新米錬金術士はスローライフを所望する!
みやび餅
第1話 私、錬金術士になりました!...一応なんですけど。
私、エフィリアは錬金術学園の最高学年の三年生、ギリギリなんとか赤点を回避してここまでやってこれた!そして今日は学園の広場で私を含めた三年生の子達がぞろぞろ集まってきている、
「今日ここに集まってもらった生徒たちはこの学園を三年間!篩にかけられても残った生徒だ!入学時にいた半分の生徒たちは皆この学園を後にした!」
素の声でも後ろまで届くような大きな声を拡声魔法で出した、当然最前列の私は耳が痛い...鼓膜のスペア売ってないかな...。
この先生、体育会系に見えてバリバリ錬金術士で活躍してるらしい。名前覚えて無いけど、担当の先生の代わりで来たときに大声で言われるもんだからいつもより失敗してさらに大声で言われる負のスパイラルが...思いだしただけで鬱になりそう。
「そして今日から行うのは卒業するに当たって実際に錬金術士として生計をたてて貰う!」
ーーー三日後
「この物件は錬金術ngなんですよね~」
「そう、ですか...」
「前に釜が爆発して上の階の人の床を突き抜けただの、失敗した際にでた煙を上の階の人が吸って気分が悪くしただの」
「なるほど」
「やはり一軒家がおすすめですかねぇ、金銭面を考えると少し厳しいかもしれませんが...そういえば!前来た娘たちは家をシェアして金銭面をクリアしていましたね!」
グサッ...三年ぼっち錬金術士に言葉という鋭利な刃に予期せぬ形で刺される。
「あ、あはー...考えときます!」
「あちょっ!」
あまりの自分の情けなさに不動産屋を飛び出してきてしまったが、どうしよう!このままじゃ卒業できない!三年間必死でしがみついて来た日々、それがパーだなんてヤダ!
「そうだ、野宿しよう」
家なき娘、三日の時を経て悟る。
学園の先生曰く寮生のほとんどが実家に帰りそこで錬金術士として働いているらしい、別に一人で暮らして錬金術を生業としなくてもいいそうだ。求めるのは錬金術の技能、他は別にとのこと。
私は実家が遥か東にあるため学園からだとそれはもう途方も無い時間がかかる、そのため実家に帰るという選択肢はないのだ。
幸い、両親から貰った収納魔法が込められた鞄があるため錬金術の道具は持ち運び可能だ、あの錬金術で使う大きな釜だって入る...ギリギリだけど。
このままじゃ皆と差ができちゃう!と本当にまずいので、とりあえずこの数ヶ月は野生児として生きることにする!錬金術ではなくレンジャーとして。
とんだレン違いだがお金が入ってくれば私だって一人でお家住めるもん、多分、絶対...。
「よーし、とりあえずこんなものかな!」
木と草で作ったベッドと雨よけ(タープの様なもの)、そして錬金術で使う釜とかき混ぜ棒!とりあえずこれがあれば作れる!
「当面は地道に小銭稼ぎだ!」
ここら周辺にも回復草は生えているはずー...
「あった!」
ぶちっとな、
「よっし!取りあえずここら辺の草は粗方千切ったわ!」
錬金術士でも出来る簡単金策で有名なのは回復ポーションの精製だ、毎年錬金術学園から出てきた先輩たちも回復ポーションを作っている、消耗品なのでいくらあっても腐らないのがコレなのだ。
「とはいえ効力が低いとお金にならないのが...うぅ」
そう、私は赤点錬金術士...普通に作ると他の生徒より効力が低いモノが出来上がってしまう。それはなんとしてでも変えたい
「でも作ってみないことには始まらないよね...」
錬金釜に水を入れ沸騰したところで回復草を入れる、そして棒でひたすら混ぜるっ!
釜の中の色が緑に変わってきたので、ここで混ぜるのを止め火を弱める。
鞄から空の小瓶を取り出し、釜の中の液体を入れる
「できたっ、よーし...鑑定!」
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回復ポーション(低級)
体力をほんのちょっと回復するポーション、新米の錬金術士が作った熟練度の低い一品
推定100G
完成度 最低
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「ひーん...これじゃ売れないかも」
試しに一口頂くと口の中に自然そのものが広がった
「けほっけほっ!にっがぁ...」
しかし水や回復草を得るために駆け回って疲れた体が少し回復した気がする。
「そうだ、コレなら...!」
餅は餅屋、本来なら薬師の所に行くのが普通かもしれないけど、ちょっと高くて手を出しづらい。私は小さい頃、父が疲れているときに飲んでいた液体を思いだした。ちょっと高くて飲むか迷っていたのも、
「効力は低いかもだけど、これに手を加えれば」
たしか授業でつかったやつの余りを拝借したままだったよね、
釜に滋養強壮効果のある草、滋強草を入れる。するとたちまち真緑の液体はライムグリーンのような色に変わった。
「一発で成功!?すごい!」
小瓶の中にいれもう一度鑑定!
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特製元気ドリンク(低級)
???
新米錬金術士が作った特製の滋養強壮ドリンク
推定?G
完成度 低
>ーーーーー<
「飲んでみないことには分からないのね、よしっ!」
ごくっ...思いきって口一杯に入れる、これは...
「まずっ...」
良薬口に苦し、程よく不味くて苦かった。まだまだ改良の余地ありみたいだね。
>ーーーーー<
特製元気ドリンク(低級)
新米錬金術士が作った特製の滋養強壮ドリンク
程よく苦くてまずい
推定?G
完成度 低
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