75,5話 リリィの追跡
信じられませんわ……。
あの子は一体、何者ですの?
目をむくような、非常識な成り行きのオンパレードでしたわ。
気になる……コホン。にっくき天使が、虚空に向かって何かを話しかけているところを見た時は、やっぱりタダの頭のおかしな少女かと確信しましたのに。
それが……アレは一体何なんですの……。
彼女が手にした何かが、激しく発光したと思えば……。
急にこの世の終わりを嘆く、怨念のこもった呪詛めいた声がざわめいたかと思えば、『浅き夢見し墓場』がうごめき、あれよあれよという間に、最奥へと到着しているではありませんか。あたかも彼女が進むため道を作り出していくように。
天使のような可憐な彼女が、
しかも、しかもですわよ。
彼女が作り出した道で遭遇したモンスター達は、一切襲ってくる気配がありませんの……。『浅き夢見し墓場』のボス級モンスター『
それほどまでに彼女が扱う錬金術とは凄いものなのでしょうか? いえ、でも
そう思いたかったのですが……。
やっぱり彼女が眩い光を放った直後、最奥にあった巨大な石碑が割れたのです。
そして姿を現したのが、未だ聞いた事のない地下への入り口。
『浅き夢見し墓場』にこんな隠しダンジョンがあったなんて、聞いておりませんの。
彼女は一体、どこまで私の予想を上回る事をやってのけるのでしょうか。
あの平原での一戦でも終始、天使は私の先をいき、あまつさえこの身を案じ助けてくれましたわ。
何を彼女に対して、抱いたのでしょうか。
いけませんわ。
とにかく、可愛こぶった天使の化けの皮を剥ぐためにも。
背後から、文字通り一矢報いてあげましょう。
そして、彼女たちが通った、地下へと続く怪しい階段へと降りていきますのよ。
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