第2話 早くもレンジャーに転職しそうです!
学園の寮を後にして4日、朝の目覚めは最悪だった。
「いててて...」
やはり葉と木で作ったベッドは限界がある、寮のベッドが恋しい。身体の痛みはあるものの怠さや寝不足といった不調はない。まさかこれは昨日製作した特製元気ドリンク(仮)のおかげなのだろうか。
今日はその元気ドリンクを改良し、市場で実際に売り捌いてみるというところが目標だ、市場の商売権利はなくとも一応角の方に風呂敷を広げて売るくらいなら出来る、いわゆるフリーマーケットみたいな?そんな感じ。
「そのためにはまず!この不味くて苦い液体を常飲可能な液体にするところから!」
今日はこの回復草を取り付くしたまである一帯を離れ、少し遠くで探索してみる、そして苦味をなんとか出来るようなものを見つけること!あと..
[ぐるるるぅ...]
「この腹の虫をなんとか出来る食べ物を見つけないと...」
かき混ぜ棒を手に、いざ山の奥へ。
この世界には魔物と呼ばれる生物が存在する、魔族領に近付けば近付くほどその量や危険性は上がる...と授業で習った
「ていっ!」
まぁこの地域はぷにぷにで弱いスライムしか居ないんだけどねっ!
>ーーーー<
スライム
魔物の中でも最弱と言われている。
知能も無い、かつ力もない。子供でも倒せる非力な魔物。
素材 スライムゼリー
>ーーーー<
「大分奥まで来たぁ~、日頃動いてなかったから足が...」
怠け者の私は山登りの経験乏しく、足が棒になっていた。かき混ぜ棒が杖の役割をしてくれている、杖って偉大なんだなぁ...。
「あれはどうかな?」
私の目の前にある木の枝の先に木の実が実っている、身長が足りずもうちょっとの所で届かない、がそういえば杖にしたかき混ぜ棒を使えばいいだけの話。
「やっ!っとナイスキャッチ」
この木の実ってちゃんと食べれるやつかな、鞄の中にたしか植物図鑑があったような、あーこれこれ。
本を取り出し、同じ木の実の絵を探す、どれどれ。
>ーーー<
モレンの実
皮は緑で果肉は薄い黄色、酸味の強い果実。
市場で売買される実の一つ。
食用 ◯
>ーーー<
やった、食用可能だ、めちゃめちゃ使える!
「これがあれば少しは苦味が抑えれるかも!」
出来るだけ持って帰るか...。都合良く、錬金釜も外に出したし鞄には空きがあるし!
「取りあえず届いた分が、11個か~もうちょっと身長が高かったらなぁ...」
あと少しで届いたはずのモレンの実を見ながら、ちんちくりんの自分を恨む。成長見込みで買った大きめの制服は三年の今でも大きいくらいだ、多少は伸びている...はず。3cmくらい。くっ!
「次来た時にはそこの実も採ってやるからなぁ~覚えてろっ」
子悪党の常套句を吐いてからその場を後にする、今回は酸っぱい果実もそうだが一番欲しいのは甘い果実"森イチゴ"!赤い見た目の果実はめちゃくちゃ甘くて美味しい!...らしい。らしいと言うのは食堂のデザートにたまに出てくるパンケーキの上に乗っているらしく、とても甘くて程よく酸っぱい!とのこと。
「金欠の寮学生には手が届かないよ、とほほ」
しかしそれも今日で最後、必ず手にいれてあわよくば保存してストックして毎食デザート付きに!考えたらお腹空いてきた、デザートの前にメインディッシュを確保しないといけないんだった...。
「考え無しに森の奥まで来ちゃったけど、本当に大丈夫なのかな...?いや!こうなったらすぐ見つけてパパッと終わらせちゃお!」
あわよくばメインディッシュも取ってこよう!幸い森の奥といっても行者用に少し舗装されている道を通ってきてはいるから大丈夫!
「奥に行くとそろそろいるかも、メインディッシュ」
名前は角ウサギ!一見ただのウサギだけどおでこに角が生えていて、刺されるくらい鋭利ではないけど凄いアザになるらしい、やっぱ生き物は舐めちゃだめだよね。普段は音がするとすぐ逃げるらしい。
「問題はすばしっこくて捕まえらんない所だけどね」
動物の解体は意外にも見たことあるしやったこともある、父が趣味で取ってくるやつだけど、今その経験が役に立つときがくるかも!
と、その矢先に草が揺れる。
「!」
すぐさま揺れた草むらに駆け寄る、と草を分ける音が奥の方に小さくなっていく。間違いない、逃げ足の速さ的に角ウサギだ。
「よし」
舗装されている道を外れ、木や草を掻き分けていく。サッサッサッと跳ねるようなリズムで音が聞こえるので完璧に角ウサギだ、今夜の夕食にしたい所、朝から飛び出して、今は昼過ぎあたりだろうか、夕方になる頃には帰りたいなぁ。
息を潜めて、足音も抑える。作戦はそう、
エフィリアウサギ取り大作戦!
まずさっき手にいれたモレンの実、そしてこれ!スライムゼリー!これを使います!モレンの実を思いっきり絞りだし、果汁をスライムゼリーと混ぜる!
簡易錬金(と言う名の手でこねるなど)してできた!このねっとりぐちょぐちょの何か!これを角ウサギにぶつけて混乱して走り回っているところをこの、かき混ぜ棒でゴスッと!
(問題があるとするならうまく投げれて顔周りで弾けてくれるかどうか)
心配だけど、これでも一応村の中で流行った的当ては最強だったもんねっ!...負けず嫌いがでて朝から夜まで相当練習したのは恥ずかしいから村の子達に内緒だけど。
(よし、上手いこと近付けた。草たべてる、可愛い...けどいけない。この子は食糧、食糧...よし)
「んっ!」
思いっきり角ウサギの顔面目掛けて投擲する、
『ブギィ!』
成功、華麗なストレートで角ウサギの顔に見事に命中した、完璧には弾けてないが顔に張り付いたスライムゼリーが取れずあちらこちらに走り回っている、ひとしきり走り回って止まったところに
「てぇいっ!」
ゴスッ...かき混ぜ棒で頭にクリーンヒット、作戦は大成功にして幕をとじた!
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