第10話 違和感
「お待たせしました」
時間通りに
「どこから行きます?」
「誰も向かっていないところから行きましょう。南のエリアの
「了解です。
俺は反転状態になる。
「
篁さんも反転状態になる。遠くまで移動するのであれば、初めから反転状態になって移動した方が早い。
「私が先行します」
篁さんが地面を蹴り、ビルに向かってジャンプをする。そして、ビルをジャンプし目的地に向かう。反転状態でなくても
「分身も黒い霧をまとうんですか?」
「いえ。そこまではできないようです」
「……それは本当ですか?」
「ええ。一度も黒い霧をまとった分身に出会ったことはありません。それがどうかしました?」
「さっき分身は人を襲うって言っていましたよね」
「はい。言いましたが……」
「黒い霧は人を襲い奪った
「確かに……言われてみると……。じゃあ……」
「あえてまとっていないか、まとえないか……はたまたそれ以外の理由があるのかはわかりませんね」
「分身だからまとえないってことも考えられますね。あなたはどう考えていますか?」
「俺はあえてまとっていないと考えています。鬼型の
「そんなことって……」
「かといって人間を襲う以上放置することもできないので、俺達は倒すしかないですけどね……。どうも踊らされているような気がずっとしているんです」
「目的は何でしょう?」
「そこまでは……何とも。とにかく一度分身と戦わないことにはわからないこともあると思ってます」
「そうですね。もうすぐ
「了解です。」
1分もしないうちに俺たちは標的を見つける。
「これは……分身ですかね?」
「おそらくはそうです」
建物の下には鬼型の
「では、打ち合わせ通りにいきましょう。私が動きを止めます」
「お願いします。」
「
篁さんが二対のレイピアのような剣を出現させ、鬼型の
(双剣か……)
「……ガァァッツ!!」
篁さんに気づいた
(自分から距離を詰めないか。隙が無いな……)
鬼型の
「ならっ……!!」
篁さんは右手に握っていた刀を投げる。
「!!」
「ウゥゥッ!!」
鬼型の
(ここだっ!!)
俺はコートを脱ぎ、ビルから飛び降りる。
「
鋏を出現させ、戦闘準備に入る。俺は直感的に篁さんが考えていることを感じとった。
「グゥッ!!」
俺は鬼型の
「はぁぁっ!!」
鬼型の
(とった!!)
俺は鬼型の
「ガァァ……」
鬼型の
「今だっ!!」
「はいっ!!」
篁さんが
「ぁぁあああっ!!」
俺の鋏は
「ふう……」
「なんであのタイミングで飛び込んできたんですか?」
「すみません。早かったですか?」
「いえ……バッチリでした。どうして私の動きがわかったのかと思って」
「なんとなく……ですね」
「えっ……」
「まあ、あえて言うなら篁さんの動きが茜さんの動きに似てたからですかね」
「なるほど……。そういうことですか……」
「刀を投げる時の動きが茜さんと全く同じでした。茜さんならその後こう動くだろうなって思って俺も突っ込んだって感じです」
「さすが火村さんの兄弟子ですね」
「……聞いていたんですね」
「ええ。火村さんが楽しそうに話していましたよ」
「……それにしてもこいつ分身にしては強いですね。正直想像以上です」
俺は消えゆく分身を見ながら話す。
「はい。基地の死神でも苦戦するレベルです。本体はこれ以上ってことを考えると……困っちゃいますね」
「ですね。さらに力をつけているってことを考えると……っ……」
「どうかしましたか?」
俺は分身が消えた場所を見つめる。
「…………いえ……。なんでも……ないです」
「では次に行きましょう。南地区にはあと3体反応があります。近いところから潰していきましょう」
「了解です」
その後、俺たちは鬼型の
「……おっ……と」
俺は鬼型の
「大丈夫ですか?」
「今、一瞬身体の力が抜けるような感じがして……」
「結構、
「…………」
そんなに多くの
「……篁さんは鬼型の
「そうですね……。確かに昨日倒した時にそう感じましたが……。それは私が手間取ってしまったからだと思いますが……」
「…………やはり……」
「何かわかったんですか?」
「他の人に話を聞かないと何とも言えませんが、現時点で俺が考えていることを話します」
俺は鋏を手放す。鋏は地面に落ちるまでに消える。
「まず鬼型の
「死神から
「確かに
「あっ……」
逆に死神は攻撃、防御、移動など様々なことに
「確かにすぐに戦闘に使うことを考えると……死神から
「そういうことです」
「死神から
「ええ、数は少ないです。確か年に10件いかないくらいだったと思います。ただ、こんな手段で集めるタイプは初めてじゃないですかね?相当賢いですね」
「感心している場合じゃないです。すぐに皆が分身と戦うのを止めさせないと」
「……それはできませんよ。俺たちが分身と戦うのを止めると次は人間を襲うようになる。奴からしたらどちらに転んでもいいんですよ」
「そんな……どうすれば……」
「本体が出てくるのを待つしかないでしょうね。ただ、このままいくと出てくるのはステージ3になってからになりそうですね」
「ステージ3……」
篁さんの顔が曇った。
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