飴ちゃんとの出会い(美麗の過去と本心)

5年前ー


「かー子さん、ひかりの王子ってアプリ知ってる?」


「知ってるよ」


「俺、明日ひか王子って呼ばれた武藤さんと共演するんだ。俺は、この千歳ちとせって人が演じてるゲイキャラが好きだったんだけどね。声も、いいし」


俺は、スタイリストのかー子さんに話した。


「へー。飴ちゃんが好きなんだ」


かー子さんは、俺に服を合わせて言う。


「飴ちゃん???誰、それ?」


「ひか王子の千歳」


「知り合い?」


「うん、私が初めてスタイリストの仕事をした人が飴ちゃん」


「どんな人?」


「優しくて、身長が高くて、アーモンドみたいな目をしてて、指が長くて、とにかく全部が素敵な人」


かー子さんの眼差しを見て、俺は千歳に会いたくなった。


「会ってみたいな」


「飴ちゃんに?」


「うん、俺。このアプリの千歳が演じる大樹だいじゅが大好きだったんだ。ヒロインに告白されて、ゲイなんだって言うんだよ。カミングアウトできない俺にとってのヒーローだった」


そう言うと、かー子さんは、俺の顔を覗き込む。


「氷室は、いいの?」


「ああ、朱人しゅうとは好きだよ。でも、あいつはノンケでしょ?女好きで、キスマつけまくり。仲良くしてるけど、好きなんて言って関係悪化すんのもめんどくさい。口軽そうだし…」


俺は、口を尖らせて言った。


「ゲイってバレんのは、金森だけでいいのか?」


「あいつは、向こうから言ってきたし。まさか、同じやつに二股されてるって知らなかったし…」


俺は、そう言って下を向いた。


「氷室の事、いいって言うなら。飴ちゃんの家の住所教えてあげる。美麗は、弟みたいなもんだから」


そう言って、かー子さんは飴ちゃんの住所をくれた。俺の心は、踊っていた。


「次の休みにでも行ってみたら?飴ちゃん基本家にいるから」


「仕事してないの?」


「お金持ち相手に、体売ってる。男女関係なく」


その言葉に、俺は少しショックだった。


「そんな…」


「一回五万らしいよ。個人でやってるからそれぐらいで充分だって」


「それって、家でやってるの?」 


「まさか、ホテルだよ。ホテル代は、相手持ちらしい」


「恋人は?」


「いないと思うけど」


そう言って、かー子さんは俺に向かって笑った。


雑誌の撮影が終わって、帰宅をしながらも嬉しさを隠す事が出来ないまま俺は帰宅した。俺は、本当に千歳に会うのが楽しみだった。


二日後の休みに、俺は千歳に会いに教えてもらった住所に会いに行った。


ピンポーンー


「はい」


ガチャ…。


現れた千歳に、俺は一瞬で恋に落ちた。そして、しつこいぐらいに付きまとって俺は、飴ちゃんと付き合えたんだ。


一ヶ月後ー


「飴ちゃん、その仕事辞めてくんない?」


「どうして?」


「飴ちゃんから、他の人の匂いがするのが嫌なんだ」


「そんな事、言われても…」


「俺が、払うから飴ちゃんの給料」


「無理だよ。美麗には払えないよ」


「払うよ。針山さんに借りてでも払う」


「最低で50、最高で150は稼いでる。美麗には、高すぎて無理だよ」


「払うから、辞めてよ」


「わかった。でも、無理はしないで欲しい。俺は、この仕事嫌いじゃないよ」


そう言って、飴ちゃんは俺の髪を優しく撫でる。


「大丈夫だから」


そう言って、俺は飴ちゃんの手を握った。


俺は、まだ子供ガキだったから

飴ちゃんが誰かにれられるのもれるのも嫌だった。


だから、俺が飴ちゃんの給料を払うなんて言ってしまったんだ。


「お金払うようになったら、飴ちゃんは、俺の玩具だから。わかった?」


「ああ、ちゃんと仕事はするよ」


そう言って、飴ちゃんは笑った。


俺は、これで飴ちゃんを失う事はないと思っていたんだ。


飴ちゃんを誰にもとられる事はないし


飴ちゃんの愛は、永遠だって


俺は、信じてた。


ずっと、ずっと続くって


このままずっと飴ちゃんは、俺のものだって



3日前ー


飴ちゃんって、プライドないのか疑問に思って聞いてみた。


俺は、飴ちゃんと会う時は、五万を渡した。


お金を渡してると飴ちゃんは、いなくならないと思ってたのに…。


仕事見つけるだの、子供ガキが欲しいだの、飴ちゃんは何でそんな事をペラペラ話してくるの?


針山さんに、仕事まで紹介してもらうって何で?


俺のお金は、もういらないの?


俺は、飴ちゃんを失いたくない。


いくらでも、払うから…。


傍にいてよ



飴ちゃん



*この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません*

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