第20話 約束
「まぁ…知っていたわ」
セレンは腕を組みため息をつきながら言った。
「代わりになるかわからんが俺がどうやって不死身になったか教えてやる」
静寂の森に風が吹き抜ける
葉っぱが揺れる音
その後に俺は言葉を続けた。
「七災害はどうして七災害と呼ばれているか知っているか?」
俺の問いにセレンは頭を悩ませる。
数秒深く考えると降参と言わんばかり顔を上げる。
「具体的な物が思いつかないわ、世界を混沌に堕とす7つの強大な力としか」
「まぁ大体合っている、俺達はそれぞれ種族ごとに七災害がいる、人間、魔族、龍人、エルフ、天使、精霊、獣人、こんな感じか」
俺は淡々と答える。
別に隠すことでもないがこいつに秘密が通じるとは限らない
「でも七災害に入っていない種族もいるでしょ?例えばドワーフとか吸血種とか」
「あぁ、七災害に入っている種族と入っていない
種族の差は神武と呼ばれている武器の有無だ、七災害は全員何かしらの神武を所持している」
「なるほど…それが世界を混沌に堕とすと言われている物の正体ね」
セレンは納得した表情を浮かべる。
「そうだ、それぞれ剣、鎌、魔導書、杖、弓、拳鍔がある」
セレンは少し考えると驚いた表情で俺を見た。
「ちょっと待って……6個しかない…貴方は一体なんの神武を所持しているの……」
当然の疑問だ
俺はまだセレンに最後の1つを言っていない。
「俺が持つ神武、それは_____」
俺は自分の左胸を押さえる。
その動作を見てセレンが目を見開く
「まさか……」
手から伝わる心臓の鼓動
しかし俺は知っていた。
この鼓動は紛れもなく作られた物だと
「この心臓が俺の神武…そして俺を不死身へと変えた物だ」
もう一度風が森を吹き抜けた。
今度は刃のような速さで
肌に突き刺さるように
「……それの能力は…」
「2つある、1つ目は再生、何度死のうと何度体が壊れようと数百年かけ体が再生する」
セレンは沈黙で返したが俺は話しを続けた。
「もう1つは老化の停止、身体が老いる事を許さない精神も肉体も」
セレンには嘘がわかる魔眼がある
これが俺の冗談でないことぐらい把握できるはずだ
「大体理解できたわ…ありがとうライ・グランディール…」
セレンはそれ以上を聞こうとしなかった。
俺はセレンの行動は理解できなかった。
不老不死を目指しているなら何故ここで質問を辞めるか
俺には理解できない考えがあるのだろうか……
「貴方はそれでいいの?」
「なにがだ」
「貴方は今まで寂しくなかったの……」
その言葉に同情が含まれているなら不要だ
俺は今までもこれからも最果ての楽園を見つけるまでそうしていく。
「慣れた、出会いも別れも全て」
俺は無表情で返す。
ただセレンは同情するかのように俺を見つめる。
「最果ての楽園を見つけるまでそうするつもり?
そこに貴方の呪いを解除する方法がなかったとしても?」
「そうだ、これまでもそうしてきた、ならこれからもそうするべきだ」
俺の目的は最果ての楽園を目指しとある契約を終わらせること。
もしそれでこの身体が終わるなら別に構わない
ただ終わらなかったら……
「ねぇ、聞いてライ……貴方が人の身で何故不死身なったのかまだ聞かない…まだ答えさせない………
でも!」
セレンは俺の前に出た。
後ろには草原と無限の星空が見えた。
「私がライを救ってみせる!絶対に約束する!!」
セレンは全力の笑顔を作りピースをした。
星空に流れ星が降った
一瞬だったが通りすぎて行った。
セレンが俺の旅についてきた理由が少しわかった気がする。
俺を救う
それは紛れもない偽善だ
でも
少しだけ嬉しかった。
「は、やれるもんならやってみろ」
セレンは少し驚いた表情をすると微笑みながら言った。
「少しは笑えるじゃない!無表情な貴方もそう言う顔できるのね」
どうやら俺から自然と笑みが溢れていたらしい
だけど口角が少しだけ上がっていたのを感じた。
一瞬だった流れ星はいつしか流星群へと変わり星空を飛び回る。
そういえば流れ星に願いを言う文化が合ったような気がする。
なので俺は願ってみた。
誰に祈るかはわからない
その行為が結末を変えることはない
でも願わずにはいられなかった。
「この旅に祝福があらんことを…でしょ?」
セレンが俺の思っていた事を先に言った。
「あぁ……誰の祝福かはわからんがそうだな俺も願っておくか」
「この旅に祝福があらんことを」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます