第335話 街作り(製糸)


「――恥ずかしながら! 帰って参りました!」


『本当に恥ずかしいですね』


 解せぬ。


 まぁプリちゃんの容赦ないツッコミはとにかく、美濃に帰ってきたので毎回恒例☆津やさんのお店にやって来た私である。


「おや、お帰り。今回はずいぶんとのんびりしてきたようじゃないか」


「ふっふっふっ、ちょっと敵将を一人討ち取ってきましたよ!」


「敵将……? 何があったのか知らないけど、あまり無茶をしてはいけないよ? あんたは一応お姫様なんだからね」


 おぉ、何というまともな心配を! こんな普通の心配をされたのは久しぶり(数百年)かもしれないわね!


『……いえ、『一応』と付けられていることを悲しむべきでは? 一応は本物のお姫様なのに』


≪これがまともな心配になるのか……。まぁ、帰蝶であるしな。是非も無しか≫


 プリちゃん玉龍の容赦ないツッコミであった。解せぬ。


「あ、そうだ。無事にお蚕様をゲットしたんですけど、人は集まりましたか?」


「げっと……? あぁ、そうだね。生活が苦しい人を中心に前向きな反応はもらえたよ。10人くらいかね」


「おぉ、前例がないのに10人も集まりましたか。さすがは津やさんですね」


 さっそく絹織物を……と行きたいところだけど、まずは蚕を増やさないとね。

 そのためにはそれ専用の建物を作って、桑畑も用意して。卵を保存する場所も見つけて……。う~んやることが、やることが多い。


 でもまぁ建物については風魔法で木をスパーンと切って風魔法で乾かして風魔法で加工して風魔法で浮かせて風魔法でトントンして組んでいけばいいのだから、簡単と言えば簡単よね。


『いや風魔法を酷使しすぎでは? 風の精霊が過労死するのでは?』


≪トントンとはカナヅチの擬音か? 風魔法でどうやって……?≫


 気にするな、私も気にしない。


 建物は魔法で作れるし、桑の木も魔法で増殖できる。卵の保存場所も、いよいよとなったら氷系の魔石を準備しましょう。せっかく一から作るのだから効率よく生産できるよう各種設備を纏めてしまいましょうか。


 養蚕業と一言で言っても蛾から卵を採る蚕種と、蚕が繭になるまで飼育する養蚕、繭から生糸を製造する製糸と分かれている。これを一カ所に纏めて一つの町にしてしまえばいいのだ。


 う~ん、桑を育てるなら山の斜面か川の沿岸や中州か。平地は稲作に使うから勿体ないものね。輸送や水も考えればやはり長良川の近くか。いっそのこと稲葉山をくり抜いて卵の保存施設作っちゃう?


 とりあえず、稲葉山城下町の整備も平行してやってしまいましょうか。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る