第51話

「あ!おはようございます」


翌日。…妻の恵は、メイク室にいる。餅月さんはすっかり懐いてるのか隣に座っている。


「あ、あぁ…」


「あ…そうか…気まずいですよね…」


「別に?私、餅月さんとだけしゃべるから。最近のメイクとかわかんないし教えてね」


「はい!喜んで!」


「…そんなんで仕事するつもり?」


「私は社長から呼ばれたんです。さ、餅月さんはじめましょ?」


…なんでこんなことに。邪魔だ。

すると、ドアが開いて誰か入ってきた。


「あ、れ?…え!?もしかして、日ノひのはらさん!」


「あらー!久しぶりねぇ、由良ゆらちゃん」


モデルの下津由良しもつゆらは嫁のことを知っている。


「あ、すみません。旭川さんって呼んだ方がいいですか?」


「もう別れてるからそのままで」


「え…?そうだったんですね」


「みんなに伝えておいて」


「あ、はい。私、先に皆さんに伝えておきますね」


なぜだ。下津さんはさっさと行動する。いつもそんなことしないのに。


「いやぁ、すごい貫禄ありますね〜!日ノ原さんまだモデルでもいいのに!」


「あらーありがとう餅月さん」


仕事がやりにくい。

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