第9話 口入屋

 七海は小さく息を吐くと手にしていた文庫本を閉じて、膝の上に置いた。

 そして、ゆっくりと立ち上がる。

 スカートの裾がふわりと揺れた。

 身長は隼人よりも少し低いくらいだろうか。

 女子にしては高い方である。

 手足も長く、スタイルが良い。

 だが、モデルのように華奢というわけではない。

 しっかりと肉がついており、女性らしい体付きをしていた。

 そのせいで、余計に存在感が際立っている。

 隼人を見つめる瞳は、吸い込まれそうなほど綺麗な漆黒だ。

 その奥には、どこか妖しい光が見え隠れしているように思える。

 隼人はそんな彼女の視線から逃れたかったが、どうすることもできなかった。

 二人の間に距離はほとんどなかった。

 七海の右手は、隼人の胸元のあたりに添えられている。

 そして、左手は、隼人の右頬に触れようとしていた。

 何をしようとしているのか分からないが、あまり良い予感はしない。

 隼人は少し後ずさる。

 すると、七海は微笑を浮かべた。

「つれないじゃない?」

 そう言って、指先で隼人の顎に触れる。

 ぞくりと背筋に悪寒が走った。

 隼人は七海の左手を優しく、それでいて拒絶の意を含めて払う。

 だが、七海は気にした様子もなく、その場で身を翻す。

「あーあ。嫌われちゃったみたいね」

 肩をすくめて、おどけた調子でそう言った。

 そして、再びベンチに腰掛ける。

 右端に寄って。

 七海の右側に空けられたベンチの空間が、何を意味するのか隼人は理解する。

 隼人は、そのまま去っていこうとしたかったが、そうもいかないようだ。

 七海は脚を組む。

 白い脚線が露わになった。まるで誘うかのように、挑発的な視線を向けてくる。

 だが、隼人はそれに惑わされない。

 彼女に対して興味など微塵もないからだ。

 七海は、隼人の反応を楽しむかのように口角を上げた。

 そして、文庫本を手に言う。

「朝読はいかが?」

 隼人は、七海が持っている本のタイトルを見た。

 『吾輩は猫である』とあった。

「ラストが好きじゃねえんだよ。漱石ってやつは」

 隼人は、ぶっきらぼうに答える。

 そんな隼人を七海は、可愛いとでも思ったようにクスッと笑う。

「それなら『贋作吾輩は猫である』をお勧めするわ。朗読して欲しい?」

 そう言いながらハンドバックから『贋作吾輩は猫である』を取り出すと、七海はページを開いた。

「小学生のガキじゃあるまいし、読みたきゃ自分で読む。お前のおすすめなんて聞いてねぇよ」

 七海は、わざとらしくため息をつくと、本を閉じる。

「ま、世間話をするつかみとしては、こんなものかしら。立ち話も何だから、座ったら?」

 七海は、自分の右隣のスペースを手で軽く叩く。

 そこに座れということだろう。

 隼人は無視しようとしたが、七海は諦めない。

 もう一度、先程より強く叩いた。

 仕方なく隼人は、背中の鞄を下ろし七海の隣に腰掛けた。

 剣士の定石として左側に相手を見る決まりがあり、左身の姿勢と呼ぶ。


【左身の姿勢】

 直心影流では法定四本の形を行なう時、敵を弓手(左手)に見るといって相手を我が左側に見下ろす。

 稽古中に衣服や防具を直す場合、必ずやや半身に座して相手を自分の左側に見る決まりがあるが、このような左身の姿勢を取るのは古い流派ほど見られる。

 これは意味のない形式ではなく、左手に弓を持って闘う昔の騎馬戦闘に基づく意味のある習わしである。

 剣士は、大小の刀を左腰に差すために、利き腕となる右手を封じられないように右側通行を心がけ、座す時も壁や柱際などを右に位取りして常に相手を左に見下したり、緊急の抜刀時にもこれに基づいた構えをとったのは、剣士たるものが突然の事態に対処する構えの基本的心得なのだ。


 七海は隼人が剣士であることを知っているからこそ、自分の右隣を開けていた。そうでもしなければ、隼人が座ってくれないのを知っていたからの行動だ。

「で? 何の用だ口入くちいれ屋」

 隼人は、七海に訊いた。


【口入屋】

 江戸初期から存在する人材斡旋業のこと。

 現在で言えば、人材派遣会社といった方が判りやすいであろう。

 しかし、或者は人さらい人買いなどとも呼ばれ、大手を振って歩ける商売ではなかったとの記述も存在する。

 江戸初期から存在するこの口入屋は、当初地方から江戸に流れて来た身分の不確かな者の保証人となり、職場を斡旋、稼ぎの一部を身元保証料として徴収するのを本職としていたのだが、享保期頃からは、地方の百姓を騙し安い値段で娘を買い、吉原や岡場所(もぐりの売春宿)に預け、その水揚げ料ほとんどをピンはねしていたゴロツキだ。

 しかし、中には真面目に人材を発掘し武家や商家に斡旋していた口入屋も居た。

 又、豪商の娘の嫁入り先を世話するなど、いわば便利屋的存在でもあったのだが、いつの世でもそれらの背後にはヤクザがはびこり、特に岡場所の権利関係からトラブルが続出、幕末には完全に裏の商売と見られていた。        


 七海は、社会の裏に潜む仕事の斡旋人だ。

 盗み、誘拐、殺し、護衛、用心棒、暗殺、密偵、間者、情報集め、潜入、調査、尾行、聞き込み、探偵、捜索、見張り、監視、諜報活動……。

 金次第で何でも請け負う。

 それが口入屋のモットーであった。

 そして、隼人を含めたアウトロー達は、金を得るために、口入屋の元に集まってくるのだ。

 隼人は七海のところから仕事を貰っている立場であるが、専属という訳ではなかった。

 たまに、気が向いた時に連絡を取り合う程度である。

 それでも、七海は隼人のことをよく知っていた。

 隼人が、この公園に来ることを事前に調べていたらしい。

 そのことからも、彼女が隼人に対して何らかの目的を持っていることは明らかだ。

 だが、隼人にはその理由が分からなかった。

「先日のお仕事ご苦労さま。依頼人がね、感謝してたわよ。あなたの仕事ぶりを」

 七海は、艶のある声で言った。

 その声音に、隼人は鳥肌が立つのを感じた。

 どうにも苦手な相手だった。

 隼人は、七海の方を見ずに答える。

「関係ねえ。それより報酬を全額、耳を揃えて振り込んでくれ」

「心配ないわ。昼にでも確認しておいて頂戴。金にガメツイことを言いながら、仕事を選ぶんだから隼人って人は……」

 七海は呆れたように言う。

 だが、それでも七海は隼人に対して、まんざらでも無いものが混じっている。彼の様子を見ながら、七海は口を開く。

「例の男・杉浦すぎうら正明まさあきだけど。酷い男よ、女ばかりを狙って麻薬を売りつる売人。依頼人の孫は、まだ大学生だというのにね。薬のやり過ぎで、そのまま……」

 七海の言葉に隼人は、顔をしかめた。まるで自分が被害者の家族であるかのように辛そうな表情をする。

 七海は隼人を見る。反応を試すかのように。

「ねえ。どうして、この依頼を受ける気になったの?」

 隼人は、少しの間を置いて答えた。

 いつものぶっきらぼうな口調ではなく、感情を抑えた静かな話し方である。

 それは、何か考えながら話しているように思えた。

「俺は剣士だ。俺ができることは人を斬ことしかできない。だから、斬るに至る正当な理由が欲しかっただけだ」

 七海は、黙ってそれを聞いていた。

 その表情を隼人は盗み見る。

「納得したか?」

 そう訊くと、七海は静かに首を横に振った。

 そして、意地悪げに笑う。

 隼人は舌打ちをしたくなった。

 七海のような金にガメツイタイプの女は、こちらの気持ちを察しても何も言わないものだと思っていたからだ。

 それどころか、逆に探りを入れてくるとは……。

「隼人って、噂で聞いていたよりも、ずっと人情家なのね」

 七海はクスクスと笑った。

 隼人は苦虫を噛み潰したような顔になる。

 七海は、そんな隼人の顔を見て満足すると、話を続けた。

 今度は、少し真面目な雰囲気を漂わせている。

 隼人もそれを感じ取ったのか、茶化すことをやめた。

 七海は続ける。

 その瞳に真剣さが宿っていた。

「杉浦正明についてだけで、さらに分かったことがあるの。奴は人身売買のブローカーでもあったの」

 隼人はそれを聞いても驚かなかった。

 むしろ、やはりかという感じだ。

 麻薬欲しさに金が無くなれば、身体を売るしかないだろう。

 しかし、七海はさらに続けた。

 その表情は先程までとは違い、険しくなっていた。

 そして声も一段低くなる。

 その様子に隼人は、ただならぬものを感じた。

「それも女、専門のね」

「別に珍しくないだろ。昔から人買いは女を買うもんだ」

 隼人は吐き捨てるように言った。

 確かにそうだ。

 日本でも古代から最近に至るまで、さまざまな形で人身売買が行われてきた。

 江戸時代になると、幕府は人身売買を禁じたが、年貢上納のための娘の身売りは認め、性奴隷である遊女奉公が広がった。また、前借金に縛られ人身の拘束を受けて労働や家事に従事する年季奉公制度が確立した。

 明治政府は、幾度も人身売買に関する禁令を出した。

 しかし、人身売買的な芸娼妓契約や、養子に仮装した人身売買契約などの形で古い慣行が続けられていた。

 日本において人身売買が全面的に廃止されたのは、第二次世界大戦後、民主化政策が推進され、国民のなかに人権意識が浸透してからである。

 しかし、売春に関連する人身売買=奴隷的拘束問題は解決困難であり、さまざまな対策が講じられたにもかかわらず、今日まで存続している。

 売春防止法(昭和31年法律118号)が、1956年5月公布され、58年4月全面施行されてのち、売春に関係ある人身売買は激減した。警察庁の統計によれば、売春関連人身売買被害者数は、1955年には1万3433人であったが63年には4503人に減少している。

 しかし、暴力団関連、外国女子関連の人身売買的売春は、現在でも後を絶っていない。

 だが、杉浦正明という男の話を聞いた時、隼人はその男に対する嫌悪感と同時に怒りを覚えた。

「杉浦正明は、元々海外への輸出を専門とした男だったみたいだけど、ここ1年程、その動きがないの」

 七海の言葉に、隼人は当然のごとく疑問を持った。

「なんだそれは。仕事もしないで、どうやって生きているんだ? まさか育児休業給付金みてえに、働かなくても賃金の67%を支給してもらえる訳じゃねえだろ

。それに麻薬の売人までやって女を集めていたのは事実だろ。輸出から国内での活動に切り替えた可能性は?」

 七海は首を横に振る。

「その手のブローカーとの取引の形跡がないのよ」

 隼人は、杉浦正明のことがますます分からなくなった。

 一体、何のために麻薬で女を集めていたというのか? 金儲けだけが目的なら他にいくらでも方法はありそうなものだ。

 それとも何か他の理由があるのか……

 隼人は考えたが答えは出なかった。

 七海は、そんな隼人を横目で見ながら話を続ける。

「気になる?」

 訊かれて、隼人は七海の方を向くことなく、視線を遠くに向ける。

「俺には関係ねえ。アフリカにワクチン援助って聞いたことあるか?

 アフリカじゃ年間150万人、1日4000人の子供が、ワクチンがあれば防げる病気で命を落としていとか。その中心となるアフリカでは2000万人もの乳児が予防接種を受けられないそうだ。

 ポリオワクチンはわずか20円だ。だからと言って、自分が稼いだ金を全て支援しろってか? そんなことしてらたこっちが死ぬことになる。

 言っておくが、俺は剣士であり人を斬る術を身に着けているが、それは自分自身のためだ。世の中の全てを救う、正義の味方になるつもりはない」

 隼人はそう言うと、話は終わりだとばかりに、よそを向いた。

「そうね。全てを救うなんてできないものね」

 背中越しに七海の声が聞こえてきた。

 隼人は何も言わず、二人の間に沈黙が訪れた。

 しばらくしてから、隼人は再び口を開いた。

 その口調は先程の刺々しいものではない。

 どこか寂しげな響きがあった。

 七海はそれを敏感に感じ取ると、隼人の方を振り向いた。

「まさか、こんな話をする為に、俺を呼び止めたんじゃねえだろうな」

 隼人の問いかけに七海は微笑む。

「ご名答」

 七海は不敵に微笑む。

「実はね。隼人に伝えておきたいことがあったの。ここ最近、隼人の情報が頻繁に動いているのよ」

「情報?」

 隼人は眉間にしわを寄せた。

 その表情からは不快感がありありと感じ取れる。

 自分の行動を見張られているような気がしたからだ。

「そう。隼人の過去から現在に至るまでの生い立ち、日々の生活習慣、交友関係など全てが調べられていたわ」

 隼人は驚いたように目を丸くするがと、すぐに冷静さを取り戻すと落ち着いた声で言った。それは、ある種の覚悟を決めた者の態度であった。

「別に珍しくもねえ。俺がどこの誰で、《なにがし》と名乗ったら世間はどう思う?」

 聞き返され七海は、納得するように微笑んでしまう。

「そうだったわね。先日の殺しにしてもそう。本当に凄いものね。肌を斬らず、一滴の血も流さず、気管と頸動脈のみを斬る。闇之太刀」

 感嘆したようにも畏怖したようにもみえる様子で、七海は声を殺して呟いた。隼人は素っ気ない態度で応えた。

「大したもんじゃねえ。バナナの皮を剥かずに中身だけを輪切りにする、ちゃちな手品と同じもんさ」

「だからこそ怖いわね。斬られた者は生きた屍と同じ。あとは斬った時の隼人の意思で、斬られた箇所が裂ける」

 七海は薄ら寒さを感じたのか、自分で自分の肩を抱く。

 隼人は左耳をほじりる。小指の先に着いた耳垢を親指で飛ばす。

「だから誰がどう見ても他殺には見えない。暗殺は暗殺を行った証拠を残さないよう、事故や自殺、病死に偽装することで捜査機関を欺く。証拠が存在しない以上、犯人や黒幕は永久に判明しない。

 それが暗殺剣だ」

 隼人は平然と言った。

 そして、七海に鋭い視線を向ける。

 その瞳の奥底に秘められた、冷徹を感じ取った七海は思わず息を飲む。

「ねえ、隼人。高校なんか辞めて、本格的に私のところで働いてみない? 良い稼ぎを保証するわよ」

 七海は、甘えるような声で誘う。

 隼人は、七海に目を向けた。

 彼女の目は笑っていない。

 本気で誘っているのだ。

 隼人は再び視線をそらすと、七海の誘いを拒絶する。

「断る。俺は、まだまだガキだ。だからこそ、色々な教養を身につける必要がある。

 南アフリカは人種差別政策・アパルトヘイトを1994年まで続けていたが、全人種参加の大統領選挙でネルソン・マンデラが大統領になりアパルトヘイトは撤廃。世界最新の民主主義国として再生された。

 だが、治安は世界最悪だ。タクシーは強盗と同義語であり、昼間でも街中を歩けない、迷い込んだら二度と出られない居住区がある。その原因は大半の国民が無学、無教養だという。

 勉強は何のためにするか。それは自分自身のためだ。無学、無教養の奴は科学的、合理的な思考ができない故に、感情論や決定論を振りかざしたり、極論や屁理屈をこねることが多く、口論しても論点の筋道が飛躍して話にもならない。人間社会の基本的なルール、言語や習慣など、当たり前のことを……。

 って。おい。なんて顔してんだ?」

 隼人の怪訝な表情に、七海は自分が思っていた心情がそのまま顔に出ていたことを知った。

「……驚いた。学校嫌いに聞かせてあげたら」

 七海の反応に隼人は、不機嫌な顔をする。

 隼人は学校のことが話題になると、途端に口数が多くなる。

 それを知っている七海は、少し意地悪な気持ちになった。

 そのせいか、隼人の口調が強くなる。

 七海は、そんな隼人の様子に微笑むと言葉を続けた。

 彼女の言葉に、隼人は苦虫を噛み潰したかのような渋面を作る。

 隼人は七海から視線を外す。

 七海は、何かを諦めたかのように深いため息をつく。

「《なにがし》か……。因果なものね、本来なら日本の古流剣術として高らかに名乗りを上げても良いはずなのに……」

 隼人は七海の言葉に何も答えなかった。

 彼はただ、黙り込むだけであった。

「……そういうことだ。だから、俺の情報が頻繁に動いていたとしても不思議じゃねえ。俺を斬るのに理由は必要ない。ということだ」

「……そう。そうよね」

 七海は自嘲気味に嗤った。成人ではあったが少女のような、あどけなさが心の素直さを表していた。

「《なにがし》か。……ねえ、私のこと食べても良いから。食べても良い、隼人のこと?」

 七海は身体を隼人に傾け、距離を縮めながら訊く。彼女は隼人に目をやった。上目遣いに。

 だが、媚びるような色香は無く、蛇のような獲物を狙う目付きだ。

「それは言葉通りの意味か口入屋? 怖いな」

 隼人は、七海の瞳の奥底にある闇を覗いた。

「意味を考えてよ。例えば《遊ぶ》ってあるじゃない。物事を楽しむって意味だけど。ほら、男と女だと別の意味になるじゃない?」

 七海は、妖艶な笑みを浮かべる。

 隼人はその笑みを見て、舌打ちをした。

「ああ。分かるさ」

「なら、これから二人っきりでさ」

 七海は隼人の頬に手を伸ばす。

 隼人は七海の手を払う。

 七海は払われても、気にした様子もなく、クスリと笑う。

 だが、隼人は笑わない。

 周囲に警戒を配らせていた。

「口入屋と話していたら、客が来やがった」

 隼人は呟く。

 正面から一人の男が近づいて来る。

 年齢にして30代半ば。

 身長は180cm前後。中肉。

 体格はやや痩せ形。

 髪は短めで黒に近い焦げ茶色。

 瞳は灰色で鋭い眼光を放つ。

 鼻梁は高く、顎は細く引き締まっている。

 その男はパーカーにチェスターコートを羽織っていた。

 カジュアルな服装であったが、その立ち振る舞いには隙がない。

 腰には、一振の刀が下げられている。

「一人。せっかっく口説いてたのに、不粋な奴……」

 七海は男の姿を見て、雰囲気を壊されたように不貞腐れた声を出した。

 隼人は、その様子を見ながらも表情を変えずに言う。

「三人だ」

 言われて、七海はベンチを中心に周囲を振り返る。

 斜め後方から、追い詰めるように、腰に刀を下げた男が二人現れた。

 どちらも25歳前後の若者だ。

 二人は、フード付きのロングコートを着ており、頭から足先まで隠している。

 男達は一定の距離で立ち止まる。

 間合いとして六間(約10.9m)。

 そして、隼人と七海を囲むような位置取りをする。

いみな隼人だな」

 正面に立った男は、隼人に静かに問う。

 隼人は眉をひそめた。

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