※グロ注意。 拷問な日々。

 先ずは、ローシュを傷付ける様に指示した女の方から。


 医学生の中でも最も上手い者に、丁寧に片目をくり抜かせ。

 様々な薬品を使い、喉を潰させた。


 次には毒蛇に手足を噛ませ、腐り落ちるなり腫れ上がらせるなりと。

 そうして頃合いを見て、切り落とさせる。


 その女の手当ては、唆されただけだと言う男にさせた。

 ローシュを襲った男。


 そして女が回復し手当が不要になった後、全く同じ手順を男へと、引き続き医学生達に実行させる。


 まさか自分がされるとは思わなかったのか、直ぐにも発狂してしまった。

 だが、守るべき者が居る人間は、真に発狂する事などは不可能。


 身内を1人、目の前に連れて来るだけで良い。

 そうして私が隣に立つだけで、声にならぬ声で懇願する。


 自分が刑を受けるから、どうか手を出さないで欲しい。


 こうして発狂しない者だけを、常に王の傍に置いている。


 裏切れば報復される。

 そう恐れる事が出来る者か、私の様に神を信じる者だけが、王に仕える事が出来る。


 この国を支配するのは、畏怖。

 恐れ、敬う。


 神と王への畏怖こそが国を支える。


 そうなる様、出来るだけ仕向けて来たと言うのに。


《ぅわぁ、お前、怖い顔してんぞ》

《あぁ、失礼しました》


《いや、それより、どうして会わん》

《会う事も負担になるでしょうから》


《ほら、アレだ、花とか贈れよ》

《ご存知ですかね、花も生殖器なんですよ》


 私の友人であり、ローシュを理解する者の1人であり。

 王であり、不器用な男。


《あぁ、にしてもアイツ凄いな、好きな女の手当で勃起とか》

《それだけ愛していたなら本望でしょう、動ける程度の関節の長さは残してやったんですし、同じ場所に置いてやってるんですから》


《その後は見に行って無いんだってな》

《他人の交わりには興味が無いので》


《あぁ、ヤってんのは知ってるのか》

《避妊は完璧ですし、そう言った性癖だけなら悪ではありませんし。資源の有効活用がなされるのが全て、ですから》


《悪かった》

《アナタの身内で却って良かったですよ、身内にも厳しいと知らしめる事も出来ましたし》


《なら、俺の付き添いで来い》


《分かりました》




 面白れー女、って。

 逆に言われない方法が無いのではないのか、とさえ思えて来た。


《お前、逆に、アレで平気になるとか、あはははははは》


《本当に、見てらっしゃったんですか?》

「ざまぁ気分を味わえるかなと」

《はははっ、で、どうだった》


「やるじゃん王様、って」

《けど実際はルツで、ひひひひひひ》

《逆に解せないんですが》


「こう、秤が、天秤がぶん殴られて戻った感じ」

《分かんねぇわマジで、あはははは》


「自分も分かんないっす」

《はぁ、なぁ、もうヤっちまえよ》

《流石に無茶が過ぎますよ》


「流石にちょっと、それこそココだったのが、ココに戻っただけなので」

《まぁ、進める様な事も遠慮してしなかったんだしな。うん、仕方無い、すまんかった》


「あ、いえ、物ですら数が多いと不良品が出ますし。以降は如何に弾くかを考えましょう」

《おう、助かるわ、頼りにしてるぜ姉妹よ》


「おう兄弟」


 うん、2人でも平気。


《では、失礼します》


 ルツもそこが確認出来て、安心したのか。


 この気遣いは有り難いが。

 コレ、却って回復したとは言わずに居た方が、諦めてくれたかも知れないのか。


 けど、もう、すっかり執着してしまっている。

 何で、どうして会いに来てくれないのかって、勝手に焦らされてて。


 なのに実は毎日見てました、って。

 何だよコレ、知ってたのかなクーちゃん。




『寧ろ、見てたんですか?』

「うん、中々無いだろうし、周りの反応も気になったので」


『凄い、僕は、提案したのに見れなくて』

「いや見ないで良いよ、つか良かった、見てないのね」


 どうしてこんなに優しい人を襲わせたのか。

 拷問に掛けられる前、彼女が好いていたズメウに聞き出させたけど。


 本当に意味が分からない理屈だった、そして拷問後も再度聞き出して貰ったって言うか、頷いたり首を横に振るのを見てたけど。

 それでも、やっぱり変わらなかった。


『理由を、聞きましたか?』

「いや、けど、どうせしょーもない理由でしょ。それこそテンプレパーティ、ありきたりな、下らない理由でしょうよ」


『寧ろ、僕は意味不明過ぎて、逆に怖いなと』

「マジか、聞かせて精霊さん」

《もぅ、仕方無いのぅ》


 私の好きな男を歯牙にもかけないなんて、何て酷い女だ。

 見る目が無い、無さ過ぎる、馬鹿だ。


 けれど王も周りもすっかり魅了されているから、話が通じそうにもない。

 なら周りの目を覚まさせる為、敢えて私が、悪者になってあげよう。


 なのに、王も誰も理解してくれない。

 あの女に騙されたままなら、この国は終わる。


 この国は滅ぶ、だから逃げて、私の愛しい人。


「私の好きなモノにケチを付けるなんて酷い、私を全否定されたも同然だ、ウキャー」


『あぁ』

「ワシちゃうからね?ネットでの解説よ、解説」


『思考の飛躍って、どうしたら矯正出来るんでしょうね』


「それこそ非人道的な事をすれば簡単じゃない?」

『殺処分ですか?』


「いや、それだとコスパ悪いから、電気ショック療法かなぁ」

『それ拷問ですよね?』


「いや、近年は見直されてるのよ、それこそ鬱病の治療法として注目され始めてるとか。けどまぁ、最近の情報かって言うと鮮度は微妙だし、二次ソースだからなぁ」


『そう、情報の扱いの資格を設定してみますか?』

「情報リテラシー?」


『はい。そうして上を設定して、引き上げる、とか』

「あぁ、目標が有った方が良いものね」


 そうして先ずは上から。

 大臣職達へと試験が実施される事になった。

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