第9話 白河さん家は、……ゴミ屋敷


      ※掃除回なので※

   ※興味ない方は飛ばして下さい※



 ピンポーン


 九時ちょっと過ぎ、白河さんの部屋のチャイムを鳴らした。


 「……あぁ、おはよう、清澄くん。恥ずかしいんだけど、……宜しくお願いします」


 朝だからか、それとも恥ずかしいからなのか、テンションがやたら低い。


 ドアを開けると……、



 ゴミ屋敷だっ!



 「……」

 「……」



 「夢、じゃないよね?」

 「夢、じゃないですぅぅっ」



 「もうっ、だから言ったでしょ? 清澄くん以外には頼めないのよっ!」



 白河さんは逆ギレして言ったが、ハッと我に返って、


 「私も、……ちょっとは手伝うからっ」



 そしてチラチラと俺を見て、

 「幻滅、……しちゃった?」



 「あはははっ!」


 今までの白河さんからは、想像もつかないしおらしい態度に、思わず笑ってしまった。


 「逆にこういうの見ると、血が騒ぐんですよっ、やってやるぞーって! キレイになった部屋を見て驚く白河さんを見たいな、ってねっ! ちょっと部屋に戻って、掃除道具取ってくるから、……戻って来るまでに、分かるモノだけでいいから、いらないモノ、廊下に出しておいて」


 

 ーー



 部屋履きの靴に履き替えて、まずはいらないモノを廊下に集める。


 「白河さん、コレは?」

 「いらないっ」

 「コレは?」

 「いらないっ、かな?」

 「……コレは?」

 「ううっっ、……いらないですぅ」


 「……それじゃ、俺がどんどん廊下に持って来るモノ見てて、いるモノがあったら、『いるっ!』って言って下さい!」

 「……はぁい」

 


 ーー



 「……」

 「……」


 「逆に聞くけど何が『いるモノ』なの?」


 「……だいたい机のモノか、テーブルの上のモノかな?」


 「そうだね、廊下に出したのはコンビニの袋、スーパーの袋に入ったままのゴミ、雑誌や通販で買った時のダンボール、あと、通販で買ったコレと言って必要ないものがほとんどだね! じゃあ白河さん、この袋にそれらを入れてまとめて下さい」



 「床が、……見えました」

 「そうですね」


 「それが終わったら、テーブル、机やベッドの上のいらないモノこの袋にまとめて入れて下さい。俺はその間に風呂や洗面所、トイレを掃除して来ますので」


 「ワカリマシタカ?」

 「はっ、はいっ!」



 一Kの風呂なら、よっぽど汚れていても一時間もあれば終わるだろう。


 塩素系洗剤を全体的に散布して、鏡は酸性洗剤を塗った後混ざらない様にラップをしてしばらくの間つけておく。


 その間にトイレと洗面所をキレイに……。


 トイレも、酸性洗剤でつけ置きして、洗面所からだな。


 メラミンスポンジと、金属磨きを駆使して水垢、化粧棚、水栓をピカピカに。


 トイレも、便蓋、便座、そしてつけて置いた便器を……。


 さて、次は風呂だが、先ずはダイヤモンドパッドで鏡のウロコを取って、後は天井と壁面……うん、カビは取れてるな。


 天井から、壁面、扉、石鹸カスを取り水栓を磨き、中性洗剤で浴槽をキレイに。


 水でキレイに流して、水気を取る。

 浴室乾燥機で乾燥させて……。


 ここまでで、一時間半。


 白河さんはどうかな?


 「おーっ、出来てるじゃないですか?」


 特大ゴミ袋五袋いっぱいに、いらないモノがおさまった。


 「昼に、バイト仲間が車でこのゴミを持って行きますので、今のうちにドアの外に出しておきましょう」


 そして、廊下を上からホコリを取り、掃除機をかけ、モップで拭く。


 「じゃあ白河さん、テーブル、ベッド、机の上にある、いるモノを廊下に出して下さい」

 「それが終わったら、下駄箱にある履かない靴、この袋に入れて下さい。……ワカリマシタカ?」

 「はっ、はいっ!」


 その間にエアコンクリーニング。

 高圧洗浄機でバッと、ついでにサッシ、ベランダもババっと。

 エアコンを洗浄した後の、バケツに入ったドロの様な水を見て、白河さんはドン引きしていた。


 そして窓拭き、網戸拭き。


 さて、いるモノは廊下に出してあるので、

ベッドの布団をベランダに干して、部屋の天井からホコリ取り、掃除機をかけてモップで拭いた。

 建具も棚も除菌して机もテーブルもピカピカになった。


 「白河さん、廊下に出したモノを分類して机と、この空いた棚に入れて下さい」

 「その間に、下駄箱と玄関やります」


 ジロリと見て、


 「ワカリマシタカ?」

 「はっ、はいっ!」



 ーーーー



 「これが、……私の部屋⁉︎」


 白河さんは、目を輝かせて、


 「足の踏み場があるって次元じゃない! トイレも、洗面所も、それにお風呂もピカピカだわっ! 下駄箱も、ちゃんと靴が収まってる」


 「今、レンジフードは、つけ置きしてるから、お昼にしましょう。もう後はキッチンだけなので、白河さんはのんびりしてて下さい」


 「『ビーバーイーツ』で出前頼んだから食べましょっ! 朝、食べなかったからお腹ペコペコっ」


 ーー


 二人で出前のカツ丼を食べながら、


 「清澄くん、凄いわっ! テキパキ指示して、自分はその何倍も動いてカッコ良かった! こんな部下が居たら、私ももっと仕事が楽になれ……ゴニョゴニョ」


 「これからは、俺がたまに来てチェックするので、この状態を維持出来ますよ」


 「ありがとう、清澄くんっ!」


 ーー


 バイト仲間が大量のゴミ袋を持って行った後、キッチン掃除再開っ!


 レンジフード、コンロはアルカリ性の強い洗剤で油取りスッキリ、つけ置きしていた五徳や、レンジフードフィルターもバッチリ。

 後は棚を拭いて、シンクを鏡面磨き。


 夕方には見違える様な白河城に変身した。



 「キッチンヤバっ! 何これ? 新品っ?」


 「美味しいご飯、お願いしますよっ!」


 「任せてっ! こんなキッチン見たら、ヤル気出てきたわっ! ……何、食べたい?」




       ーーーー


 ここでようやくタイトル回収です。


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