闇の証
ねこはな
序章
⒈ 愚かなる世界
この世界は愚かだ。
阿呆で馬鹿で、愚か者しかいない。
愚か者が成す世界が、愚か以外の何でもない。それ以上でもそれ以下でもない。
何のために生まれ、何の使命を持って生きているかさえも、そんな単純なことでさえ知らない愚か者だらけの世界だ。
そんな世界に意味があるはずがない。そんな世界のために、命を懸ける価値なんかない。しかしながらも、この世に生誕した以上、誰もが世界に命を捧げる運命を背負っている。
家族のために命を……大切な人のために命を……愛する人のために命を……全うするわけではない。生誕されたこの世界のために命を全うするのだ。
この愚かな世界に。愚か者として。愚かな命を捧げなければならない。
無意味な命を、無意味に全うしたくなければ、一生懸命に生きてあがくことだ。
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