「創世神話編」では思わぬ形で登場する。


壱与姫(いよひめ)

 天照の産んだ娘で東方セカイの天ツ皇一族の祖。

 父は天照の実弟である須佐王。

 天照消失後の大和を治めた聡明な女帝であり、セナの政王(初代大皇帝)との間に契りを結び、後継者の支那姫を産んだとされる。

 実際の日本の皇室と違い、女系相続が基本。

 壱与姫の子で天照の孫が初代の天ツ皇である神武。


支那姫(しなひめ)

 初代セナ大皇帝始帝と壱与姫の子。

 しかし、穢れた政王の子だという理由で何者かに殺された。

 その魂はマスラオの対たる真血の巫女として生きるという宿命を与えられた。


女皇アリアドネ・ジュダス

 マルゴー女皇国の初代女皇。

 始祖女皇とされながら統治期間が短く、ネームドの国もなかった黎明時代の象徴女皇メロウを除くと事実上の初代女皇ということになる。

 アリアドネの時代が遠くなり、エウロペアネームドの版図拡大によりマルゴーがルジェンテ王族の王国として独立した後に、女皇本国の名称が変わり、ジュダスが転じてゼダとなったが、その名の持つルーツは「イスカリオテのユダ」から。

 つまりゼダ女皇国とは作られた当初から裏切りの女皇国だった。

 龍虫大戦後の「パルム講和会議」が崩壊し、《白痴の悪魔》によりパルム平原が血塗られた荒廃地となると、女皇サーシャと諮問役ライザー・ウェルリフォートの生前こそ手をつけずにいたものの、後年に警句を無視した何者かがアリアドネの冷凍睡眠を解いて除染を図ろうとした。

 それが「アリアドネの狂気」と呼ばれる惨劇をもたらした。

 事態の収束を図った剣皇エセルはアリアドネを赤子に戻した上で再びマルガに封印したとされ、アラウネは後妻としてエルビスに娶らせたのがアリアドネである公妃アリアだと言う。

 メリエルは真相に気づいているものの、その矛盾については敢えて指摘していない。


女神マーガレット・アテナイ

 マルガにて天ノ御柱に封じられていた女神の一人。

 その後、新都アテナイに天ノ御柱ごと移設された。

 「乙女?たちの戦い」にてその真相が明かされ、剣皇アルフレッドの妻で《風の剣聖》リュカイン・アラバスタとは女神の化身だったことが明らかになる。

 エドナの罪とはその実、アテナイの御柱をそれと知らずに破壊したことにある。

 エドナの贖罪としてダイモス・エクセイル侯爵の発案で女神の都マルガで5年おきに開催される行事が「エドナ杯」となった。


女神エリンシア・バルサ

 北海沿岸に位置したメルヒン古王国の王都バルサの天ノ御柱に封じられていた女神の一人。

 周期周回実験の長期化に伴う老朽化により天ノ御柱が倒壊したことで祈り子たる女神が解き放たれた。

 それが花鳥風月の剣聖エリンベルク・ロックフォートだという話はリュカインがヒントとして語る。

 その後、荒廃したバルサを「フォートセバーン」としてエリンがエルヴィウス統一メルヒン王と共に再建した。

 ちなみにバルセロナは地中海に面していたがメロウの位置改変により北海側に移されている。

 第六幕から思わぬ形で登場する。

 その前に質問箱に登場する。


女神エカテリーナ・エルミタージュ

 一番新しい女神でありルーシアの帝都モスカにある天ノ御柱に今も封じられる祈り子。

 ゼダの皇女であるエカテリーナ・メイデン・ゼダがキエーフ防衛戦で見捨てられた英雄たちの為にその名捨て祈り子となった。

 祈り子となる前にヴェローム大公ボストークの子ヴァスイムを産んでいる。

 詳しい話は「さいごの夏の・・・」内でライザーがしている通り。


女神テッサロキア・ブランカ

 ナカリア王国タッスルの天ノ御柱に封じられた女神。

 とうに喪われているが彼女はエウロペアネームレス繁栄の為にその身を捧げた。

 元が龍皇女の子とされるミィではなく、既出の意外な人物として女皇戦争に参加する。  


女神ウェルリッヒ・ミューゼ

 フェリオ連邦王国フェリオン侯爵領ウェルリの天ノ御柱に封じられた女神。

 彼女を守るためウェルリの選王候ライザー・フォートレス(使徒真戦兵フォートレス誕生後はウェルリフォート)は《砦の男》としてウェルリを守護してきた。

 しかし、他の女神たちと同様にウェルリッヒもミュイエ・フェリオン(結婚後ルジェンテ)としてエウロペアネームドとなる。

 東方戦争の鍵を握る。

 ウェルリとはまさにベルリン。


女神オリンピア・パルマス

 ゼダ皇都パルムにある天ノ御柱に封じられた女神。

 最重要となる御柱であり、女皇戦争と6月革命の鍵となる存在。

 祈り子が誰であり、エウロペアネームドの誰がもともとその任に当たったかや、何故にフィンツがオリンピアを味方につけられたかは終盤の鍵を握る謎。

 ・・・という予定だったのに第4幕内で本人がバラした通り、アリョーネが女神オリンピアの化身。

 皇都パルムドールとはパリとロンドンの特徴を併せ持つ水の都。


《過去の剣聖・剣皇たちとネームドの怪物》

 事実として過去の剣聖たちは1180年代にあった女皇戦争、東方戦争に参戦する。

 アルフレッドを除く他の剣皇たちも同様。


剣皇アルフレッド・フェリオン

 初代剣皇。

 のちの連邦王ベルディオの息子でフェリオン侯爵家嫡子でありゼダ女皇サーシャの子。

 使徒真戦兵フォートレスに龍皇と共に捕らえられ、《白痴の悪魔》と化した。

 性格は気取り屋(エリン、リュカイン談)でお行儀は良かった(トリエル談)とされるが優しくはなかったらしい。

 アルフレッドの狂気に龍皇子が臆したともいうがこれもまた事実。


剣皇ファーン・フェイルズ・スターム

 二代目剣皇で諡は「辺境王」。

 十字軍戦争末期での活躍は前章にある通りで400年後にはメディーナとなっている。

 性格品格紳士ぶりが徹底していたフェリオ騎士の鑑とされた。

 絶技である「神風」を使ったが、やっぱりなにをそんなに後悔していたかは言うだけ野暮。

 まぁ、ロイドとメディーナが覚醒連鎖で暴走した事を察すると、やっぱり原因はアレしか考えられない。

 アレを避けてそれぞれ絶技を作るのと、アレして壱与姫こさえるのとどっちが凶悪ってどっちもどっち。


剣皇エセル・メイヨール公爵/女皇エクセリオン1世 

 三代目剣皇。

 ファーンの後裔であり、メイヨール内戦(オリンピア攻防戦)の英雄。

 ファーンの子がハイブリッドだった事から彼女もハイブリッド。

 200年後にはオードリー・ファルメとなっている。

 エリンの持つ花鳥風月の継承者。


花鳥風月のエリンシア/エリンベルク・ロックフォート先皇后

 通称、剣聖エリン。

 「スカートの剣聖」やら「剣聖女王」、「ベリアの魔帝」、「魔鳥」と数々の異名を持つものの、ライザーが名付けた「花鳥風月のエリンシア」が正しく、「スカートの剣聖」というのには「そんなヒラヒラしたもの履いて龍虫と戦が出来るかっ!」と一喝することになるし、夫である統一メルヒン建国王エルヴィウスをないがしろにした「女王」だの「魔帝」にも怒るし、「魔鳥」というのも一面でしかない。

 早い話、気の短いぶっちぎりに強い婆さんで女神エリンシア・バルサの化身。

 剣聖として他を圧倒凌駕したのは正にエリンがナンバリングされない剣皇だったからだし、サウダージ一機でメルヒンの内戦を片付けたというのも満更出鱈目でもなさそう。

 この人だけは外に出しておいたらエライことになると使徒に封印されていて、また引っかかったとこが間抜け。

 しかし、継承者という名のコピーであるエセルも上品なだけで似たようなもの。

 質問箱で察してください。

 ちなみにアーサーのフレアール・エボリューションMarkⅡの正式呼称は・・・。


闇の剣聖マガール・ブラウシュタイン/光の剣聖エドナ・ラルシュ

 光と闇とが同一人物というのは真史を残したエクセイル家の

 龍皇子どころか龍皇だったこともあるこの人をナメると痛い目を見る。

 エドナ本人はネームレス種の記憶である自身の過去記憶と《真・鏡像残影》を使う戦士としての能力とを別にした。

 結果として400年後に誕生した能力継承者のビルビット(ベルベット)は平べったく自分を蔑む優柔不断な人になってしまったし、記憶継承者は破壊王シスターズに。

 ともあれ、「エドナ杯」にその名が残り続け、「天技指南書」としても残る伝説の人として後世でも尊敬される騎士。


青狼ライアック・ラファール/剣聖ライアック・カスパール 

 使徒真戦獣フェンリルに選ばれた特選隊騎士。

 とにかく謎が多すぎる人で儀典史では「ライアック・カスパール」とか名前も後世に出鱈目に伝わる。

 そもそもフェンリルはライアックが使って以降は真史にも出てこない。

 カスパールとは兄弟であり、《双剣聖》と称された。


白鹿カスパール・ラファール/墨染めの剣聖カスパール・エルレイン

 特選隊騎士で剣聖の一人。

 レイスと同様に乗機が伝わっていないどころかそもそも隠されていた。

 その理由はファーバの司祭騎士家として有事の法皇候補とされることになったから。

 カスパールの後裔たちは《鉄舟》とナファドの二人いるが、皆が思っているのが「《鉄舟》こそ墨染めの剣聖に相応しい」ということ。

 実態としては「墨染めの双剣聖」となる。


風のリュカイン・アラバスタ/女神マーガレット・アテナイ

 マルゴー王国の剣聖。

 またの名を《黒豹》でなく“黒豹を従えし者”。

 女皇国離宮のあるマルガの秘密とは半分は離宮内地下施設という怪しげな場所があることと、真名が「皇都マルガレーテ」ということで、エドナ杯をマルガでやるのも、原初の都であり、「女神サマが将来有望な若い騎士たちを見てますよ」という事。

 「Rの血族」たちの祖先であり、「龍虫大戦」の序盤戦で龍皇子エドナがうっかり壊したアテナイの御柱に封じられていた女神マーガレットがのために女神エリンシアと共闘したんじゃないかっていう話。

 龍王子エドナが剣皇アルフレッドに降伏したのも、アルフレッドがリュカインとお腹にいるソシアを殺そうとしてエリンのサウダージ・ネオンに止められ、これ以上の罪は背負えないと感じての事。

 そんな意味でエドナ、マルガ、リュカイン、アウグスト・ブランの娘たちは強い縁と絆の力とで結ばれている。

 剣皇アルフレッド・フェリオンの妻だったものの、アルフレッドは出征前にハメル家宰ブラマス・スタームの娘と子作りした結果がファーン。

 それでもアルフレッドの消滅後、ファーンの師匠となって自身の愛用する風の天技を授けた。

 使徒真戦獣ベーセ・ルガーは彼女の為に用意されたが“動かなかった”とされる一方、何故か「狂戦鬼」と恐れられる事の真相は「さいごの夏」の終章にある通り。

 そもそもどっかの暴力老女と違い、リュカインはとても察しが良い人だったので「こんなのに乗ったらまた祈り子に逆戻りだ」と危険察知したのかも知れないというかそういう話。

 前章にチラっと出てきて、「さいごの夏」と第4幕「乙女?たち」でもチラっと出てくる。

 三位一体を実現した完成形が《薔薇の剣聖》。


霧のソシア・アラバスタ/ソシア・ルフトー

 リュカインとアルフレッドの娘でファーンの異母妹という十字軍戦争の剣聖。

 絶技である「霧風の舞」を使ったとされる。

 なにをそんなに後悔していたのかは言うだけ野暮。

 むしろ気になるのは神風と霧風の舞のどっちが先に完成したのか。


紅のレイゴール・ル・ロンデ/ミトラ・ファルケン子爵

 旧フェリオ連邦ファルツ王国の黒太子。

 いちおうアルフレッドと共闘し、ファーンに後継者となるよう薦めた人。

 しかし、本人として蘇ったクシャナド・ファルケン子爵が割とダメな人。

 「くれないの剣聖」として揶揄されるのはとかく物臭なルンペンとか言われてしまう放浪体質と協調性の無さによる。

 しかし、責任感が強くてぶっちぎりに強いので円卓騎士団の《三銃士》に認定された。


レイス・ヴェローム ゼダ公爵

 のちに「獅子心公」と称されたヴェロームの獅子。

 絶技とされる「傀儡回し」を使えたとか。

 ひょっとしてヴェローム公国にバーロッタが5機しか残ってないことや、「獅子騎士団」(レオナイツ)が名前だけなのは・・・。

 「獅子は最高の力を持つ他の雄を倒し、倒した雄と共に歩む」とされると質問箱で話していた内容が本当だとすると、紅蓮獅子サーガーンやファルケン子爵の伝説と符合する。

 しかし、ヴェローム宗家の血脈は途絶え(てはおらずルーシア帝室に残る)、分家がラシール家とされる。


ラムザール・メイヨール ゼダ公爵

 メイヨール公国で為政に専念して「龍虫大戦」で特選隊の後背支援に徹したとされる。

 しかし、嘘つきディーンの言うことなので信用ならない。

 その家系から覇王エスタークや剣皇エセルが出ていることと考え合わせても、大陸全土を巻き込んだ大戦において、後ろで大人しくしていたと思う方がどうかしている。 

 「隠密機動」(ラシールやノヴァという忍びの一族)というのがいつからゼダに存在したかはまだ語られていない。

 ミロア法皇国成立後にファーンのスターム家に租借地セスタを与えた。


覇王エスターク・メイヨール ゼダ公爵

 「メイヨール内戦」で荒廃地パルムドールを救おうと挙兵したメイヨール公王。

 「アリアドネの狂気」に犯され、エスタークは人格が一変してしまった。

 やがては覇王として「アレクサンドライトの栄光」を求めてエウロペアの完全支配を目論むようになる。

 メイヨール内戦は周期毎に中身が違い、ようやく確定したのはラプラスと剣皇エセルの尽力によるものかも知れない。

 ディーンが「語られざる歴史」といい、ライザーが「そこで終わった」という程の凄惨な内容だったと考えられる。

 メリエルがポロったようにエスタークの中身はテリーさんだった可能性もあるので、周期の何処かで《大陸皇帝ボナパルト》とは別になった(あるいはエスタークが変じた)とも考えられる。

 まぁ、テリーさんなら“覇王”とか言い出してもあり得るというか俺様暴君なのは名残なのかもという話。

 更にそれで「トリエル・メイヨール」になったというなら、頷ける話だし、実は「皇弟」というのがアリョーネだけでなく、エセルにも適用されるというなら、200年前はエセルの実弟である通称ボナパルトだということも。


ラプラス・ヴァンフォート伯爵/大暗黒天

 「メイヨール内戦」(中身はオリンピア攻防戦)での《砦の男》。

 究極の《砦の男》とされ、持てる力を最大限に発揮しうる「人間」となったラプラス以降は解脱者ライザーとなった

 円卓騎士候補たちを統括指揮した《ラプラスの魔》と呼ばれたとされる。

 剣聖とも剣皇とも呼ばれていないことが逆に不気味だがそれくらいの力はあったと考えられる。

 日本では七福神として知られる大黒天の正体はインド神話の破壊神シヴァ。

 覇王と共に「創世神話編」で真実が明かされる。 


《過去の冥王と聖女》

 《黒髪の冥王》と《嘆きの聖女》は出現時にそれぞれ名前が違ったものの、中身(魂)はディーンとルイス。

 聖のカリスマである嘆きの聖女と邪のカリスマである黒髪の冥王という建前。

 だが、《砦の男》ライザーが指摘している通り、怖いくらいに冷淡な目的至上主義者たち。

 冥王と聖女に子は居ないが、係累(兄弟たちの家系)は名門騎士家としてエウロペアを支えてきた。

 ネームレスたちが嫌う「名の呪い」というのは主に彼等とアリアドネを指す。 


アルバレス・サマルカンド

 キエーフ防衛戦における黒髪の冥王。

 ネームレスたちからミュルンの使徒を奪取したとされる。


ビオレッタ・モスカ

 キエーフ防衛戦における嘆きの聖女。

 ルーシア帝都モスカにその名を残す伝説の騎士。


ニコラオス・ペールギュント

 龍虫大戦における黒髪の冥王。

 ファルツに喚ばれて戦い、黒太子レイゴールを逃がしたとされる。

 「聖ニコラオス」とも呼ばれる・・・ってそれって真冬の夜に赤い服着て煙突から不法侵入する爺さんのことじゃ?


ヴォイド・ハイランダー

 十字軍戦争における黒髪の冥王。

 アストリア大公国でホーフェン騎士団の臨時代表となり、ファーンに一騎打ちで敗れて亡くなった。

 ヴォイドになくてディーンにあるものが敗戦の鍵。

 フェリオのハイラル家(ハイランダー家)は冥王の係累から派生した。


エルザ・ファーレンハイト

 龍虫大戦と十字軍戦争における嘆きの聖女。

 もはや嘆きの怪物バンシーと化したやさぐれ女。

 女皇サーシャの聖女エルザへの贖罪こそが、聖女を紋章騎士として王を選ばせるという事。


ダミアン・グレイヒル

 メイヨール内戦の黒髪の冥王。

 ミネルバのファング・ダーインに背後から刺されて亡くなったとされる。

 「黒き森の鎮魂歌」に登場する冥王ダイモス・“グレイヒル”は彼に由来する。

 残念ながらグレイヒル家もメイヨール内戦で途絶えてしまった。

 必ずしも残るとは限らないという非情な現実。


ミネルバ・ファーレンハイト

 メイヨール内戦の嘆きの聖女。

 エルザの系統ではあるが聖女は終生処女であるので系譜ではない。

 当時まだゼダの試作新型真戦兵だったファング・ダーインを駆った。

 オリンピアに狂わされ、ダミアンを背後から刺して殺した。

 ラファール、クレンティエンと並ぶゼダの名門騎士家ファーレンハイト家はメイヨール内戦で消滅した。


サライ・フォレスト

 いつの時代かは不明だがラームラントに喚ばれた黒髪の冥王。

 共生国の創設という意味で命掛けで戦い、その故事がラームラントの精神の礎となった。

 キース、ハサンのフォレスト氏族というのは冥王の係累。

 儀典史が嘘を書き残しても歴史の当事者たちの功績は語り継がれる。


《ドールマイスターの系譜》

 真戦兵たちを作る技術者たち。

 女皇戦争の当事者たちを除く故人も記す。

 また、「滅日」に挑む耀家最後の一人についても紹介する。


ジュリアン・モンデシー

 中原史上最高との呼び声高きドールマイスター。

 キエーフの後、龍虫大戦前に居たとされる。

 彼の遺した技術はリンツ工房が継承してきた。

 傑作量産機タイアロットの基礎設計者。

 使徒真戦兵と使徒真戦獣についてもジュリアンが作ったとされる。

 「創世神話編」で真実が明かされる。


耀圓明(ようえんめい)

 犀辰、紫苑親子の祖先でゼダ耀家の祖。

 傑作量産機ダーインの基礎設計者。

 ジュリアンと同時代に生き、ライバルだったとされる。


耀柳樹(ようりゅうじゅ)

 のちに剣聖エリンの愛機となったサウダージの設計者。

 のちのエリンの夫であるエルヴィウスと彷徨い続け、サウダージを託すべき騎士を探し続けていた。

 ウォーレンは柳樹の弟子。


ウォーレン・シュティット

 メルヒンの天才マイスター。

 剣聖エリンの半弟だがメルヒン古王国の事情により別姓。

 傑作量産機シュナイゼルを作り上げた。

 その試作型シュナイゼルは風の剣聖リュカインの愛機。

 西風騎士たちが「栄光のシュナイゼル」と称するのは大戦と十字軍で活躍した故事からで、西風騎士団はアルフレッドのちファーンの愛機であるタイアロット・オリジナルのゼピュロスに由来する。 

 また「メルヒン統一戦争」で損壊していたサウダージを使徒搭載機サウダージ・ネオンに改修したという。

 それが愛する姉を罠に陥れたとは知らなかった。


耀多里亜(ようたりあ)

 ゼダの女皇メロウィン第三皇女であるタリア・サイフィール女侯爵が犀辰との結婚後に名乗った名。

 構造理解の巫女能力により、天才ドールマイスターとして活躍し、試作機であるアモン・ダーイン建造の後、難航していた主力後継機のスカーレット・ダーインとトリケロス・ダーインに加え、ダーイン・クレッシェンス(シャドーダーイン)である「紅丸」と「蘭丸」を設計製作した。

 「アイラスの悲劇」で殺された後、スカーレットとトリケロスは夫犀辰が設計を基に完成させた。

 その一方で「究極のダーイン」として多里亜が構想していた使徒機フランベルジュ・ダーインは紫苑が完成させた。


耀勝茂(ようかつしげ)/内海茂(うつみしげる)

 「創世神話編」に登場する耀家の最終技術者。

 耀家の集大成としてアーサーの使うフレアール・エボリューション・Mk-Ⅱを作った帰化日本人という三島重工の内海茂課長であり、狂気の天才技術者。

 ヤオ・ウォンファがセナ名による正式な呼称。

 アーサーの言う「ニヤケ眼鏡」。

 作ったと称しているが、実際のところ中身は「フレアール・エンデ」そのものであり、増加装甲と最新式ジェット推進器をつけた現代戦仕様という「高速巡航戦闘機」としての改修をしたに過ぎず、実際にアーサーは「帝機エリンシア」という真名で戦うことになった。

 しかし、「取り回しが可能なだけの豆鉄砲」とアーサーが揶揄した最終兵器バスターランチャーを長い歳月を重ねて開発したとされる。

 また“フレアール・エボリューション・Mk-Ⅱの名で本当にいいのか?”というアーサーの指摘に、歴代の技術者たちの集大成たる自身の使徒真戦兵に別の名を与え、その系譜を締めくくる意味で自身の真名と心血を注いだMark-Ⅱに相応しいエンドモデルとした。

 それこそが「聖戦」を戦うジ・エンドレス弐番機である・・・。 

 

《円卓騎士団》

 ラウンズナイツと呼ばれる目的不明にして至高の存在たる最強の騎士団にして謎めいた存在。

 カラーネームを用い、正体を隠す。


アーサー・L・エクセイル/-・フェイルズ・スターム少尉/-・エクセリオン

 円卓騎士団を率いてMk-Ⅱおよびメロウリンクと共闘する騎士王。

 法皇ファイサル・オクシオンの騎士として暴走した使徒たちと戦う。

 やがては《滅日》、《終末戦争》とその先にある《聖戦》を戦うキーマン。

 父はティルト、母はエリザベス、妹はエミリィ。


メロウリンク/真のメロウ

 アーサーのパートナーであり、ナノ・マシンによる仮想セカイを作り出した真の魔女。

 現実世界に居る筈の彼女が何故?というのは「創世神話編」を待たれたい。

 

フレアール・エボリューション・Mk-Ⅱ

 やがてフレアール・ジ・エンドレスと呼ばれるアーサーの無二の相棒。

 究極の堕天使と称される。


終のメロウ/エミリィ・L・エクセイル/エミリィ・ハルモニア

 アーサーの実妹。

 対終末戦争特務部隊Elfを率いる女傑。


Masterシンクレア・エクセリオン

 《黒髪の冥王》の本体とされ原初の戦いの後に姿を消したとされる騎士たちの祖。

 第6の掟(特記6号条項)を定め、セカイから消失したとされる。

 《真実の鍵持つ者》というエクセイル家を遺し、《砦の男》ライザーの父親。


Masterルイーゼ・ランスロット

 《嘆きの聖女》の本体とされ原初の戦いの後に姿を消したとされる騎士たちの祖。

 《真実の鍵持つ者》と《砦の男》の母とされ、シンクレアの妻。


白銀のエイブラハム

 円卓騎士団の旗艦大轟天の艦長。


銀のエドナ・ラルシュ

 円卓騎士団作戦参謀。


漆黒の白き冥王ディーン

蒼のルイス

 説明不要。


《三銃士》紅のミトラ・ファルケン

 円卓騎士団の三銃士に選ばれた龍皇子ミトラこと《紅の剣聖》。


《三銃士》青のサイモン・ランスロット

 円卓騎士団の三銃士に選ばれた剣聖青狼


《三銃士》黒の源真生(みなもとまさお)

 円卓騎士団の三銃士に選ばれた東方モノノフを由来とする英雄の魂。

 円卓騎士団副団長を兼任し、《烏天狗》、《神眼の剣聖》と称される。


【今後登場予定の人物たち】


リリアン・クレンティエン少尉/《茨の剣聖》リリアン・クレンティエン大尉

 第4幕登場予定。

 女皇正騎士ルカとエーベルの娘で国家騎士。

 《彷徨える黒薔薇》と称される。

 後の鉄壁隊第三中隊指揮官大尉。

 

《妄執の龍皇子》スレイ・シェリフィス

 第4幕登場予定。

 剣皇ディーン、軍師アリアスと雌雄を決するルーマー騎士団司令。

 その真実は登場時に語られる。


《龍皇女》ナウシカ/《金色の乙女》

 第4幕登場予定。

 暗黒大陸ネームレスの指導者で「虫愛でる姫君」とも。

 「ナウシカ」の名はネームドが勝手につけた名。

 龍皇エイブラハムの娘でありエドナ、ミトラ、龍皇、アリアスの妹。

 リッテ氏族の太母だという。

 龍皇家は感情的な欠落があり、それが絶大な力と直結し、喜(ミトラ)怒(エドナ)哀(アリアス)楽(ナウシカ)といった具合。


アポロ・リッテ中佐/アポロニウス・リッテ

 第4幕登場予定。

 ミュー(ミィ・リッテ)の双子の兄であり、ラームラント猟兵団のサブリーダー。

 《太陽の子》あるいは《砂漠の狐》と呼ばれる。


《剣聖》マイオドール・ウルベイン中佐/元帥

 第4幕に正式に登場予定だが「黒き森の鎮魂歌」の終章で登場済み。

 ゼダ国家騎士団の所属であり、剣聖名は固辞している黒騎士隊の現場指揮官で副隊長かつ実質的隊長。

 かつては師たる《鉄舟》の指示により、神殿騎士として「マリオン・ウルフ大尉」の名で傭兵騎士団エルミタージュを内偵していた。

 もともとファルメの家宰騎士だがオードリーとソリが合わずに放逐された。

 「狂犬」の通り名で知られ、革命後は「パルムの番犬」と呼ばれた男。


剣皇騎士ラーフラ・カスピアン

 ???

 

リサ・マイヤー

 バルム日報の女新聞記者であり、名前だけは既出。

 《6月革命編》のキーマン。



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